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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

E90 DSCアクチュエーター修理(ポンプモーターロック修理)

2022-08-07 | 車両修理関連
E90 DSCアクチュエーター修理(ポンプモーターロック修理)
 BMW323iセダン(E90前期2006年モデル)で数年自宅前に一時抹消して野外保管されていた車両を、新たに登録して乗りたいというユーザーからの要望で知り合いの板金工場が預かり受託整備中であった。

 当然バッテリー上がりを起こしているので、充電したけどセルが廻らないとのことで、長く完全放電させたバッテリーはダメだよと説明の上、たまたま私の手持ちのBMW用70A新品バッテリーを廻して上げつつ、車両の引き取りに同行した。その新品バッテリーに交換したが、プッシュスタートでウンともスンともセルが動かないと云うので、その様子を見ていたら、あのね、この手はリモートキーではなく、キートランスミッターをソケットに指してプッシュスタートしなけりゃダメよと笑いながら諭した次第だ。その通りキートランスミッターをソケットに指してプッシュスタートすると、即座にエンジンは始動した。

 ブンブン空吹かしようとする板金屋さんを「吹かさないで!」と諫め(数年ぶりにエンジン掛けるエンジンでオイルが下がりきっているのを、直ちに吹かす行為は自殺行為に等しい)つつ、エアバックランプとABSランプが点灯しっぱなしであることを確認した。

 エアバックランプは、BMWの場合、バッテリーがトランク右側に付くが、事故時にエンジンまでの長い太いケーブルでのショートを防止する目的で、バッテリー+ケーブル切断装置が付いているのだが、その配線を縁切りしたままバッテリーを装着したことで、エアバックランプが点灯してしまったと推察が付いた。ABSについては、アクチュエーター内部が固着してしまっている可能性があると説明し、後日私が点検することとした。

 そして、後日、手持ちの簡易型スキャンテスターでABS(DSC)のスキャンをでDTCエラーを見ると、「ポンプモーター何たら」とエラーが出ている。エラーはクリアすると消えるが、ちょっと走行しただけで、再点灯し同じ「ポンプモーターエラーが表示される。こりゃ、ポンプモーターが固着しているので、新品約30万もするから、中古を某オクで見つけるからと、私が互換性ある品番を念入りに調べつつ調達した。

 そんな準備が整い、本日午後、ABS(DSC)アクチュエータを交換するために件の板金工場を訪れ作業を行ったのだった。ただ、私の目論見としては、DSCユニットそっくり替えると、DSCユニットには車体番号が書き込まれており、コーディングしてやらないと車体番号不一致でDSCユニットが有効化せずランプも消灯しないことを知っており、手持ちのスキャンテスターではコーディング不可なので、できればポンプモーター部だけを交換できないかという算段だったのだ。



 ところが、丸で取替するなら互換性はありそうだが、ポンプモーター部の取り付け方法が異なり互換性がないことが判明した。そこで、まあ、通常の整備工場ならまずやらないポンプモーター部のオーバーホールを行ってみた。

 モジュールにカシメられ装着されたポンプモーターをカシメを緩め、ポンプモーターを分離し、モーターシャフトを指で回すが廻らない。プライヤーで挟んで廻すが、相当の重さがあり、これが原因と判明し、モーター部を全分解した。結果は、モーターの前部のベアリングは正常なのだが、後部のオイルレスメタル(リン青銅ブッシュ)で固着していることが判った。ただし、モーター分解時にフロントベアリングを抜く際に打撃を与えたのだが、ブラシの動きがスムーズに動かなくなっていたりと、その修正に小型ベルトサンダーで若干ブラシを削ったりしつつ、オイルレスメタル部はグリスを塗布し組み上げた。



 こんな修理をしながら、このポンプはどうして高圧を作っているのかと思考していたら、モーター軸とポンプ駆動軸が約2mmほど偏心しており、これで一回転で左右一対のプランジャーを2mmづつ駆動する仕組みだと判った。このプランジャー部は突きだしており、ここに偏心シャフトに被さるニードルローラー入りのカラーをどうやって入れるかと思考しつつ、件の板金屋さんにトタン板20×100mm程度を見つけて来てと指示しつつ、それでブランジャ間に入る筒を作り、その上でラジペンチの逆動作で拡張しつつプランジャを押し縮める状態を作り出し、そこにカラーを入れ込んでから、ブルキ板を抜き取るという手法を駆使した。こんな私の作業を見ながら、件の板金屋さんは呆れた様に見つつ、「今どきこういう修理をやる工場ないだろう」と唸っていた。




 そんな作業をして組み上げ、完成したユニットを板金屋さんが車両に組み付け直した。ついでに、数年を超える放置車だから、「ブレーキフルードは絶体交換要だよ」と指摘し、各輪から吸引ブルードが十分キレイになるまでして、フルード全量の入れ替えを完了した。

 完成したところで、二人で試走に出掛け約30分ほど走行するも、ABSランプの再点灯することはなくなった。これがユニットAssy取替だったら、BMWディーラーに予約してコーディングして¥8千円程取られるし、この時期だと予約がお盆明けになるかもしれなかったと云うことで、私の目論見は完遂できたのであった。


#BMW ABS(DSC)ユニット修理 #ポンプモーターロック修理



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