東京都渋谷区の自宅で２００６年、短大生の妹を殺害、遺体を切断したとして殺人と死体損壊の罪に問われた元予備校生武藤勇貴被告（２４）の控訴審判決で、 東京高裁（阿部文洋裁判長）は２８日、殺人罪のみで懲役７年とした１審判決を破棄、死体損壊罪も認め懲役１２年（求刑懲役１７年）を言い渡した。
１審東京地裁判決は「解離性同一性障害（多重人格）による心神喪失」とした精神鑑定結果に基づき、死体損壊について無罪と判断。検察、弁護側双方が控訴し、２審も引き続き責任能力の有無が最大の争点となったが、いずれの行為についても完全責任能力を認めた。
検察側は「鑑定は診断基準を満たしておらず、信用できない。切断は遺体を容易に隠すためで当時も責任能力はあった」と主張。
弁護側は「殺害時も別人格が被告を支配していたと考えられ、心神喪失状態だった」として殺人、死体損壊のいずれでも無罪を訴えた。
