どうでもいいです、の話

「どうでもいい」トピックスを載っけていたり、公記事の保守をしたしするページです。

保守記事.375-5 おかしいと気づかない点がおかしい

2010-01-14 17:55:32 | 記事保守

平成22年 庚寅 新春正論対談(2) 

2010.1.4 07:58

 ■鳩山政権に警告する

 --政府は「保有しているが行使はできない」との憲法解釈を変えません

 【佐瀬】私は解釈変更の意思があれば、クリアできると考えます。自衛権の根拠について昭和29年、鳩山一郎内閣が「憲法は自衛権を否定していない」との解釈を提示しました。現行憲法と現行安保条約の下でも「集団的自衛権は保有かつ行使可能である」と解釈を改めるのは可能なはずです。しかし、誰もやろうとしません。

 --事態が動くとすれば

 【佐瀬】乱暴に言うと一番簡単なのは外圧。共和党政権で国防総省や国務省で要職を務めたアーミテージ氏らによる第1次、第2次リポートで、日本が集団的自衛権は行使可としてくれたら、米国は好感するという意思表示をしているわけです。それなのに日本は反応していない。堪忍袋の緒が切れるかもしれません。

 【遠藤】民主党はマニフェストで「緊密で対等な日米関係」とうたっています。このスローガン自体は正しい。日米同盟を緊密化して台頭する中国を牽制(けんせい)しつつ、一方で自助努力をきちんとして対等化を図るという困難な選択肢しかないわけです。しかし現実に民主党がやっていることはまったく逆の方向。

 【佐瀬】今の民主党は全部口先です。米軍駐留経費の分担を含めて防衛予算は自助努力とは逆のことを考えているとしか言えません。参院で過半数を確保するために社民党を抱え込んだのはとんでもない失敗でした。普天間基地問題は、日本、米国、沖縄の三方一両損の解決があり得たはずなのに、三方千両損になりかねません。

 ≪非武装中立の遺伝子の残滓≫

  --かつての社会党の考えが根付いていますか

 【佐瀬】民主党の一部と社民党には非武装中立論が、隠微なかたちで遺伝子として組み込まれている形跡があります。日本人は自主防衛、自助努力というと単独防衛と勘違いしてしまいます。日米が条約で結ばれていることと、日本が自助努力を行うことは、両方あったほうがいいし、可能なわけです。米欧同盟がその見本です。

 --日本の安全保障環境は

 【佐瀬】非常に悪いわけです。東アジアに米国が力を50%しか注げない状況で、日本の自助努力はかつてないくらい深刻な問題になってきています。米国は中国に対しては警戒と協調というスタンスでみています。力の配分、精力の配分で悩みに悩んでいます。

 【遠藤】従来米国の日本に対する外圧は、一貫して自助努力せよというものでした。自由主義陣営の一員として日本は何をするのかという問いを常に突きつけてきました。今後はもっと複雑でもっと厄介な、米中がコンビを組んだ外圧ということも考えられます。

 【佐瀬】複合外圧みたいなものですね。中国も対日圧力外交に励んでいるのに、民主党政権にはその認識がありません。中国に甘すぎます。

 【遠藤】そこが非常に懸念されるところです。米国と中国がつくる秩序に日本を組み込もうという外圧でしょうね。日本はそれに耐えられるのでしょうか。

                   ◇

 ■自助努力こそ「対等」の前提

 ≪民主党は自民党のコピーにすぎず≫

 --ところで、国内政治の混迷をどう考えますか

 【遠藤】昨年の総選挙と政権交代は、新たな局面を迎えたというよりは、小泉政権の平成15年ごろに出来上がった体制の中間点とみています。私は「2003年体制」と言っています。小泉純一郎さんが自民党の旧田中・竹下派、つまり戦後の国内政治システムを主導してきた派閥と果敢に戦って、分断させたのは平成15年9月の総裁選でした。

 --戦後の権力構造が変わったと

 【遠藤】公明党との蜜月が15年を境に決定的になっています。その一方で小泉さん流の一面的な構造改革が動き始めたのもやはり15年で、そのことが選挙結果にはっきり表れ始めたのが15年の総選挙からです。

 --その間、民主党は

 【遠藤】自由党との合併によって、しだいに保守票の受け皿と思われるようになっていきました。小沢一郎現幹事長の影響力が強くなっていきます。冷戦期の、日米安保さえなんとか機能していれば金もうけができたというシステムを牽引(けんいん)してきた中核が自民党から民主党に移っただけの話です。だから今、自民党以上に悲惨なありさまになっています。

 【佐瀬】非常におもしろい指摘だと思います。

 【遠藤】民主党政権は発足3カ月で限界を露呈して支持率を急低下させていますが、さりとて、自民党が“敵失”をバネにして反転攻勢に出られる状況かというと、そうではありません。
 --日本の安全保障環境は

 【佐瀬】非常に悪いわけです。東アジアに米国が力を50%しか注げない状況で、日本の自助努力はかつてないくらい深刻な問題になってきています。米国は中国に対しては警戒と協調というスタンスでみています。力の配分、精力の配分で悩みに悩んでいます。

 【遠藤】従来米国の日本に対する外圧は、一貫して自助努力せよというものでした。自由主義陣営の一員として日本は何をするのかという問いを常に突きつけてきました。今後はもっと複雑でもっと厄介な、米中がコンビを組んだ外圧ということも考えられます。

 【佐瀬】複合外圧みたいなものですね。中国も対日圧力外交に励んでいるのに、民主党政権にはその認識がありません。中国に甘すぎます。

 【遠藤】そこが非常に懸念されるところです。米国と中国がつくる秩序に日本を組み込もうという外圧でしょうね。日本はそれに耐えられるのでしょうか。

                   ◇

 ■自助努力こそ「対等」の前提

 ≪民主党は自民党のコピーにすぎず≫

 --ところで、国内政治の混迷をどう考えますか

 【遠藤】昨年の総選挙と政権交代は、新たな局面を迎えたというよりは、小泉政権の平成15年ごろに出来上がった体制の中間点とみています。私は「2003年体制」と言っています。小泉純一郎さんが自民党の旧田中・竹下派、つまり戦後の国内政治システムを主導してきた派閥と果敢に戦って、分断させたのは平成15年9月の総裁選でした。

 --戦後の権力構造が変わったと

 【遠藤】公明党との蜜月が15年を境に決定的になっています。その一方で小泉さん流の一面的な構造改革が動き始めたのもやはり15年で、そのことが選挙結果にはっきり表れ始めたのが15年の総選挙からです。

 --その間、民主党は

 【遠藤】自由党との合併によって、しだいに保守票の受け皿と思われるようになっていきました。小沢一郎現幹事長の影響力が強くなっていきます。冷戦期の、日米安保さえなんとか機能していれば金もうけができたというシステムを牽引(けんいん)してきた中核が自民党から民主党に移っただけの話です。だから今、自民党以上に悲惨なありさまになっています。

 【佐瀬】非常におもしろい指摘だと思います。

 【遠藤】民主党政権は発足3カ月で限界を露呈して支持率を急低下させていますが、さりとて、自民党が“敵失”をバネにして反転攻勢に出られる状況かというと、そうではありません。

 【佐瀬】核武装の問題があります。私は日米関係がしっかりしていたら核武装を取らないという立場です。ただし、日本は核の選択をあり得べき交渉材料として手放してはなりません。米国が絶えずそれを、中国も絶えずそれを意識せざるを得ないよう、沈黙裡(り)に温存するというようなことを考えます。

 【遠藤】日米同盟が順調ならば、米国に核を供与させて日米で管理するという選択肢もあるわけです。「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則は撤廃すべきでしょう。

 【佐瀬】岡田克也外相は選挙前に米国に対して核の先制不使用の明言を迫りました。この直進的正義論に対して米国は「核の抑止力の維持と、最終的な核廃絶の目標を掲げることは何も矛盾しない」と繰り返しているわけです。当然の現実認識です。

 --オバマ米大統領の演説の核廃絶の部分だけしかみていない?

 【佐瀬】陰影の微妙なところがわからない。蛇行とか一進一退とか非常に複雑な政治のプロセスを考えないような直進主義です。

 【遠藤】自民党に失望して民主党に入れた人々は、ここまでの事態を想定していたのか。一回やらせてみたらこのありさまでは、政治不信は高まるばかり。やはり、何としても政界再編-平成の保守合同が不可欠と思います。

                   ◇

 ■対談を終えて

 対談の始めに、遠藤浩一氏が「佐瀬先生の『町人国家論批判』に大変感銘を受けました」とその意義を語り始めると、少し硬かった空気が和んでいった。

 安保改定、鳩山一郎政権、再改定論…。相手から提起された論点に自分なりの見解をぶつけて深めていく。この対談によって、少しでも高みを目指そうという姿勢が共鳴していた。

 緊張と知的な刺激の間で時間がたつのは早かった。日本が直面する厳しい現状に言葉を尽くす2人。ただ、どこに展望を見いだすかという点で、期せずして「影を慕いて」(佐瀬氏)「生存本能」(遠藤氏)と、日本人の精神の根元にかかわるところに触れた。そこに救われる思いがした。(羽成哲郎)

                   ◇

【プロフィル】佐瀬昌盛氏

 佐瀬昌盛(させ・まさもり)氏は昭和9年、旧満州国・大連(現中国)に生まれた。東京大学教養学部卒、同大学院を修了。ベルリンに壁が築かれた1961年に「冷戦の最前線」である現地へ留学した。帰国後、東西ドイツと米国、旧ソ連との関係を専門に、成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学教授として国際関係論を講じた。

 冷戦がピークを迎え、反核運動が盛り上がりをみせた80年代前半、雑誌「諸君!」の連載「INF交渉・これだけの虚報」などで、緻密(ちみつ)な情報収集で一部メディアの偏向ぶりをあぶり出した。産経新聞「正論」欄などでも、米国の欧州配備INF(中距離核戦力)近代化の支持論を静かな筆致で説いた。そうした論文には、冷戦の西側勝利を見通すかのような先見性と深い思索があふれている。

                   ◇

【プロフィル】遠藤浩一

 遠藤浩一(えんどう・こういち)氏は昭和33年、金沢市に生まれた。駒沢大学法学部を卒業後、民社党に入り、広報部長などを務める。平成6年の民社党解党-新進党結成を機に執筆活動に転じる。以後、拓殖大学客員教授から同大学院地方政治行政研究科教授へ。国家基本問題研究所の理事でもある。

 評論家、劇作家であった保守の論客、福田恆存に私淑、自らも基本的に歴史的仮名遣いを用いる。政治指導者のあり方、ひいては戦後日本を「国を思ふ心」から問いかけた「消費される権力者」を出版したのが平成13年。その後も、混乱する政治動向を切りつけ、近く「政権交代のまぼろし」(仮題、扶桑社)を出版する。真正保守のあり方を問いかけた雑誌「正論」の長期連載「福田恆存と三島由紀夫の『戦後』」(麗沢大学出版会)も上梓される。

保守記事.375 民意を汲み取れるのか?
保守記事.375-2 事実を伝えることはできるのか?
保守記事.375-3 偏向報道を認めた瞬間
保守記事.375-4 なんでも叩けば記事になると思っている


最新の画像もっと見る

コメントを投稿