新幹線の着工結論、年度内断念 政府・与党見通し
2008年03月28日06時19分
北海道、北陸、九州新幹線の未着工区間の新規着工について、政府・与党が、結論を来年度以降に先送りする見通しになった。引き続き早期着工を目指し、09年度予算の策定作業に間に合わせることを目指すが、先行きはなお不透明だ。
政府・与党による検討は、昨年12月にスタート。3路線合わせて2兆円を超える財源について「年度内に結論を得るべく、全力を傾注する」と合意していた。
しかし、すでに着工した区間の財源に将来の公共事業費まで当て込むなど「財布は空っぽ」(国土交通省幹部)。JR各社が開業後に支払う「使用料」を前倒 しで使えないかと探ったが、JR側の猛反発で頓挫した。すでに着工している地元自治体からは、「地元負担軽減」を求める声もあがり、さらに財源が必要に なっている。
与党内にはぎりぎりまで、「開業時期は未定でかまわないので、とにかく着工させよう」と、政府・与党間合意を目指す動きがあった。しか し、熱心なのは検討対象の地元の議員だけ。ある自民党中堅議員は「昨夏の参院選の惨敗を受け危機感を持った衆院議員らが、地元向けのアピールに使った」と 解説する。
結局、「強引に進めれば、世論の批判を浴びることになる」との意見が大勢になり、年度内に結論を出すことを断念した。一方の政府側は当初から及び腰だった。「2兆円の財源が見つかる可能性は、皆無に等しい」(国交省幹部)とみていたからだ。
今後も与党を中心に検討は続く。ただ、道路特定財源をめぐる議論の盛り上がりで、公共事業全体のあり方を見直す機運が高まるのは確実。「新幹線だけ特別扱い、とはならないのではないか」(国交省幹部)と、財源探しは難航するとの見方が広がっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます