損保会社内で云う「接近事故」とは
元損保調査員として、ルポルタージュ的な内容を過去にも記して来たのだが、今回は損保業界内でいう「接近事故」について記してみたい。
この接近事故とは、保険の新規加入とか担保種目追加(例えば車両を付保していなかったのを追加など)、車両入替などの端緒から比較的日数を経ていないで事故が報告される事故のことを指し、保険会社により多少の取り扱いは異なるが接近事故要件に当てはまると、接近事故のスタンプが事故受付票に付されると共に、あらゆる調査項目に注意を払うということになっている。この保険契約の加入や変更などなどの端緒から事故日までどの程度までが接近事故になるのかは、取り扱う保険会社により多少異なるだろうが、一般には14日(2週間)~30日(1月)程度の場合が多かろうと思う。
つまり、同じく保険用語だが「アフロス」というのがある。これはいわゆるアフターロスの略語で、事故の後に保険に加入したり、保険種目を追加して損害を詐欺的に騙し取ろうという犯罪なのだが、これを警戒していると云うことなのだ。
この接近事故アラートがある案件については、まず入金確認が問題ないか、契約経緯に不自然さがないか、事故損害車の経時的な変化に問題がないかなどを中心に調査をすることになっているのだが、拙人の実感としては、損害調査員にその様な意識で調査を行っているのか疑問を生じる者も当時から存在した様に思える。
このことは何度も記しているのだが、損害調査員(技術アジャスター)のことを、自整BP業が見積屋という意識でいることについて、大きな誤解をしていると思って来たのが拙人だが、当の本人(アジャスター)自身が、見積屋の意識でいる者が多いと感じられこれは正直情けないと云うか、残念なことだと思っている。
そもそも、私は損保退職後も様々自整BP業を訪問して、様々な情報交換を行うことがあるが、そんな中で事故車の立会に名も知らぬアジャスターが来訪することもあり、その挙動とかを遠目に観察しているのだが、何しろ以下の様な会話が交わされて終わりだ。
・こんにちは。○○様の△△車が入っていると聞きまして立会に来ましたので、車を見せて下さい。
この後、車両の観察や写真撮影などする。
・それでは、車を立会終わりましたので失礼します。場合により、後ほど見積をFAXさせてもらいます。
てな、感じで、工場主やフロントマンとの会話もそこそこに、その工場を辞去するのだが・・・
想像するに、損保によっては立会訪問時間を入力し、終了時間を入力し、1日立会する予定が4、5件もあり、それぞれ離れていれば1件の立会所要時間を充分取れないという管理の強化もあるのだろう。
しかし、この場合の工場と該当アジャスターが、相当に顔見知りで信頼関係が充分生まれている様子も見られない中で、こういう姿でいいのだろうかと暗然とする気持ちになる。
そもそも、その工場に初めて立会なら、担当アジャスターはその工場がどんな気風でどんな考え方をしているのかを、世間話もしがてらそれとなく会話の中に入れ込んで聴取するのが当然だろう。その中に、改まって聞くのではなく、この車両が何時どういう形で入庫したのかを聴取しなければならないのだが、そういう会話が一切ないのだ。これは、先の接近事故と同じで、必ずしも接近事故に関わらず、何時どういう形で入庫したかは、様々な発見の探傷になる重要情報なのだが、今のアジャスターはそういう教育がなされていない様だ。
それと、立会を終えたら、後でFAXで見積送りますの前に、工場側はどういう大まかな修理方法を予定しているかを聞き、少なくとも見積の核になる部分だけでも打ち合わせるべきだろう。(例えばクォーターパネル板金か取替かなど)
それと、現代アジャスターは車両の立会専門に行動していることが見受けられるが、立会車が単独自損事故であり、必ずしも不自然さがなかったとしても、事故受付票にガードレールに衝突と記してあるが、どうなんだろうと思えば、事故現場に赴き、該当ガードレールに一致する損傷だとか、契約車両の塗膜痕が付いているのかなど追加調査を命じられなくてもするのが当然だろう。ヘタをすると、「接近事故」アラートになっている事案でも、この調子でまったく同じ行動を行っている者がいそうに思える。
#保険用語「接近事故}
元損保調査員として、ルポルタージュ的な内容を過去にも記して来たのだが、今回は損保業界内でいう「接近事故」について記してみたい。
この接近事故とは、保険の新規加入とか担保種目追加(例えば車両を付保していなかったのを追加など)、車両入替などの端緒から比較的日数を経ていないで事故が報告される事故のことを指し、保険会社により多少の取り扱いは異なるが接近事故要件に当てはまると、接近事故のスタンプが事故受付票に付されると共に、あらゆる調査項目に注意を払うということになっている。この保険契約の加入や変更などなどの端緒から事故日までどの程度までが接近事故になるのかは、取り扱う保険会社により多少異なるだろうが、一般には14日(2週間)~30日(1月)程度の場合が多かろうと思う。
つまり、同じく保険用語だが「アフロス」というのがある。これはいわゆるアフターロスの略語で、事故の後に保険に加入したり、保険種目を追加して損害を詐欺的に騙し取ろうという犯罪なのだが、これを警戒していると云うことなのだ。
この接近事故アラートがある案件については、まず入金確認が問題ないか、契約経緯に不自然さがないか、事故損害車の経時的な変化に問題がないかなどを中心に調査をすることになっているのだが、拙人の実感としては、損害調査員にその様な意識で調査を行っているのか疑問を生じる者も当時から存在した様に思える。
このことは何度も記しているのだが、損害調査員(技術アジャスター)のことを、自整BP業が見積屋という意識でいることについて、大きな誤解をしていると思って来たのが拙人だが、当の本人(アジャスター)自身が、見積屋の意識でいる者が多いと感じられこれは正直情けないと云うか、残念なことだと思っている。
そもそも、私は損保退職後も様々自整BP業を訪問して、様々な情報交換を行うことがあるが、そんな中で事故車の立会に名も知らぬアジャスターが来訪することもあり、その挙動とかを遠目に観察しているのだが、何しろ以下の様な会話が交わされて終わりだ。
・こんにちは。○○様の△△車が入っていると聞きまして立会に来ましたので、車を見せて下さい。
この後、車両の観察や写真撮影などする。
・それでは、車を立会終わりましたので失礼します。場合により、後ほど見積をFAXさせてもらいます。
てな、感じで、工場主やフロントマンとの会話もそこそこに、その工場を辞去するのだが・・・
想像するに、損保によっては立会訪問時間を入力し、終了時間を入力し、1日立会する予定が4、5件もあり、それぞれ離れていれば1件の立会所要時間を充分取れないという管理の強化もあるのだろう。
しかし、この場合の工場と該当アジャスターが、相当に顔見知りで信頼関係が充分生まれている様子も見られない中で、こういう姿でいいのだろうかと暗然とする気持ちになる。
そもそも、その工場に初めて立会なら、担当アジャスターはその工場がどんな気風でどんな考え方をしているのかを、世間話もしがてらそれとなく会話の中に入れ込んで聴取するのが当然だろう。その中に、改まって聞くのではなく、この車両が何時どういう形で入庫したのかを聴取しなければならないのだが、そういう会話が一切ないのだ。これは、先の接近事故と同じで、必ずしも接近事故に関わらず、何時どういう形で入庫したかは、様々な発見の探傷になる重要情報なのだが、今のアジャスターはそういう教育がなされていない様だ。
それと、立会を終えたら、後でFAXで見積送りますの前に、工場側はどういう大まかな修理方法を予定しているかを聞き、少なくとも見積の核になる部分だけでも打ち合わせるべきだろう。(例えばクォーターパネル板金か取替かなど)
それと、現代アジャスターは車両の立会専門に行動していることが見受けられるが、立会車が単独自損事故であり、必ずしも不自然さがなかったとしても、事故受付票にガードレールに衝突と記してあるが、どうなんだろうと思えば、事故現場に赴き、該当ガードレールに一致する損傷だとか、契約車両の塗膜痕が付いているのかなど追加調査を命じられなくてもするのが当然だろう。ヘタをすると、「接近事故」アラートになっている事案でも、この調子でまったく同じ行動を行っている者がいそうに思える。
#保険用語「接近事故}