余程小さな車両メーカーでない限り、自社所有の研究所を持っているだろう。また、車両メーカーでなくとも車両の走行関連に極めて密着するタイヤメーカーなど、評価施設としての研究施設を保有している。この研究施設としては、プルーピンググラウンドと呼ばれる高速周回コースが筆頭だが、各コーナーがバンクで構成され、1週が6キロ程度のある様なものだ。この様な高速周回路は、特別の研究施設を持たない場合でも、工場敷地の外周をコースとして、その内側に工場棟など施設を設置している形態が、そもそもの始まりだったと思うが、目標速度が当初の東名高速道を十分安定を持って走り続けられる150km/h程の時代から、180km/h程度のクルージングを可能にする、より大型で風洞実験や衝突試験場など、総合的な試験が行える外部研究所というのを作り出す時代になった。トヨタで云えば、静岡県裾野市に東富士研究所が設立されたのが70年代初頭だろう。トヨタでは、それから20年程ほどした80年代中頃には、200km/h以上でクルージングできる、より高速の周回路と寒冷地評価も予て、北海道士別町というところに士別研究所を設立している。この高速周回路の評価から生まれたのが、初代セルシオ(レクサスLS)だろう。この士別高速コースは1周10km、半径250mのバンクコーナーは最大斜度45度で、何らステア操作せず200km/hで通過できる設計とされているそうだ。
この様なバンクコーナーだが、改修前の富士スピードウェイ(以下FSW)にも存在したし、映画「グランプリ」などで眺める伊モンツァのバンクも有名だった。富士のバンクは、その一部がメモリアルとして残されていて、自由に見ることができる。結局のところ、ここで多くの悲劇が生じ、閉鎖されることになってしまった。テストコースのバンクは、タイヤに働く横力と垂直荷重との合力として、路面荷重として車両を押さえ付ける力として働かせ、極めて安定して高速周回の連続を行える。しかし、レースコースにおいては、スタート直後の密集車両群が、接近しつつバトルを行うということで、接触事故が絶えなかったのと、それら事故が極めて高速の中で生じることから多くの死者を生み出したのだろう。この30度バンクの1コーナー入口から2コーナーを眺めると、右斜め下に下るような感じで先は見通せない。俗に「須走落とし」と呼ばれた様だが、ストレートエンドの最高速で、度胸一番バンク最上段に進入する。
さて、現在のFSWだが、元々の三菱地所から営業権をトヨタが買収して現在に至っている様だが、非上場企業で詳しい株主比率などは不明だ。たぶん50%をトヨタが、残り25%を三菱地所と大成建設が保有しているではなかろうか。それと、FSWの土地のすべては、自己所有されている訳ではない様だ。元々広大な山林の駿東郡小山町大御神(おおみかみ)の地権者の個人だろうか財産区だろうかから借地している様子を聞くことがある。トヨタ買収以後のFSWはF1グランプリ開催に向けて、その公認を取るため、コースの大改修を行った。コースのエスケーブゾーンとか、各施設の新規や増強などだろう。そして、路面舗装も全面的施工し直した。この路面舗装であるが、若干施設のことを伺い知る知人から聞いたのだが、24時間操業体制で連続舗装を行ったとのことである。つまり、日毎の分割舗装だと、継ぎ目にいわゆるコールドジョントたる段差ができるのを避けるため、連続舗装して最終ジョントを1カ所のみにし、そこを徹底的に仕上げたということらしい。しかし、そこまで人工的処理を行わねば、現代F1は走れぬのか。それは、純粋培養されたサラブレッドが、荒野とまでもいえぬできぬ良好地ですら走れぬと同じだ。現代F1の空力ダウンフォースは、車重の3倍とか云っている。そのダウンフォースを生み出すための低い車高は、アクティブサスによる可変を禁じられ、メチャメチャ硬いサスで固められた足となっているんだろう。クルマとしてイビツなゲームになっていると感じるのが私見だ。
30度バンクの思い出
この様なバンクコーナーだが、改修前の富士スピードウェイ(以下FSW)にも存在したし、映画「グランプリ」などで眺める伊モンツァのバンクも有名だった。富士のバンクは、その一部がメモリアルとして残されていて、自由に見ることができる。結局のところ、ここで多くの悲劇が生じ、閉鎖されることになってしまった。テストコースのバンクは、タイヤに働く横力と垂直荷重との合力として、路面荷重として車両を押さえ付ける力として働かせ、極めて安定して高速周回の連続を行える。しかし、レースコースにおいては、スタート直後の密集車両群が、接近しつつバトルを行うということで、接触事故が絶えなかったのと、それら事故が極めて高速の中で生じることから多くの死者を生み出したのだろう。この30度バンクの1コーナー入口から2コーナーを眺めると、右斜め下に下るような感じで先は見通せない。俗に「須走落とし」と呼ばれた様だが、ストレートエンドの最高速で、度胸一番バンク最上段に進入する。
さて、現在のFSWだが、元々の三菱地所から営業権をトヨタが買収して現在に至っている様だが、非上場企業で詳しい株主比率などは不明だ。たぶん50%をトヨタが、残り25%を三菱地所と大成建設が保有しているではなかろうか。それと、FSWの土地のすべては、自己所有されている訳ではない様だ。元々広大な山林の駿東郡小山町大御神(おおみかみ)の地権者の個人だろうか財産区だろうかから借地している様子を聞くことがある。トヨタ買収以後のFSWはF1グランプリ開催に向けて、その公認を取るため、コースの大改修を行った。コースのエスケーブゾーンとか、各施設の新規や増強などだろう。そして、路面舗装も全面的施工し直した。この路面舗装であるが、若干施設のことを伺い知る知人から聞いたのだが、24時間操業体制で連続舗装を行ったとのことである。つまり、日毎の分割舗装だと、継ぎ目にいわゆるコールドジョントたる段差ができるのを避けるため、連続舗装して最終ジョントを1カ所のみにし、そこを徹底的に仕上げたということらしい。しかし、そこまで人工的処理を行わねば、現代F1は走れぬのか。それは、純粋培養されたサラブレッドが、荒野とまでもいえぬできぬ良好地ですら走れぬと同じだ。現代F1の空力ダウンフォースは、車重の3倍とか云っている。そのダウンフォースを生み出すための低い車高は、アクティブサスによる可変を禁じられ、メチャメチャ硬いサスで固められた足となっているんだろう。クルマとしてイビツなゲームになっていると感じるのが私見だ。
30度バンクの思い出