日本の2020年の温室効果ガス排出量を国内対策だけで1990年比25%減らす場合、光熱費の上昇を見込んでも、世帯当たりの可処分所得は経済成長など に伴い2005年に比べて76万円増えるとの試算が、前政権による削減中期目標の検討過程でまとめられていたことが18日分かった。
強力な対策を取っても所得増は可能だとの試算は、新政権が打ち出した25%削減の論議に好影響を与える可能性がある。
試算は、対策を取らないと国内総生産(GDP)が05年から20年に約21%成長することが前提。90年比で排出量を25%削減する場合はGDPの伸びが 約17%に鈍化するが、世帯当たりの可処分所得は05年の479万円から20年は555万円(約16%増)となり、76万円の増加を確保できる。
排出量15%削減では575万円(約20%増)に、麻生太郎前首相が掲げた8%削減なら584万円(約22%増)になるとされた。経済モデルにより可処分所得の試算値は変わるが、厳しい地球温暖化対策を取っても可処分所得の伸びが続くことが明確に示されていた。
同じ枠組みで試算すると、対策を何も取らない場合の排出量は4%増え、可処分所得は591万円となる。麻生前首相は6月に中期目標を「8%削減」と決めた際、25%削減では対策を取らない場合に比べ家計負担が36万円も増えるとだけ説明していた。
削減に伴う負担分だけが強調されていたとの批判があったが、可処分所得の伸びは前提条件などにより大きく変わり、経済学的に意味がないとの意見が強く、金額は明示されなかったという。
関係者によると、この試算には対策の進展によるハイブリッドカーや太陽光発電パネルなどの価格低下は想定しておらず、この効果を見込めば可処分所得はさらに増えることが予想される。
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