中華航空機炎上 燃料、移動中から流出
2007年8月22日 朝刊
那覇空港の中華航空機炎上事故で、事故機は着陸後、駐機場に向かって移動しながら、右主翼付近から大量の燃料漏れを起こしていたことが二十一日、空港関係者の話で分かった。
関係者によると、事故が起きた国際線ターミナル前の駐機場(四十一番スポット)に向かって事故機が進行している時点で「整備士は右主翼付近から大量の燃料が漏れているのを離れた所から確認した」という。
さらに第二エンジンから発煙していたため、無線を通じてエンジン停止と乗客の緊急脱出を機長に指示した。沖縄県警などの捜査に対しても、整備士は事故機を駐機場に誘導している段階で「第二エンジンから滝のように燃料が漏れていた」と説明している。
一方、国土交通省航空局も「どれだけの燃料が漏れたのか未確認」としながらも「外部から見て(燃料が漏れているのが見えるほど)分かるのなら(流出量は)多めだ」との認識を示している。
事故機は那覇空港着陸の時点で当初の台北離陸時の約60%にあたる燃料が残っていたことが国交省による中華航空の聞き取りで判明。この燃料が何らかの原因で機外に流出し、激しい爆発と延焼を招いたとみられる。
どの時点で燃料漏れが発生したかなど詳細は明らかになっていないが、那覇空港の管制と事故機の機長との交信で、通常通りの着陸許可が出されていることが同省の調べで分かっており、機長は着陸まで燃料漏れを認識していなかったとみられる。
会社側と乗客、避難状況に食い違い 中華航空機炎上
2007年08月22日09時26分
中華航空のスポークスマンは21日の会見で、事故当時、機長は乗客の避難誘導に機内放送は使わず、客室乗務員に直接、客を緊急避難させるよう指示してい たことを明らかにした。「時間的に切迫し、機長は機内放送より客室乗務員に直接伝える方が早いと判断した」とし、誘導は適切だったとの考えを強調した。
台北からの120便(ボーイング737―800型)の機長が火災に気づいたのは、20日午前10時32分すぎ。那覇空港の駐機場に停止 した時だ。地上の整備士から、「燃料が漏れ、エンジンから黒煙が上がっている」と報告を受けて事態を把握し、乗客に避難を呼びかけた。幼児を含む157人 の乗客は、客室乗務員の誘導を受けて、出口4カ所から緊急時に作動する脱出シュートを使って地上に降りた。機長は「避難マニュアルに従って乗客の避難を優 先し、最後に操縦室の窓から脱出した」と説明しているという。
中華航空は、脱出完了までの時間「60秒」を強調する。整備士の報告から脱出完了までの所要時間。米連邦航空局が定めた「90秒ルール」を意識したと見られる。
機内の半数の出口を使い、すべての乗客が90秒以内に脱出できるように通路の幅や安全設備などを設計するよう定めた基準で、国際的なルールとなっている。たとえ機体が炎に包まれても、この時間内に逃げ出せれば、乗客への被害は防げるという目安でもある。
だが、乗客からは乗員の対応に不満の声が出ている。
事故機が那覇空港に着陸してから、駐機場に止まるまで5分間。その間に、台湾籍の乗客は右主翼エンジンから上がる黒煙に気づいた。客室乗務員に伝えたが、「タイヤの煙だ」と取り合ってもらえない。エンジンからだと訴えても、「大丈夫」。
駐機場で機体が停止する直前、炎が上がり、周囲の乗客が悲鳴とともに座席から立ち上がった。それでも、客室乗務員は「大丈夫」と繰り返 し、機長は「立たないように」とアナウンスしたという。「着陸後に焦げ臭いにおいがして、エンジンから煙や炎が上がった」という証言もある。
香港在住の日本人乗客は、右エンジンから炎が上がり、機内が騒然とする中でも、機内アナウンスはなかったと証言する。前方の出口から脱出シューターが見え、客室乗務員は中国語で「ここから飛び降りて」と叫んでいたという。
「機内で避難誘導の声は聞こえなかった」と証言する乗客もいる。
また、脱出完了までの時間について、国土交通省は約2分間としている。
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