私の思いと技術的覚え書き

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クルマのメタボ化に思う

2008-12-24 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 この写真はホンダのHPから拝借して来たものです。左側が40年程前にホンダがF1グランプリに初挑戦した1500ccのF1マシーンで、右側が現行のF1マシーン(2400cc)です。Hondaf1

 まあ、世界的なクルマの販売不振もあり、ホ ンダは次年のF1活動を中止したそうですが、総計1千名、年間総予算500億円、おまけに勝てないとう現状では、賢明な結論だと思います。

 しかし、この写真を見て改めて思いますが、なんて車体が大きくなっているんだとビックリします。多分初代の頃のF1はレーシングタイヤと云っても、タイヤの摩擦係数(μ:ミュー)は0.8位がいいところでしょう。従って、コーナリングでの旋回もそれが限界です。しかし、現行のF1等のレーシングタイヤ(ドライ用)の摩擦係数は1.4位あると云われています。しかも、200キロを超える高速では、車体重量の2倍を超えるダウンフォース(下向きの力)を得ています。ですから、タイヤの接地加重は、3倍相当まで押し付けられますから、動的な摩擦係数も4.0を超えることになります。250キロ近い高速コーナーにおける4Gの旋回感とは、どんなものなのか経験して見たいと思います。

 ところで、車体の大型化ですが、エンジンの高出力化によるタイヤのワイド化やそれに伴うトレッドの拡幅等がありますが、一番大きいのはロングホイールベース化があります。この写真では良く判らないでしょうが、側面から見ると良く判ります。現行F1のホイールベースは3mを超えているのです。トレッドとしては1.4m代ですから、市販車と大して変わらないのですが、ホイールベース的には、センチュリーを超える様なものです。

 一般的にはホイールベースが長い程、直進性が高まるけど、曲がり難いと云われています。しかし、F1マシーンではロングホイールベース化がトレンドなのです。その理由は、車体下面の面積の増大にあります。グランドエフェクト(地面効果)という、車体下面を飛行機の翼と逆の曲面にして、負圧を生みだし車体を路面に吸い付けることは禁止されていますが、車体下面をフラット化させ、後部を跳ね上げる形状(デフェーザー)は許されている様です。この様なメリットがあるか故の、ロングホイールベース化なのであろうと思います。

 さて、本論のクルマのメタボ化ですが、この最たる国が米国です。幾ら国土が広く今までガソリンが安いからといって、V8・5リッターのフレーム付きの重いピックアップやSUVばかり売りまくって、国民もそれを好んで来たんですから呆れたものです。

 米国と比べれば日本はまだましですが、昔と比べれば確実にメタボ化は進んでいると感じられます。大体中級クラス以上のクルマでは、今や3.5リットルV6エンジンが当たり前の様に搭載されています。トヨタなんかはプリウス以外のハイブリッドは、ベースエンジンは3.5リットルでプラスモーター出力ですから、呆れ果ててしまいます。

 それと、1ボックスやSUV等の馬鹿重いクルマが増え過ぎたと思います。何で、2トンもあるアルファードみたいなクルマに1人で乗っているんだなんて風景を良く見掛けるものです。2トンのクルマが1.5トン位まで減量すれば、燃費だって20~30%位向上するはずです。

 という訳で、これからは量販車ではメタボなクルマは売れなくなると想像しています。しかし、そうなると、メーカーとしては付加価値が付け難く、台当たりの利幅が圧縮されて行くはずです。でも、それを乗り越えられない量販車メーカーは、滅亡するしかないのだろうと思います。




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