国勢調査で人口水増し疑い 市制移行目指した愛知県東浦町
2012.2.26 16:14
市制移行を目指していた愛知県東浦町が2010年10月の国勢調査をめぐり、「人口を水増しした疑いがある」との匿名の情報が総務省にあり、同省が町に調査と報告を求めたことが26日、分かった。町は同年の国勢調査で市制移行の条件である人口5万人に届かず、移行を見送った。
町の人口は昨年2月の国勢調査速報値で5万80人。総務省統計局が昨年5月、確認したところ、二世帯住宅の親と子の世帯がそれぞれ別に調査票を記載するなどの問題が相次ぎ見つかった。
統計局がさらに、調査票では居住していることになっている住所を調査すると、空き地になっていることなどが分かり、今月末までに原因を調査し報告するよう町に求めた。
町の担当者は「国勢調査に使った地図の記載に誤りがあったためで作為的なものではない。総務省に報告後、きちんと説明したい」と話した。
市昇格を狙い人口を水増しか 愛知・東浦町、国勢調査で
- 2012年2月26日16時40分
2010年10月の国勢調査をめぐり、愛知県東浦町で人口が水増しされた可能性があると、総務省が町に指摘していたことがわかった。同省の調査によると 調査票に居住実態のない世帯が記入されたり、同居人が付け加えられたりした例が少なくとも90人分にのぼった。一方、町は「不正はなかったと考えている」 と主張している。
■町は捏造否定
東浦町は自動車関連や木材加工などの製造業が盛んな地域で、名古屋市のベッドタウンにもなっている。前町長の井村徳光氏(76)が市への昇格を目指し、 08年4月に市制準備室を設けた。人口は昇格に必要な5万人に達するとみられていたが、08年秋のリーマン・ショックを契機に外国人労働者の帰国が続いた。こうした状況を経て実施されたのが10年10月の国勢調査だった。
人口水増し問題で東浦町幹部ら処分 町長が謝罪
2010年10月の国勢調査をめぐり、愛知県東浦町で人口が水増しされた可能性があると総務省が指摘した問題で、町は2日、町議会の全員協議会で、居住実態を確認しないまま住民票に基づいて調査票に居住者を書き加えたことを認めた。意図的な水増しや執行部による組織的な指示については否定した。1日付で 町幹部ら4人を減給や戒告処分にした。
全員協議会の冒頭、神谷明彦町長は「重複や居住実態のない調査票が見つかり、統計の信頼を損ねた責任は重大。反省し、再発防止に努めたい」と陳謝した。 書き加えた理由について、「職員が調査のルールを十分理解しないまま、それぞれの判断で、住民票などに基づいて書き加えを行った」と説明した。
国勢調査の当時、町は市への昇格を目指していた。町議からは「(市制移行に必要な)5万人達成のために書き加えたのではないか」との質問が飛んだ。神谷町長は「調査員に聞き取りをして調べたが、組織的な指示や、わざと書き加えたものは認められなかった」と答えた。
国勢調査票に町職員が加筆 愛知・東浦町人口水増し疑惑
2010年の国勢調査をめぐり、市制移行を目指していた愛知県東浦町で人口が水増しされた可能性があると指摘された問題で、町は2日、町職員が住人の居 住実態を確かめないまま調査票の加筆を行い、職業や通勤手段など住民票では補えない情報を勝手に書き加えていたことを明らかにした。捏造(ねつぞう)とも 受け止められかねない行為について、町は「市制移行に向けた重圧があった」と釈明した。
神谷明彦町長は2日午後の記者会見で、「市制移行のために故意にやったものではない」と強調した。住民をでっち上げるような水増しについては否定したが、調査票に行き過ぎた補記があったことは認め、「統計の信頼性を損ねたことは深く反省している」と陳謝した。
町は今年に入り、調査員や職員への聞き取りなどを本格的に実施。総務省から水増しの疑いを指摘された96人分について、調査票が作られた経緯を調べた。
それによると、(1)複数の調査票に同じ人が記載されている「重複」が8世帯17人分(2)同居人の氏名が異なる筆跡で書き加えられた「加筆」が50世 帯74人分(3)世帯ごとに割り当てられた番号を、調査票に添える地図に書き入れる際、別の場所の地図に誤って書き入れた「誤記」が3世帯5人分、それぞれ確かめられた。
町は、加筆をしたのは調査票の集計と点検を担当した職員3人だったと説明。調査票に記された世帯員数が、住民票の世帯員数よりも少ない場合、「住んでいる」と考えて勝手に書き加えたという。住民票で補えない「職業」「通勤手段」などの欄は、職員が想像で勝手に埋めていた。例えば、高齢の女性であれば「家事」などと書き入れたという。
東浦町長、国勢調査で誤処理認める
2012年3月2日 12時38分
市制施行を目指していた愛知県東浦町が2010年10月の国勢調査で人口を水増しした疑いがあるとされる問題で、町は2日午前、町役場であった町 議会全員協議会(全協)で、2月29日に国に提出した最終報告書の概要を説明した。神谷明彦町長は、職員が調査票の記入漏れを追加記入できる新制度「補 記」の国通達を見落としたため、不適正な事務処理をしたことを正式に認めて謝罪、関係した職員4人の処分を発表した。
空き地から調査票が出ているなど国が特に問題視した96人分の調査結果には「組織的な命令は認められなかった」と町ぐるみの意図的な水増しをあらためて否定した。
全協は非公開で開かれ、議員17人が出席。議員らによると、神谷町長は冒頭、「調査の事務局職員3人が行政資料の取り扱いを理解しないまま、居住確認せ ず、追加記入していた。町の信用と統計の信頼性を損ね、責任は重大」と述べ、当時の担当職員と上司らの減給、戒告の処分を報告した。その上で「町の認識、 勉強不足と反省している。再発防止に努める」と謝罪した。
最終報告書作成のため、町は1月から関係職員らの聴取や現地調査した。結果、調 査票より住民票の人数が多い際、職員が居住確認をせずに漏れている世帯員を追加記入するなど、調査票の最終審査をした職員3人が誤った事務処理をしたこと が原因と結論づけた。報告書では「市制施行へ職員が大きな精神的重圧を感じ、住民基本台帳などを活用できるという部分だけが先入観として大きく印象づけら れた」と背景にも触れた。
2日午後は町が会見し、総務省も最終報告書への見解を示す。
(中日新聞)
意図的な人口水増し否定 愛知・東浦町「居住確認怠る」
- 2012/3/3 2:01
町は国勢調査当時、町民から市制移行を期待する声が多かったとし「職員一人一人に重圧になっていた」と説明。1日付で、世帯員を追記した当 時の課長補佐を減給10分の1(3カ月)、主事を同(1カ月)、管理監督責任で課長を同(1カ月)、部長を戒告の懲戒処分にしたことを明らかにした。
神谷明彦町長は記者会見で「市に移行したいと思っていた職員が多かったのは事実で、1人の漏れもなく調査を完遂したいという思いがあった。いない人を増やす意図はなかった」と釈明。「統計の信頼性を損ね、深く反省している」と謝罪した。
総務省は「このような事案が発生したことは誠に遺憾」と指摘、今後の対応を検討するとした。
報告書によると、総務省が実態解明を求めた61世帯96人について、回収された調査票を最終審査した担当職員が現地への訪問や電話などで居住確認をせずに、50世帯74人を書き加えていた。ほか11世帯22人は二世帯住宅の重複記入などだったとしている。
昨年2月公表の国勢調査速報値は市制移行条件の人口5万人を超える5万80人だったが、総務省の現地調査で居住実態のない世帯が見つかるなど、昨年10月公表の確定値では280人少ない4万9800人に下方修正。町は移行を断念した。
総務省によると、10年の国勢調査から、居住確認ができれば住民基本台帳や外国人登録原票を照合して追記することが可能になった。〔共同〕
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