ナイジェリア首都で爆発、71人死亡 武装勢力のテロか
ヨハネスブルク=杉山正
2014年4月14日22時52分
ナイジェリア首都アブジャ郊外のバス停で14日、大きな爆発があり、71人が死亡し、124人が負傷した。地元当局はイスラム武装勢力「ボコ・ハラム」の犯行とみている。AP通信などが伝えた。
爆発は朝の通勤時間帯に起こり、バス停は多くの人々で混み合っていた。バスなど約30台も破壊されたという。
ボコ・ハラムは、ナイジェリア北部でキリスト教会や政府施設へのテロを頻発させており、今年だけでも既に1500人以上が犠牲になっている。ただ、首都周辺では最近、目立った動きはなかった。
政府は、昨年から大規模なボコ・ハラムの掃討作戦を開始。効果を上げているとしてきただけに、今回の事件は大きな衝撃となっている。(ヨハネスブルク=杉山正)
ナイジェリアで女子生徒多数誘拐 米、救出に専門家派遣
ヨハネスブルク=杉山正、ワシントン=奥寺淳
2014年5月7日20時06分
ナイジェリア北部で、イスラム武装勢力「ボコ・ハラム」に女子生徒がさらわれる事件が先月から相次ぎ、これまでに200人以上が誘拐される事態になっている。国際的な非難が高まっており、オバマ米大統領は6日、救出に向けた専門チームの現地派遣を表明した。
ナイジェリア北部ボルノ州の学校では、4月中旬に女子生徒200人以上が武装集団に誘拐された。別の場所でも今月4日に8人の女子生徒が誘拐された。AFP通信などによると、ボコ・ハラムの指導者が4月の犯行を認め、「神が娘たちを売り飛ばせと言っている。人身売買の市場がある」などと主張している
「ボコ・ハラム」という名は「西洋の教育は罪」という意味で、同グループは最近は教育施設への攻撃を強めている。政府施設へのテロ攻撃も繰り返しており、今年だけでも1500人以上が犠牲になった。国際テロ組織アルカイダ系組織から訓練を受けているとされる。
オバマ米大統領は6日、ナイジェリアに、軍や情報機関などからなる専門チームを派遣したことを明らかにした。連れ去られた場所を特定し、解放に向けた交渉を支援する。
オバマ氏は米ABCテレビで、「とても痛ましい状況で、常軌を逸している」と非難。パキスタンで武装勢力に頭を撃たれながらも、女性教育の重要性を訴えているマララ・ユスフザイさんもツイッター上で「女の子たちを取り返せ」と掲げた写真を掲載し、救出を訴えている。
米国務省のハーフ副報道官は5日、「女子学生の多くは隣国などの国外に連れ出された情報がある」とし、武装勢力が誘拐後にナイジェリア国外に移動しているとの見方を示している。(ヨハネスブルク=杉山正、ワシントン=奥寺淳)
ナイジェリアで銃乱射 女子生徒誘拐相次ぐ北東部の市場
ヨハネスブルク=杉山正
2014年5月9日05時01分
多数の女子生徒が誘拐されているナイジェリア北東部ボルノ州の町で、武装集団が市場などを襲撃し、少なくとも125人の市民が死亡した。300人死亡したという情報もある。武装集団は、誘拐に関与したイスラム武装勢力「ボコ・ハラム」とみられている。
ロイター通信などによると、襲撃事件は5日に起きた。数十人の武装集団が市場で銃を乱射したり、市民ののどを切り裂いたりした。車や家も燃やした。女子生徒の捜索のため治安部隊がこの地域から引き払っており、警備が手薄だったという。
ボルノ州では、4月以降、学校から女子生徒を誘拐する事件が相次ぎ、これまでに270人以上の行方が分からなくなっている。ボコ・ハラムの指導者が関与を認め、女子生徒を奴隷として売るとしている。
ボコ・ハラムは現地の言葉で「西洋の教育は罪」を意味する。北部の各地で政府施設やキリスト教会を狙ったテロ事件に関与。2012年ごろからは、学校の襲撃を繰り返し、教員や生徒を殺害している。
女子生徒の誘拐に国際的な非難が高まっているため、ナイジェリア政府は生徒の発見につながる情報に5千万ナイラ(約3150万円)の懸賞金を出すとしている。(ヨハネスブルク=杉山正)
【プレスリリース】ナイジェリア 女子生徒拉致 世界で最も多くの子どもが学校に通えず 現地状況をまとめたファクトシート付
2014年5月8日(PR TIMES) - リリース発行企業:公益財団法人日本ユニセフ協会
※本信は ユニセフ本部並びにユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所からの情報を日本
ユニセフ協会 広報室が独自に編集・翻訳したものです
※原文をご入用の際は 広報室(後述)までお問い合わせください
【2014年5月6日ダカール(セネガル)、ニューヨーク発】
4月に200人以上の女子生徒が拉致されたナイジェリアで新たに8名の女子生徒が拉致された
ことは、残虐かつ更なる悪夢というべき暴力行為であり、拉致された女子生徒とその家族に、
更に苦痛をもたらすものです。ユニセフは、以下の声明を発表します。
「学校への出席を阻止するために女子生徒たちを拉致したことは、言語道断の行為です」
「ユニセフは、拉致した者たちに対し、女子生徒たちに危害を加えずに直ちに解放すること
を求めます。女子生徒たちが無事に帰還できるよう、誘拐した者たちに影響力を及ぼせる
人たちに対し、あらゆる手立てをとることを要請し、誘拐した者たちが法の裁きを受ける
ことを求めます」
「ユニセフは拉致された女子生徒と共にあります。引き続き、情勢を把握し、ナイジェリア
の人々と共に団結することを表します」
■ファクトシート‐ナイジェリアの教育状況
<学校に通えない子どもたち>
・ナイジェリアで学校に通えない子どもたちは1,050万人で、世界で最も多い
・小学校に通う年齢の子どもの約3人にひとり、中学校に通う年齢の子どもの約4人に
ひとりが学校に通えていない
・ナイジェリアで学校に通えていない1,050万人の子どもたちの60%である約630万人は、
同国北部に暮らしている (補記:今回の拉致事件が起きたのは北部)
・入学手続きをしても、何百万人もの子どもたち、特に女子生徒は登校しない
女子生徒の出席率は改善しているものの、最も貧しい世帯の女子生徒の出席率は改善
していない
・国内では、農村部はほぼずべて厳しい環境にあり、さらに富と社会経済的地位は、
入学、出席、修了に影響を及ぼす
<これまでの学校への襲撃>
・2011年以前、学校への襲撃の多くは北部で起こり、建物や設備を狙い、学校に人が
いない夜間に起きていた。しかし2012年以降、教員や生徒が武装集団に狙われ、殺害、
拉致、脅迫を受けることが増えてきている
・Global Coalition to Protect Education from Attack(仮訳:学校への攻撃から守る
世界同盟:2010年設立、ユニセフなどの国連機関やNGOで構成)の2013年の報告に
よると、北部では多くの学校が武装集団に爆撃、放火、襲撃されている。武装集団は
その狙いを教員や生徒に向け始めており、教員が殺害され、大学での無差別銃撃や
爆撃などで多くの犠牲者が出ている
・アムネスティ・インターナショナルによると2013年1月から7月にかけて、50以上の
学校が襲撃された。その多くは北部のボルノ州で発生し、学校の一部が破壊されたり、
焼き討ちにあったが、隣のヨベ州での被害はほぼなかった
・ボルノ州の教育当局は、2月から3月に起きた学校への襲撃を受け、1万5,000人の子ども
たちが通学を取りやめていると推定
・特に攻撃対象となっているのは学校の教員で、2013年1月から9月の間に、約30人が銃殺
されたとの報告があり、中には授業中に殺害されたケースも。多くの教師がボコ・
ハラムに脅迫を受けた、またはボルノ州の人里はなれた町でボコ・ハラムの監視下に
入るように言われたと証言
<2014年4月、女子生徒の拉致発生>
・2014年4月8日、ボルノ州のチボックの学校から、200人以上の女子生徒が拉致され、
5月には新たに8人の女子生徒が誘拐されたとの報告
・ユニセフは、拉致した者たちに女子生徒を直ちに解放し、危害を加えずにコミュニティ
に戻れるようにすること、拉致した者たちに影響を及ぼせる人々は女子生徒が安全に
帰還できるようあらゆる手を尽くすこと、拉致した者は法の裁きを受けることを要請
<ユニセフの見解と要請>
・子どもたちに対するこのような残虐な暴力行為は決して許されるものではない
・学校への襲撃は、安全な環境で学ぶという子どもたちの権利を侵害するものであり、
子どもの未来を奪うことでもある
・世界中どこであれ、子どもの拉致は国際法において、犯罪であり、不法行為である
・ユニセフは、ナイジェリア政府に対し、子どもたちが危害を加えられずに家族の元に
戻り、安全な環境下で学習を続けられるよう、あらゆる対応をとることを要請
<ユニセフの対応>
・拉致はトラウマを与え、誘拐された人に重大な影響を及ぼす
・ユニセフはナイジェリア政府との協力や、拉致された女子生徒と家族が心のケアなど、
必要な支援を受けられるように準備中
・現在はナイジェリア政府を支援し、女子生徒が安全に家族の下に戻れるよう対応中
一例では、同国北部に接するチャドとカメルーンに、女子生徒たちが無事に帰還できる
よう、ナイジェリア当局への支援を要請など
<SNS上で“#BringBackOurGirls(女子生徒たちを返せ)”を呼びかけ>
・拉致された女子生徒たちにとって、最悪のことの一つは「忘れられること」であり、
見捨てられていないことを行動で示す必要がある
・ユニセフは、マララ基金やネルソン・マンデラ財団などと共にSNS上で
#BringBackOurGirls (女子生徒たちを返せ)を実施
ユニセフ本部のFacebookページで、賛同を示す「いいね!」のクリックと、自身のSNS
での拡散の協力を求めている
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます