ワニなつノート

「インクル」と「フルインクル」(その2)

「インクル」と「フルインクル」(その2)


インクルージョンとかインクルーシヴな教育とかの
「西洋語」を、世界の最先端のように
「信仰」していると、足元をすくわれるよって、
言われてる気がします。

「インクル」とか「ニーズ」とか、
自分の実感としてよく分からない言葉を聞いたときには、
「欧米か!」とつっこむ必要があるのでしょう(^^)v

「欧米か!」という突っ込みで、
私がすぐにすぐに思い出したのは、
ALSの橋本みさおさんのことでした。

橋本さんは、1993年、
39歳のときに人工呼吸器をつけ、
それ以来、24時間介護者を確保しての
在宅生活をしています。

橋本さんは、2000年にデンマークで行われた
ASLの国際会議に参加しましたが、
そのきっかけが、オランダのALS患者の
インタビュー記事にあった医師のコメントでした。

「オランダでは、人工呼吸器の装着は、
神の意志に反するので、つけない」

そうした現実を変えるために、
日本の人工呼吸器装着患者の在宅療養について
訴えに行きました。

橋本さんが、「人工呼吸器」をつけて、
「在宅」で、「ふつうの生活」ができると発言したことで、
その可能性に初めて気づいた人も多かったようです。

『ベルギーの患者は、「自分の将来に希望が見えた」といい、
イギリスの医師は、
「今まで人工呼吸器はお金の無駄遣いと主張してきたが、
あなたの話を聞き、姿を見て、
自分の患者のQOLをあらためて考えた。
これからは、人工呼吸器についても勧める」といった。』


また、橋本さんは、発表のあと、
「みさおは世界一」だと言われますが、
それは、橋本さんが築き上げた「介護体制」のことでした。

つまり、24時間介護者をつけて家で暮らすという、
日本の障害者の「自立生活」運動は、「世界一」なのです。

そして、Hideのような最重度の知的障害者に、
厚生省他人介護認定が認められたのは、日本初です。

だから、Hideが国際会議で、自分の生活を語れば、
世界の人から、「Hideは世界一」だと言われるでしょう。

でも、Hideは自分ではそんな報告はせず、
ただ、たんたんと、毎日の自分の生活を楽しんでいるのでしょう。
明日は、Hideの誕生会が開かれるようです(^^)v

さて、話がそれましたが、
私たちは、「ノーマライゼーション」とか「インクル」とかの、
「欧米語」に頼らなくても、それ以上に大きな宝物が、
目の前に豊富にあるのです。

日本の自立生活運動を進めてきた障害者の人たちの言葉に、
もっともっと耳を傾ければ、外国に学ぶ以上に
大きなものを学べる環境にあると思うのです。

そうそう、私が山田さんのインクルの話を読んで、
すぐに思い出したのは、
橋本さんの本に書かれた次の場面でした。

           

デンマークの町で、ショッピングに出かけた街中で
すれちがった通行人が、
「あれで彼女は幸せなの?」と言った。

「デンマークは個人主義で福祉先進国だと聞いていましたから、
市民が旅行者に、そのような関心を示すことが不思議でした。

それよりも、街で私のような重度障害者に
出会わなかったことが、不思議で奇異に感じました」

       ☆



そう、私は、たくさんの、様々な障害をもつ
「ふつうの子ども」たちが、ふつうに地域の学校に通い、
〇点でも高校へ通い、施設ではなく、
地域で自立生活している現実を目の当たりにできている、
まさに「世界一」の環境にいるのだと思うのです。
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