イーロン・マスクの「トランプ支持」は致命的ミスになりかねない
7/26(金) 12:00配信 Forbes JAPAN
米電気自動車(EV)大手のテスラが米国時間7月23日に発表した第2四半期決算は、利益率が5年超ぶりの低水準に落ち込んだ。アナリストや個人投資家たちは今、イーロン・マスクに対し、彼がなぜ大統領選に向けてドナルド・トランプへの支持を公言したのかを問いかけている。テスラの購入者の多くは、民主党の支持者なのだ。
マスクは、トランプが大統領に返り咲いた場合にバイデン政権のEV補助金を終了させ、それがテスラの業績に悪影響を及ぼすことを認めている。彼はまた、トランプがメキシコで製造された車の輸入関税を引き上げると発言したため、メキシコでの新工場の建設を「現在は中止している」ことを明らかにした。
トランプ政権による補助金の打ち切りの影響について尋ねられたマスクは、「私の考えでは、当社にも多少の影響が及ぶかもしれないが、当社の競合のほうがもっと壊滅的な打撃を受けるはずだ。テスラが受ける打撃は軽微なもだ」と決算発表で述べていた。
テスラの株価はその翌日に約12%下落し、216ドルに沈んだ。
マスクの会社が直面するリスクは、購入者に対する7500ドル(約114万円)の税額控除の廃止やバッテリー工場のためのインセンティブの廃止よりもはるかに大きい。バイデン政権は、マスクがかつてテスラの目標に掲げた、化石燃料からの脱却を後押してきたが、マスクが気候変動に懐疑的なトランプの支持を公言したことで、より多くの消費者がテスラを敬遠する可能性がある。
「イーロンは、現時点でテスラにとって最善のことを考えていない」と、ロサンゼルスに拠点を置く資産運用会社ガーバー・カワサキのCEOで、かつてはマスクの大ファンだったロス・ガーバーは述べた。
「カリフォルニアでのテスラの売上は、そのために大幅に減少している。カリフォルニアはテスラにとって最大の市場であり、世界で最大の自動車市場の一つでもある。カリフォルニアで購入される車の約25%が今やEVだ。ブランドのダメージを考えると、もう修復不可能だ」と彼は述べている。
■民主党支持者の離反
今年上半期の世界全体のテスラの販売台数は5%減の約44万4000台だったが、カリフォルニアでは17%減少し、同期間の販売台数は約10万2000台だったと、カリフォルニア新車ディーラー協会は今月報告した。テスラの総販売台数の23%を占めるカリフォルニア州は、世界最大のEV市場である中国と並ぶトップ市場だ。
そして、米国において最もEVを購入する可能性が高いのが民主党支持者たちだ。
「民主党支持者は圧倒的にEVに対して好意的な意見を持っており、EVを嫌うと主張するのはわずか5%だ。これに対して共和党支持者の39%はEVを嫌う」と、市場調査会社エドマンズの主任アナリストを務めるジェシカ・コールドウェルは、同社が収集したデータを引用して述べた。
「イーロン・マスクのトランプへの公然たる支持は、EV購入者である可能性が高い民主党寄りの消費者を遠のける可能性があり、テスラの収益に重大な脅威を与える可能性がある」と彼は語った。
共和党支持者はEVに興味なし
■共和党支持者はEVに興味なし
一方、すでに今年に入ってから、テスラとマスクの民主党支持者へのアピールは、顕著に衰えていると、消費者調査会社のシビックサイエンスは報告している。
「テスラが民主党支持者にどのように見られているかを月ごとに見ると、好感度が低下している」と、シビックサイエンスのレイチェル・クレイトンは、1万6000人以上の回答者の調査結果を引用して述べた。「1月には好ましいが36%、中立が31%、好感度が低いが33%だったが、今では好ましいが17%に低下し、中立は45%、好感度が低いが38%に上昇した」
民主党支持者がマスクに対して持つ好感度はもともと低かったが、彼を好ましいと考える人の割合も、1月の29%から現在は25%に低下したという。
それとは逆に、共和党支持者の間でのマスクの好感度は大幅に上昇している。今年のほとんどの期間、マスクを好ましいと考える人の割合は50%で安定していたが、6月に少し下がり、7月に58%に急上昇した。マスクは7月13日に公式にトランプを支持したが、これはトランプの銃撃事件の後のことだった。
しかし、残念ながら、彼らはテスラの主力製品にあまり関心がない。エドマンズのデータによると、共和党支持者のうち、EVに対して好意的な意見を持っているのはわずか19%だ。
23日の決算発表でマスクはテスラのロボタクシーの野心やヒューマノイドロボットの販売についての興奮を喚起しようと試みたが、これらの製品がいつテスラの収益に意味のある貢献をするかは定かではない。
投資家のガーバーは、ブランドを見限るつもりだ。今週、彼は2021年製のテスラ・モデルSを7万ドル(約1064万円)で売りに出した。「とても低い走行距離で完璧な状態。新車価格は10万6000ドル(約1612万円)。興味があればDMを。素晴らしい車だが、さよならを言うことに決めた」と彼はスレッズに投稿した。Alan Ohnsman
#イーロン・マスクの「トランプ支持」は致命的ミス
7/26(金) 12:00配信 Forbes JAPAN
米電気自動車(EV)大手のテスラが米国時間7月23日に発表した第2四半期決算は、利益率が5年超ぶりの低水準に落ち込んだ。アナリストや個人投資家たちは今、イーロン・マスクに対し、彼がなぜ大統領選に向けてドナルド・トランプへの支持を公言したのかを問いかけている。テスラの購入者の多くは、民主党の支持者なのだ。
マスクは、トランプが大統領に返り咲いた場合にバイデン政権のEV補助金を終了させ、それがテスラの業績に悪影響を及ぼすことを認めている。彼はまた、トランプがメキシコで製造された車の輸入関税を引き上げると発言したため、メキシコでの新工場の建設を「現在は中止している」ことを明らかにした。
トランプ政権による補助金の打ち切りの影響について尋ねられたマスクは、「私の考えでは、当社にも多少の影響が及ぶかもしれないが、当社の競合のほうがもっと壊滅的な打撃を受けるはずだ。テスラが受ける打撃は軽微なもだ」と決算発表で述べていた。
テスラの株価はその翌日に約12%下落し、216ドルに沈んだ。
マスクの会社が直面するリスクは、購入者に対する7500ドル(約114万円)の税額控除の廃止やバッテリー工場のためのインセンティブの廃止よりもはるかに大きい。バイデン政権は、マスクがかつてテスラの目標に掲げた、化石燃料からの脱却を後押してきたが、マスクが気候変動に懐疑的なトランプの支持を公言したことで、より多くの消費者がテスラを敬遠する可能性がある。
「イーロンは、現時点でテスラにとって最善のことを考えていない」と、ロサンゼルスに拠点を置く資産運用会社ガーバー・カワサキのCEOで、かつてはマスクの大ファンだったロス・ガーバーは述べた。
「カリフォルニアでのテスラの売上は、そのために大幅に減少している。カリフォルニアはテスラにとって最大の市場であり、世界で最大の自動車市場の一つでもある。カリフォルニアで購入される車の約25%が今やEVだ。ブランドのダメージを考えると、もう修復不可能だ」と彼は述べている。
■民主党支持者の離反
今年上半期の世界全体のテスラの販売台数は5%減の約44万4000台だったが、カリフォルニアでは17%減少し、同期間の販売台数は約10万2000台だったと、カリフォルニア新車ディーラー協会は今月報告した。テスラの総販売台数の23%を占めるカリフォルニア州は、世界最大のEV市場である中国と並ぶトップ市場だ。
そして、米国において最もEVを購入する可能性が高いのが民主党支持者たちだ。
「民主党支持者は圧倒的にEVに対して好意的な意見を持っており、EVを嫌うと主張するのはわずか5%だ。これに対して共和党支持者の39%はEVを嫌う」と、市場調査会社エドマンズの主任アナリストを務めるジェシカ・コールドウェルは、同社が収集したデータを引用して述べた。
「イーロン・マスクのトランプへの公然たる支持は、EV購入者である可能性が高い民主党寄りの消費者を遠のける可能性があり、テスラの収益に重大な脅威を与える可能性がある」と彼は語った。
共和党支持者はEVに興味なし
■共和党支持者はEVに興味なし
一方、すでに今年に入ってから、テスラとマスクの民主党支持者へのアピールは、顕著に衰えていると、消費者調査会社のシビックサイエンスは報告している。
「テスラが民主党支持者にどのように見られているかを月ごとに見ると、好感度が低下している」と、シビックサイエンスのレイチェル・クレイトンは、1万6000人以上の回答者の調査結果を引用して述べた。「1月には好ましいが36%、中立が31%、好感度が低いが33%だったが、今では好ましいが17%に低下し、中立は45%、好感度が低いが38%に上昇した」
民主党支持者がマスクに対して持つ好感度はもともと低かったが、彼を好ましいと考える人の割合も、1月の29%から現在は25%に低下したという。
それとは逆に、共和党支持者の間でのマスクの好感度は大幅に上昇している。今年のほとんどの期間、マスクを好ましいと考える人の割合は50%で安定していたが、6月に少し下がり、7月に58%に急上昇した。マスクは7月13日に公式にトランプを支持したが、これはトランプの銃撃事件の後のことだった。
しかし、残念ながら、彼らはテスラの主力製品にあまり関心がない。エドマンズのデータによると、共和党支持者のうち、EVに対して好意的な意見を持っているのはわずか19%だ。
23日の決算発表でマスクはテスラのロボタクシーの野心やヒューマノイドロボットの販売についての興奮を喚起しようと試みたが、これらの製品がいつテスラの収益に意味のある貢献をするかは定かではない。
投資家のガーバーは、ブランドを見限るつもりだ。今週、彼は2021年製のテスラ・モデルSを7万ドル(約1064万円)で売りに出した。「とても低い走行距離で完璧な状態。新車価格は10万6000ドル(約1612万円)。興味があればDMを。素晴らしい車だが、さよならを言うことに決めた」と彼はスレッズに投稿した。Alan Ohnsman
#イーロン・マスクの「トランプ支持」は致命的ミス