昨今の燃料費高騰は、世界中のクルマに具体的な省燃費車登場への要望を与えています。このところのクルマ販売でも、より燃費の良いクルマへのユーザーの要望が高まっていることが感じられます。トヨタでは、次年春にフルモデルチェンジするハイブリッド車であるプリウスを、07年度比70%増の月産4万台に増産するとのニュースが報じられています。また、ハイブリッド車でなくとも、各メーカーでは、省燃費を目指した小型車の開発へ、一層軸足を移しつつあるものと想像されます。
さて、省燃費を達成するキーは何にあるのかと云えば、それは軽量化にあることは間違いありません。クルマに限らず移動する乗り物は、軽くすればそれだけ少ないエネルギーで運行できる様になります。そこで、クルマにも、素材や構造・設計を含め、軽量化への工夫に一段の情熱が掛けられてくる訳です。そんな中、最近クルマ関係の技術者による講演を聴講する機会を得ました。基調となるテーマは軽量化ですが、素材面が2つと設計面が1つの合計3つの演題でのものです。素材面の1つはCFRP(炭素繊維複合材)の開発であり、もう一つは鋼を更なるブラッシュアップした特殊鋼の開発です。そして、設計面では新型車の開発における構造・設計での工夫事例です。
近年のクルマはその重量が重くなり続けてきました。それは、安全対策への要請であり、操縦安定性や快適性の要請からのものです。それでも燃費性能は低下せずに推移して来ましたが、これはエンジンの熱効率の改良や、変速機の改良にあったのだと思います。そんな中、今一段の燃費向上を図ろうとすれば、軽量化の達成は避けて通れることではありません。