市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

薬剤師のための「初めての訪問指導」

2014-10-06 | くすり
高齢化が進むなか、在宅医療の必要性が叫ばれていますが、服薬に関しても例外ではありません。例えば、「薬局までお薬を取りにいけない」とか「自分ではお薬が管理できない」など、薬剤師の在宅訪問指導のニーズは今後ますます高まることが予想されています。
しかし、医療保険にかかる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した薬局の割合は、まだ1割にも達していません(H21年度 中医協調べ)。薬剤師の在宅医療への取り組みは、まだまだこれからといった状況なのです。

そこで市原市薬剤師会では、在宅医療に関する薬剤師へのサポート、医療機関や市民への啓発を目的とした「在宅研究会」を立ち上げました。
現在は12月に開催する薬剤師向けの在宅医療研修会の準備に取り掛かっているところです。

何しろ、患者宅に訪問して指導した経験が全くないという薬局がほとんどですから、手続きのイロハから学んでもらう必要があります。
そこで、最初の訪問の流れを研修会でわかりやすく説明するために、動画を作成することにしました。

本番前の打ち合わせ中。場所は薬剤師会の事務所がある急病センターの会議室です。


【モデルケース】
患者は80歳の男性、歩行不能、末期がん、全身の掻痒感あり。がん治療は副作用のため断念、疼痛コントロールのみ。
キーパーソンはだが、足が不自由になり、車もなく、付き添いの通院困難。
子どもは一人、別居でたまに様子を見ににくる程度。

こんな想定で、患者宅に薬剤師が薬を持って訪問し、在宅で服薬指導をするための契約を交わし、残薬を確認するという流れで演技し、ビデオに収めました。

その時の演技の様子が下の写真です。
ちなみに、私は若妻(??)役で出演しております(^_^;)。


皆で画面を確認中。「結構上手くできたね~」

役者揃いだったので(笑)、台本なし・簡単な打ち合わせと1回のリハーサルで、すんなりOKが出ました。

この日はビデオ撮りの他、今月19日に開催される「健康まつり」で薬剤師会が出すブースの確認もしました。
今回は「在宅コーナー」を設けて、薬剤師の在宅訪問に関する啓発リーフレットやパネルを用意し、栄養補助食品・とろみ剤・介護食などの試飲・試食も行います。

タンパク質が補給できるスープ、低タンパクのパンやご飯、舌の力だけでとろける鮭(この加工技術はスゴイ!!)。


お時間がある方はぜひ立ち寄ってみてください♪
場所は保健センター・YOUホールです(^_^)/

子宮頸がんワクチンの重い罪

2014-10-04 | くすり
昨日、千葉県庁の議会棟で開かれた「子宮頸がんワクチンを考える」勉強会。

勉強会に先立ち、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会千葉県支部設立総会が開かれました。


昨年3月、重篤な副反応に苦しむ一人の女子中学生の新聞記事がきっかけとなり、同様の被害者が次々と声を挙げ、同連絡会が設立されました。
千葉県支部は全国で7番目の設立。今後、大阪・愛知でも予定されています。
現在、県内では14名の被害者が登録されているそうです。

この会場で、私は車椅子に座っていたとても可愛らしい女子高校生とあいさつを交わしました。
彼女は「背が高いんですね」と言って明るく笑いかけてくれました。


勉強会では、まず江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授の隈本邦彦教授が、元NHK記者として薬害を追いかけてらした経験から、とてもわかりやすい講義をしていただきました。



どんな薬剤でも必ず副作用はあります。ですから、必ずそのリスクとベネフィット(効果)を量りにかけて投与されなければならないはずです。

ところが、子宮頸がんワクチンの場合、
・子宮頸がんを起こすウィルス(HPV)は15種類あり、そのうちワクチンがカバーできるのは2種類だけ
・HPVに感染しても、実際に子宮頸がんを発症する割合は0.1%以下と言われている
・ワクチンを接種しても、効果は人によって1000倍の開きがあり、何年持続するのかはわからない
・ワクチンはあくまでも感染を防ぐためであり、いったん感染したウィルスに対しては効果が全くない
・子宮頸がんによる死者は10万人当たり4から5人に対し、ワクチンによる重篤な副作用報告は接種者10万人あたり50人以上(しかもこれは氷山の一角)

これだけのデータを知らされたら、打ちたいという女性はどれだけいるのでしょうか。
こんなワクチンに年間300億円もの血税を使うことが、公衆衛生政策として果たして適切なのでしょうか。
定期接種の名のもと、集団強制という圧力に逆らえず接種し、結果重い副作用を背負ってしまった女子高校生たちやご家族の苦しみは察するに余りあります。


最後に、被害者のご家族3名からの訴えがありました。
頭を針でグサグサと刺される、あるいは肉をそがれるような激しい痛み、脱力発作、視力障害、食物アレルギー、意識障害、言葉の意味がわからない、漢字が読めない、自宅もわからなくなるほどの記憶障害など、30以上もの重篤な症状が続いています。ところが、病院では「精神的ヒステリー」あるいは詐病扱いされたことも。
学校にはほとんど通えなくなり、進学や就職の夢は断たれてしまいました。
重い副作用がまれにあることはTVで知ってはいたけれど、「まさかうちの子が・・・」と皆さん思われていたそうです。副作用と知らずに原因不明の症状で苦しんでいる被害者が、潜在的にまだまだ大勢いることは間違いないでしょう。

先ほど私があいさつを交わした少女の母親も
「あれ以来、私の顔もわからなくなり、笑顔でママと呼ばれることがなくなってしまった」
とお話しされていました。
あんなに明るく振舞っていた彼女がこんなに重い症状を抱えていたことを知って、私はショックで言葉を失ってしまいました。


今回の勉強会は、県議会の「市民ネット・社民・無所属」会派の主催で行われましたが、市原市の保坂市議をはじめ、自民党や民主党の県議、そして自民党の秋本真利衆議院議員も駆け付けて下さいました。
もっと多くの議員にこの実態を知ってもらって、被害者の救済や被害拡大阻止のために、党派を超えて取り組んでいきたいと思っています。


最後に、隈本先生が紹介してくださった、薬害被害者の勝村久治氏の言葉を。

副作用と薬害は違う。
薬は副作用がつきものだが、薬害は人が起こす。
過去の薬害は、カネや名誉欲によって、科学的データが曲げられたり隠されたりしたときに起きている。

本当に怖い!危険ドラッグ

2014-09-28 | くすり
千葉県薬剤師会で開かれた、学校薬剤師向けの講習会に参加しました。

千葉市にある県薬剤師会・県薬業会のビル。


県内各地から約160名が参加。


とても興味深いお話が聞けた「危険ドラッグと最近の薬物状況について」。
講師は教育新聞社編集局次長、池田康文先生です。


薬物については、昨今よく世間を騒がせていますよね。
特にこの間まで脱法ドラッグと呼ばれていた危険ドラッグ。今年上半期の検挙件数は、昨年同期の1.5倍にも増えているそうです。
この危険ドラッグ、実は大麻や覚せい剤よりも恐ろしい薬物と言われています。

なぜ恐ろしいかと言うと、

*比較的手に入りやすい。
覚せい剤は万単位のお金が必要(だからお金持ちの芸能人が時々逮捕されてますね)ですが、危険ドラッグは数千円で手に入ります。ハーブ、お香などと称して平気で店頭で販売されたり、最近はネットでの販売も増えているそうです。
今まで薬物など全く経験のない若者の使用が多く、「ゲートウェー(入口)ドラッグ」とも呼ばれています。

*どんな成分が含まれているかわからない。
有効成分に関してもそうですし、さらにそれを含んでいる乾燥植物(ハーブ)の正体も不明で、少し吸っただけで命に関わることも。でも成分がわからないので、手の施しようがないのです。これは依存性以前の問題です。

ではどういうタイプの若者が薬物に手を出しやすいのかと言うと、以下の3パターン。
・自尊感情や自己肯定感が低い
・自傷行為がある
・薬物使用についての許容感が高い

「自傷は、死にたいからやるのではなく、生きたいからやるのです」
という先生の言葉がとても印象的でした。自分を認めてほしいという心の叫びなのですね。
・・・という事は、単に「薬物は恐ろしいから止めましょう」と啓発しているだけでは、薬物乱用はなくならないのではないでしょうか。
自分なんかどうなってもいいとか、逆に自分を認めてほしいという若者の心の葛藤に、周りがどこまで気付いて寄り添えるか。
これは薬物に限りませんが、根深い問題だと思います。

因みに、「薬物乱用」という言葉について。
乱用」というと、秩序なく何度も使用するというイメージで捉えがちですが、法で禁じられている薬物の場合は、一回の使用でも「乱用」になりますので誤解のないように・・・。
イギリスでは、「abuse(乱用)」から「misuse(誤用)」へと用語を変えたそうです。

そしてこちらは、参考にと先生が紹介してくださった厚生労働省のサイト。
平成26年8月25日に新たに指定薬物になった物質を含む危険ドラッグ製品例


今日はこのほかに学校の飲料水やプール水などの管理についての講義も受けました。
環境衛生の検査や薬物に関する啓発など、学校薬剤師に求められる役目は大きい!と再確認した、有意義な講習会でした。

無駄な医療はいらない

2014-09-15 | くすり
ただ今、9月定例議会の真っ最中です。
自分の登壇日も4日後に近づいてきて、原稿作成も最後のあがきといったところでしょうか。
私の場合、お風呂に入っているときに限って上手い表現がパッと浮かんだりするのですが、お風呂から出て体を拭くころには消えちゃってるんですよね。
これって、どうしたらいいんでしょうか(笑)。


ところで、先週金曜日の総務常任委員会で、補正予算の審議をしました。
10月1日から水痘ワクチン成人用肺炎球菌ワクチンが定期予防接種になるため、予算案では新たに1億6千万円もの金額が追加されています。
本当は水痘ワクチンについても言いたいことはあるのですが、とりあえずここでは成人用肺炎球菌ワクチンについて。
市では今回、定期接種用に7,975人分任意接種用に10,527人分を見込んで予算を確保したとのこと。
定期接種も任意接種もどちらも最終的には本人の判断にゆだねられるものですが、定期接種は国が接種を強く進めているワクチンで、公費負担があります。任意接種は基本的に自己負担ですが、自治体の裁量で公費負担となる場合があります。
定期接種の対象者は、65歳、70歳、75歳・・・と5歳刻みの年齢にあたる高齢者です。つまり、すべての65歳以上の高齢者にワクチンが接種されるのは、5年後ということになりますね。ワクチンの有効期間は5年間なので、これ以降すべての高齢者が5年ごとに公費補助でワクチンを受けることができるという訳です。
そして今回は定期接種に加えて、5年後まで待てない、すぐに打ってもらいたい、と言う方のために、市は任意接種の場合も補助対象としました。本人負担は、定期・任意とも4000円だそうです。

まあ、反対はしません。
しませんが、次から次へと現れる必然性のないワクチンに、一体どれだけお金をかければ済むのだろう、とため息が出てしまいます。

成人用肺炎球菌ワクチンが必要な理由に、高齢者の肺炎による死亡率の高さが挙げられています。でもそれは肺炎球菌が原因というよりも、嚥下機能が衰えたことによる誤嚥性肺炎の方がずっと多いのです。しかも、肺炎球菌には80種類もの型があり、ワクチンが効くのはそのごく一部。
莫大な税金を投入する割には、ワクチンの効果などたかが知れています。ましてや、60歳代の元気いっぱいのお年寄りに接種しても、何の意味もありません。

成人用肺炎球菌ワクチンに関しては、2年前もブログに書きました。参考まで。
「くすりのはなし 成人用肺炎球菌ワクチンの接種は慎重に」

補正予算の審査では、
「せめて任意接種の分は、医療機関や地域包括支援センターなどに呼びかけて、ハイリスクのお年寄りから接種されるよう配慮してください」
と提言しました。
それから、勢いでついつい
「そのうちデング熱のワクチンも開発されて、これも定期接種に・・・なんてなるかもしれないですよ。こんなことしてたら、いくら医療費があっても足りませんよ」
なんて言ってしまって、
これはちょっと言い過ぎたかなあ、なんて思っていたんですが、今日になってこんなニュースが舞い込んできました。

デング熱ワクチン開発の裏にある問題点(日刊SPA!)」

デング熱も、安静にしていれば治る病気。
昔のように、汲み取りの便所で、肥溜めの堆肥を撒いていて、ハエもネズミもウヨウヨしていた、なんて時代とは違って、今や日本は世界一清潔な国。感染性の病気など、むやみに恐れる必要は何もないのです。
特に深刻な疾病を抱えていない限り、自然に感染して治ってしっかり免疫をつけていくことが、健康長寿への近道だと私は思っています。


写真は、土曜日に行われた八幡中の運動会にて。


すっかり八幡の伝統になったエイサー。



リレー競技はいつ見ても興奮します。
昔リレーの練習で、バトンの受け渡しを何度も何度も繰り返し練習した時の記憶がよみがえりました(^.^)。

薬剤師の未来は

2014-07-31 | くすり
今日も、地域の声を聞いたり事務所で会議に出席したりとあちこち飛び回った一日。教育長とも面談させていただきました。
市原市はこの夏、現在開かれている全国高校総体のアーチェリー競技の会場で、近々高円宮妃が「お成り」になることに加え、東海大学付属望洋高校の市内初の夏の甲子園出場が決定したばかりです。
教育長もお忙しいながらも「嬉しいイレギュラーがダブルで舞い込んでしまって」と、終始笑顔でした。


さて、夜は千葉市で開かれた「千葉県薬剤師連盟 みらいフォーラム21」の学習会に参加。

厚労省は薬剤師に何をさせたいか?
今後の薬剤師はどう変わる?
というテーマで、薬学博士の藤井基之参議院議員にお話を伺いました。



現在世間を騒がせている危険ドラッグ(脱法ハーブ)や医薬品のインターネット販売など、興味深いトピックスはたくさんあったのですが、私が藤井先生のお話全体を通して最も印象に残ったのは、日本では、政府を含めた社会における薬剤師に対する認識が、まだまだ「医療従事者」ではなく「クスリの調剤者あるいは販売者」という域を出ていない、ということでした。
セルフメディケーションの推進や病院中心から在宅中心の医療へと政府が舵を切る中、今後の薬剤師のあり方も大きく変えていかなければなりません。
特に、今年の4月から薬局などでの自己採血検査が認められるようになったのは、大きな転機です。地域の薬局が住民の保健拠点として重要な役割を担うことが期待されるところです。

もともと薬剤師は「政治に疎い」と言われているようで、藤井先生もかなり忸怩たる思いがあるようです。
そもそも、今日のテーマ「国が薬剤師に何をさせたいか」ではダメで、「我々薬剤師が国に何を求めていくのか、あるいは何をしたいのか」という視点で、もっと自ら声を挙げていかなければならない、と盛んに檄を飛ばされていました。

ダメ。ゼッタイ。

2014-07-15 | くすり
このタイトルは、もちろん薬物乱用防止キャンぺーンの標語のことです。
日本エレキテル連合の「ダメよー、ダメダメ」ではありませんので、悪しからず(笑)。

もとい・・・
脱法ハーブがらみの事件が、このところ頻繁にニュースで流れていますね。本当に嘆かわしいことです。
私は昨年、学校薬剤師研修会で、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の先生から、近年の薬物乱用の傾向や脱法ハーブの恐ろしさをわかりやすく教わりました。その時の様子をブログに書いていますので、ぜひぜひ覗いてみて下さい。
薬物乱用を防ぐために
特に、サルを使った実験の話は、本当に衝撃的でしたよ。

薬物依存は、人間の脳の機能のうち、本能を司る部分が支配されている状態なのだそうです。
例えば、眠い・お腹が空いた・のどが渇いた・トイレに行きたい・・・
薬物を我慢するという事は、これらを我慢するに等しい苦しみだと思ってください。
そう考えれば、意思の力でどうこう出来るような簡単なものではないという事がお判りでしょう。
ですから、絶対に手を出してはダメなのです。


さて、写真は最近の活動から。
養老地区と戸田地区で昨年から実証実験が行われているデマンドタクシーの現状について、
市民ネットのメンバー数人と一緒に、市の職員の方から説明を受けました。

地図を使ってわかりやすく丁寧に教えていただきました。

デマンドタクシーとは、予約によって自宅から目的地までバス並みの低料金で利用できる乗合タクシーのことを言います。交通が不便な地域で車も運転できないお年寄りには、とても有難いサービスですよね。
伺ったところでは、一度利用した方からは大変便利だと喜んでもらえているようなのですが、まだまだ知られていないのか、知っていても二の足を踏んでいるのか、利用者の伸びは今一つのようです。
利用者が少なければ、この制度を維持していくのが難しくなります。地域が主体となって、この仕組みを育てるという意識がとても大事です。

学校薬剤師のお仕事

2014-06-04 | くすり
ちょっと大げさな表現ですが、私のもう一つの顔、
それは学校薬剤師(笑)。
今日は、受け持ちの八幡小学校の飲料水検査と給食検査を行いました。

学校薬剤師は、学校保健安全法ですべての学校に置くこととされていますが、ほとんどの方がご存じないと思います。
そこで、今日はお仕事の様子をちょこっとだけ紹介(^^)。

飲料水の遊離残留塩素濃度の簡易測定です。
水道水を容器に汲んで試薬を入れ、測定器の真ん中にセット。


左右のどの色に一番近いかを目視で判断します。濃いピンクほど値が高くなります。


給食検査
給食室の衛生環境や管理体制など、36項目を確認します。
先日、千葉県内の学校で給食の牛乳を飲んだ児童生徒等800名以上が体調不良を訴えた、という事件が起きましたね。そのため当面、牛乳の代わりに「ジョア」が届けられています。


給食室の机の隅に置かれていたのはホウ酸団子。子供たちの手作りです。

市内の学校では、建物内での害虫駆除に薬剤は使いません。とてもいい取り組みですね。

今日は6月4日、歯と口の衛生週間の真っ最中です。
八幡小ではこの日、学童歯磨き大会が行われました。インターネットによるライブ中継を通じて、日本各地や世界から約6万6千名の小学生が参加するのだそうです。

保健室には、転んで擦りむいた、頭をぶつけた、と子供たちがひっきりなしに駆け込んできていました。
学校での子供たちのナマの様子がわかる、学校薬剤師はちょっとお得なお仕事です(^^)。

薬物乱用を防ぐために

2013-10-07 | くすり
いきなりですが、問題です。
昨年の薬物事犯者(薬物で捕まった人)の原因薬物、ベストスリーはなんでしょう?

答え:一位 覚せい剤、二位 大麻、三位 有機溶剤 です。

1970年代の初めから90年代の初めごろまでは、若者の「シンナー遊び」などという言葉がよく聞かれたように、ダントツに有機溶剤が多かったのですが、今はほとんど少なくなりました。
理由は、他の薬物が手に入りやすくなったから。今では、シンナーを吸っていると馬鹿にされる(?)くらいなのだそうです。


これは、昨日幕張で行われた学校薬剤師会研修会の講演内容の一コマです。

テーマの一つが、「学校薬剤師が知っておくべき薬物乱用の現在」で、これがとても興味深いお話だったんです。

演者の国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の和田清先生


先生は、「今は、捕まる人たちよりも、捕まっていない人たちが使っている薬物が大問題」と続けました。
薬物による精神疾患患者の原因薬物のベストスリーを見ると、それがよくわかります。

一位 覚せい剤、二位 脱法ドラッグ 三位 睡眠薬

これはショッキングですよね。
覚せい剤はともかく、脱法ドラッグが急浮上し、しかも三位は情けないことに処方薬なんですよ。

最近の薬物乱用の特徴は、「捕まる薬物」から「捕まらない薬物」へ。そんな傾向が、はっきりと現れているのだそうです。

始まりは、1998年ごろ。
「マジック・マッシュルーム」などという、干からびたシイタケのようなものが「観賞用植物」として堂々と売られていました。
対象薬物を規制しても、化学構造式の一部をちょっと変えただけで規制を逃れ、栄養剤、お香、アロマなどと称されて次々と出回るようになりました。
現在は「脱法ハーブ」などとさらにマイルドな名称になって、見た目も本当にハーブのようなのですが、これがマイルドなんてとんでもない、れっきとした「毒物」なんです。

和田先生曰く、「大麻や覚せい剤の方がまだマシ」なのだそうです。
なぜなら、脱法ハーブは薬理作用が不明で、何がどのくらい混ぜられているのかも全く分からないから。
中には、「依存症が起きる間もないくらい」のいきなりの急性中毒症状で、命の危険にさらされるケースも決して少なくないのだそうです。

サルを使った薬物依存の実験があります。
最初は、サルがレバーを1回叩くと薬物がサルに注入される。次は2回叩くと注入。次は、倍の4回叩くと注入。
次は8回、16回、32回・・・と、だんだんレバーをたくさん叩かなければ薬物が注入されないようにしていくと、サルは薬物欲しさに何回までレバーを叩くようになるのか?という実験です。
その結果、ニコチンは1600回、モルヒネは6400回。コカインはなんと12800回も叩き続けるのだそうです。
想像してみてください。
飲まず食わず眠らずに、ただコカイン欲しさに12800回もレバーを叩き続けるサル。
もちろん体力的にも限界がきますし、薬物の影響で心臓も弱ります。結果的に、心臓発作で死ぬまで叩き続けるのだそうです。

人間の薬物依存の姿も、これに重なります。

薬物経験者は、中学生の頃から始める人が少なくないのだそうです。
現在、学校の学習指導要領では、小6、中3、高1で薬物乱用防止教育を受けるようになっています。
脱法ハーブのような正体がわからないシロモノを体内に入れるという愚かな行為は、絶対にしてはダメ!ということを、子供たちにしっかりと伝えなければなりません。

ここで学校薬剤師の出番です。
学校薬剤師が薬物乱用防止教育に関わるケースが、近年多く見られるようになってきました。
また、こうした薬物に限らず、医薬品全般に関する適切な知識を子供たちに伝えることも、これからの学校薬剤師に求められている、とのことでした。


別の講演では、文科省のスポーツ・青少年局 学校健康教育課の北垣邦彦氏から、「顔の見える学校薬剤師」を目指してほしい、とのお話もありました。
飲料水や空気などの環境検査だけではなく、子供や職員の中に入って専門家として知識を伝えていくことが期待されています。

正直、何もわからず引き受けた学校薬剤師の任務ですが、こんなにも奥が深かったのですね。とても考えさせられました。
その他の講義も、それぞれわかりやすく参考になるものばかりでした。「参加してよかった」と心から思える研修会でした。

学校薬剤師とは

2013-09-10 | くすり
9月4日に開会した市議会定例会。
今週は月曜日から3日間にわたって、各会派による代表質問が行われています。
私の出番は1週間後。今は質問原稿の完成に向けて大詰めを迎えている、という感じです。


そんな中、今夜は学校薬剤師の研修会へ。



学校薬剤師とは何ぞや?から始まって、飲料水やプールなどの定期検査の基礎を約1時間にわたって教わりました。

学校薬剤師の誕生は、
昭和5年に小樽市の小学校で、女子児童に風邪薬と間違えて昇汞(しょうこう)を飲ませ、死亡させてしまったという事故がきっかけなのだそうです。

「学校薬剤師は単なる検査屋ではない。児童生徒の命を守るという使命を負っている」
「学校の非常勤職員であることを自覚し、指導という目線ではなく、教職員と一緒に考えるという目線で学校の保健に寄与する」

なるほど(^^)。

何しろまだ新米なので、自分がやるべき手技をこなすのに精いっぱいなのが現状ですが、
この言葉はよ~く肝に銘じたいと思います。

ちなみに、9月下旬からは、空気(二酸化炭素濃度)や照度・照明の測定と黒板検査があります。


そうそう、
今月に入って、市内の臨海部の工場の敷地内で、特定外来生物のセアカゴケグモが5匹、県内で初めて確認されました。

猛毒を持っていて、咬まれると場合によっては皮膚が腐ることもあるそうです。
見つけたら絶対に素手で触らないようにして、殺虫剤スプレーで駆除してくださいね。

こんな情報も、もう学校には伝わっているのでしょうか。
明日、担当校に確認してみよう・・・。

薬剤師としてできること

2013-08-30 | くすり
今日傍聴した各会派連絡会の中で、本庁舎の耐震対策について、総務課からの説明がありました。
これまで議会等でさんざん「『防災棟』のイメージが見えない」との指摘がなされてきましたが、今日になってようやく市側の考えるイメージが見えたという感じです。
あくまでも「イメージ」なので公にはできないということですが、おおよそこれを基に、現在委託先のコンサルタント会社が基本計画を策定している最中です。

個人的には、この会議だけでは今一つはっきりせず、のちに個別に総務課に問い合わせ、やっと理解した点がいくつかありました。
この疑問って、私だけじゃないような気がする・・・。
今後、ちゃんと統一した認識の下で議論がなされていくのか、ちょっと心配です。


さて、奥歯に物が挟まったような話題はこれくらいにして。

写真は昨日都内で開かれた「薬剤師地方議員意見交換会」にて。


薬剤師の政治家って、とても少ないんですよ。全国で地方議員・首長合わせても49名、プラス国会議員3名。

最も法律でがんじがらめになっている職業のうちの一つであるにも関わらず、そのことを自覚していない薬剤師が多すぎる。特に若い薬剤師にはきちんと伝えて、政治に関心を持ってもらうようにしなければならない、と日本薬剤師連盟の幹部の方がおっしゃっていました。

例えば、社会保障予算や薬事法改正以外に、当面の大きな課題としては、
・一般用医薬品のネット販売(安全・安心な制度づくり)
・消費税増税(問屋に税金を払ってクスリを仕入れ、患者に売るときは非課税。泣く調剤薬局)
・TPP(薬価制度はじめ医療制度への影響は不透明)
などがあげられます。

今回、大学の同窓の先輩方をはじめ、全国各地で頑張る薬剤師議員の皆さんと交流できたのは、とても意義深いことでした。
今後の自分の活動の一つに、「薬剤師が挑戦できるまち・活躍できるまちへ」という視点が加わったのは、個人的にはとても大きなことです。改めて、薬剤師としての役割を認識させられた意見交換会でした。

市原市議会からは、唯一2名もの参加!星野議員と。
日本薬剤師連盟の中本副会長を囲んで。

皆さんの応援が励みになっています


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