E90 ドアロック不良のトラブルシュート
先日、ABSポンプモーターを修理したBMW・E90の続報として記す。
件の板金屋さんより、今度は「短時間人に貸したらリモコンドアドアロックが動かなくなった」という。そりゃ「リモコンキーを池ポチャでもしたんではないか?」と答えたのだが、何れにしても、またトラブルシュートしてみようと出掛けたのであった。
現象は確かにリモコンキーでドアのロックとアンロックはできない。ただし、BMWのリモコンでは、キー長押しでパワーウインドガラスの昇降だとかリモコンミラーの格納展開ができる機能が付いているが、それは差動することを確認した。こうなるとリモコンキーの問題ではないと切り分けできる。
そこで、電装系のトラブルの最初に一歩となるヒューズの確認から行うことにした。ただし、BMW3シリーズはE46とE90ではグローブボックス奥にある点は似ているのだが、E90は奥の奥という感じで、ヒューズの確認が超やり難い、、「呪いたくなる様な」クルマだ。しかも該当車は、左フロントドアがアンロックにならず、しかも左ドアにはメカニカルキーシリンダーもなく、すべて運転席側から寝そべっての作業となる。流石に老眼の私では困難と、ヒューズボックスに付属するシートを読み取り、件の板金屋さんに指示してヒューズの点検を行った。
ヒューズ点検は2つ目のNo56の15Aヒューズが溶断しているのを発見し、ドアロックは動く様になったが、右フロントの運転席だけ動かないと云うか、「ガタガタ」と短時間異音を発し動かないという症状だ。想像すると、現代車のドアロック機構は国産も輸入車も小型モーターのウォームギヤでスプロケットを廻し、これがロック用、アンロック用の2組あって動作させているが、ウォームギヤの相手側スプロケットギヤ(樹脂製)がすり減るなどして空転している可能性が予測された。何れにしても、こうなるとドアロックアクチュエーターを外して見るしかない。
この作業は、板金屋さんに任せて行ったのだが、本来はドアガラスとガイドレールを外さないと、ドアロックが抜き出せないのだが、板金屋さんやおらエアソーを持ち出し、ドア内骨を切断してして抜き出した。元来メカ屋の私なら絶体やらない所業だが、まあ人のクルマだし、板金屋さんらしいなと妙に感心する。
その後は、ドアロック単体状態で結線し、リモコン動作させると、やはり同じ異音が出て、動作ができないことを確認しドアロック取替しかいなと結論付けた。ただし、新品ドアロック単品で5万程度するのだろうが、某オクで1万程度で調達するしかないなと思いつつ、何処が原因かを探るために、取り外したドアロックの分解を行った。
この結果は、予想していた樹脂製スプロケットギヤの摩滅などなく、こうなるとモーターだろうと、アンロックおよびロック用モーターを外し、それぞれ指で回転具合を確かめると、予想していたアンロック側モーターは正常で、ロック用モーターがゴリゴリと引っ掛かる異様な重さであることを発見した。さらに該当モーターを分解すると、なんと3極モーターのブラシ部がバラけてしまっているではないか。このバラける時の過電流でヒューズが飛んだのであろう。
もし、中古のドアロックでもあり、モーター部のみ正常なら、これだけ取替れば直る話しだが、あいにくE90用のドアロックは手持ちがないので諦めた。ミニR50とかR56用なら幾つか持っているのだが、何れもマトモな某オク出品パーツなのでいまさら分解までしても、モーターのサイズ規格が会わないので、パーツは中古を某オクにて調達手続きをした次第だ。
ところで、某オクを見ると比較的安い部類に新品と明示しているパーツがあるが、おそらくこれは中国製なのだろう。やはり中古であってもBMW純正パーツを選ぶべきと、その中でも安い適合するものを落札した。この中国製新品パーツは、以前にエアマスセンサーでVDO(旧シーメンス)が純正なのだが、ブランド不明のまがい物購入したら、特性不一致なのだろう、装着してしばらくしたらフューエルトリムエラーが頻発する現象が起きて懲りているのだ。
こういう記述を読んでくれた方で、そこまで確認する必要があるのかとか、そんなことやって一銭にもならない下らない行為と思う方もいるだろう。ところがどっこい、こういう真の原因を追及する行為は今後のトラブルシュートとか関連知識を育むために欠かせない行為だと思っている。私は整備屋というより元損保調査員だが、真因を知らぬまま、そんなものさと思考する者は、所詮御用聞きの域を抜け出せない者だと思うところだ。
ついでに、この作業中に先日FasebookでEDRアナリスト研修という紹介がありネット聴講したのだが、事後アンケートで若干批判的な意見を記したところなのだった。その研修主催者より本作業中に電話を受け、種々関連話をしたのだが、将来的に損保調査員(アジャスター)はその資格制度も含めて消滅するだろうことで意見は完全一致したのだ。これは損保調査員に限らず、あらゆる技能職について、昔の徒弟制度がすべて良いとは思わないが、ある種の徒弟制度というか、先に記した様に特に教える立場にある者は、真の原因を押さえておかなければ教えることの意味がないと云うことを知る必用があると云うことだ。なんのために自己は存在するのか、なんのために行動もしくは思考するのか、会社が決めた規則だからという思考から抜け出せない者が多すぎる世になったという感を持つ。
#E90ドアロック不良
先日、ABSポンプモーターを修理したBMW・E90の続報として記す。
件の板金屋さんより、今度は「短時間人に貸したらリモコンドアドアロックが動かなくなった」という。そりゃ「リモコンキーを池ポチャでもしたんではないか?」と答えたのだが、何れにしても、またトラブルシュートしてみようと出掛けたのであった。
現象は確かにリモコンキーでドアのロックとアンロックはできない。ただし、BMWのリモコンでは、キー長押しでパワーウインドガラスの昇降だとかリモコンミラーの格納展開ができる機能が付いているが、それは差動することを確認した。こうなるとリモコンキーの問題ではないと切り分けできる。
そこで、電装系のトラブルの最初に一歩となるヒューズの確認から行うことにした。ただし、BMW3シリーズはE46とE90ではグローブボックス奥にある点は似ているのだが、E90は奥の奥という感じで、ヒューズの確認が超やり難い、、「呪いたくなる様な」クルマだ。しかも該当車は、左フロントドアがアンロックにならず、しかも左ドアにはメカニカルキーシリンダーもなく、すべて運転席側から寝そべっての作業となる。流石に老眼の私では困難と、ヒューズボックスに付属するシートを読み取り、件の板金屋さんに指示してヒューズの点検を行った。
ヒューズ点検は2つ目のNo56の15Aヒューズが溶断しているのを発見し、ドアロックは動く様になったが、右フロントの運転席だけ動かないと云うか、「ガタガタ」と短時間異音を発し動かないという症状だ。想像すると、現代車のドアロック機構は国産も輸入車も小型モーターのウォームギヤでスプロケットを廻し、これがロック用、アンロック用の2組あって動作させているが、ウォームギヤの相手側スプロケットギヤ(樹脂製)がすり減るなどして空転している可能性が予測された。何れにしても、こうなるとドアロックアクチュエーターを外して見るしかない。
この作業は、板金屋さんに任せて行ったのだが、本来はドアガラスとガイドレールを外さないと、ドアロックが抜き出せないのだが、板金屋さんやおらエアソーを持ち出し、ドア内骨を切断してして抜き出した。元来メカ屋の私なら絶体やらない所業だが、まあ人のクルマだし、板金屋さんらしいなと妙に感心する。
その後は、ドアロック単体状態で結線し、リモコン動作させると、やはり同じ異音が出て、動作ができないことを確認しドアロック取替しかいなと結論付けた。ただし、新品ドアロック単品で5万程度するのだろうが、某オクで1万程度で調達するしかないなと思いつつ、何処が原因かを探るために、取り外したドアロックの分解を行った。
この結果は、予想していた樹脂製スプロケットギヤの摩滅などなく、こうなるとモーターだろうと、アンロックおよびロック用モーターを外し、それぞれ指で回転具合を確かめると、予想していたアンロック側モーターは正常で、ロック用モーターがゴリゴリと引っ掛かる異様な重さであることを発見した。さらに該当モーターを分解すると、なんと3極モーターのブラシ部がバラけてしまっているではないか。このバラける時の過電流でヒューズが飛んだのであろう。
もし、中古のドアロックでもあり、モーター部のみ正常なら、これだけ取替れば直る話しだが、あいにくE90用のドアロックは手持ちがないので諦めた。ミニR50とかR56用なら幾つか持っているのだが、何れもマトモな某オク出品パーツなのでいまさら分解までしても、モーターのサイズ規格が会わないので、パーツは中古を某オクにて調達手続きをした次第だ。
ところで、某オクを見ると比較的安い部類に新品と明示しているパーツがあるが、おそらくこれは中国製なのだろう。やはり中古であってもBMW純正パーツを選ぶべきと、その中でも安い適合するものを落札した。この中国製新品パーツは、以前にエアマスセンサーでVDO(旧シーメンス)が純正なのだが、ブランド不明のまがい物購入したら、特性不一致なのだろう、装着してしばらくしたらフューエルトリムエラーが頻発する現象が起きて懲りているのだ。
こういう記述を読んでくれた方で、そこまで確認する必要があるのかとか、そんなことやって一銭にもならない下らない行為と思う方もいるだろう。ところがどっこい、こういう真の原因を追及する行為は今後のトラブルシュートとか関連知識を育むために欠かせない行為だと思っている。私は整備屋というより元損保調査員だが、真因を知らぬまま、そんなものさと思考する者は、所詮御用聞きの域を抜け出せない者だと思うところだ。
ついでに、この作業中に先日FasebookでEDRアナリスト研修という紹介がありネット聴講したのだが、事後アンケートで若干批判的な意見を記したところなのだった。その研修主催者より本作業中に電話を受け、種々関連話をしたのだが、将来的に損保調査員(アジャスター)はその資格制度も含めて消滅するだろうことで意見は完全一致したのだ。これは損保調査員に限らず、あらゆる技能職について、昔の徒弟制度がすべて良いとは思わないが、ある種の徒弟制度というか、先に記した様に特に教える立場にある者は、真の原因を押さえておかなければ教えることの意味がないと云うことを知る必用があると云うことだ。なんのために自己は存在するのか、なんのために行動もしくは思考するのか、会社が決めた規則だからという思考から抜け出せない者が多すぎる世になったという感を持つ。
#E90ドアロック不良