私の思いと技術的覚え書き

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福島第1・事故原発のほんとうの現状はどうなのか

2011-06-09 | 事故と事件
 次々と悪い状況が小出しに続く、福島第1・事故原発のことですが、ほんとうの現状はどうなのかと気を病む方は私を含め多いことと思います。 そんな中の昨日のこと、原子力工学の学者で、個人的にはトップランクの信頼を寄せられる学者と思っている小出裕章京大助教授のインタビュー発言を聞きました。 小出先生は、311事故直後からメルトダウンの可能性にも言及していました。政府および東電は、最近になって「メルトスルー」という表現で、そのことを認めた訳です。しかし、あくまでも原子炉圧力容器からの溶け漏れであって、その外側を取り囲む原子炉格納容器からの溶け漏れまでを認めている訳ではありません。 さて、同インタービューで小出先生は、原子炉圧力容器は厚さ16cmの鋼製(融点約1500度C)で、これを取り囲む原子炉格納容器は厚さ3cmだとした上で、溶けた燃料集合体の温度は2800度Cにもなるのだと説明されています。その上で、圧力容器を溶かした高温燃料は、格納容器も溶かしているだろうことが十分推定されると云います。さらに、これらメルトダウンの段階において、もっとも恐ろしかった最悪の事態は、高温燃料が水と触れて水蒸気爆発することだったが、不幸中の幸いにそれは起きなかった様だと云います。 なお、最悪の可能性であるがとし、格納容器から溶け落ちた高温燃料は、床のコンクリートを溶かし、ある程度は地中にまで沈下している可能性があると云います。但し、いわゆるチャイナシンドロームみたいな地球を突き抜けるまで深く沈んでいくことはあり得ないと云います。それは、幾ら高温の燃料であっても、徐々に熱は下がって行くものであるし、何れは燃料体と土中の熱容量が平衡(へいこう)状態となって沈下は止まるだろうと。その深さは数メートルほどと思うが、深くても10メートルには満たないだろうと説明されています。 その上で、ことここに至ったら、水棺とか循環式冷却システムの付加は不可能であり、早急に周辺土中への放射能の漏出を防ぐため、原子炉周辺の全周に地中壁を築く必用があるだろうと説明されるのです。 この小出先生の説明に対し、インタビュアーの方は、それは(何処までの深さの壁を作るのか判りませんが)何れにして大土木工事であって、幾ら機械も使用したからといえ大量の被爆労働者を生み出しますね。チェルノブイリでは、石棺などの作業のため、被爆労働者総数が60万とも80万人とも生じたと云いますからね、と補足されていました。


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