月探査機「ルナーA」計画中止 152億円散る
2007年01月31日03時02分
月面にヤリ形の観測機器「ペネトレーター」を打ち込み、内部構造を調べようという宇宙航空研究開発機構の月探査機「ルナーA」計画の中止が30日、事実 上決まった。91年以来16年間に152億円を投じてきたが、国の宇宙政策を審議する宇宙開発委員会の推進部会が続行不可能と判断、「中止が妥当」と委員 会に報告することを決めた。推進部会は「見通しが甘かった。難航した計画を中止できる体制づくりが必要だ」としている。
宇宙機構によると、ルナーAは当初95年打ち上げ予定だったが、激しい衝撃を受けるペネトレーターの開発が難航し、延期を繰り返してきた。今年ようやく 完成の見通しが立ったが、97年の完成後保管してあった母船の状態を昨年調べたところ、接着剤が劣化し振動に耐えられないなど、そのままでは打ち上げられ ないことが分かった。
報告を受けた推進部会は「母船の修理、再製作には費用がかかる」として中止を決めた。「計画開始時に人材や資金、時間を投じ、課題の発見に努めるべきだ」「遅延を認めてきたのは宇宙開発委員会。宇宙機構に頼らない独自の調査も必要」などの指摘もあった。
宇宙機構の井上一・宇宙科学研究本部長は「残念だ。ルナーAは単一目的で、計画をチェックする研究者の目が少なかった面もある」と述べ た。宇宙機構は、ペネトレーターについては国内外の探査機による活用策を探る。月探査機「ルナグロブ」を計画しているロシアなどから協力の打診が来ている という。母船は国内でロケットの試験機に載せ、先端部のセンサーとして使う案が出ている。
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