NSKがユニットテーパーローラーベアリング開発
NSK(日本精工)がユニット式テーパーローラーベアリングを開発し、既に車種不明だが大型SUV車に採用されているという。
実のところ、既に20年前から乗用車用としては4輪すべてにユニット式ベアリングの採用は一般化していたが、これらはすべてボールベアリング式だった。これを、ダブルアンギュラコンタクト式ベアリングとも呼ぶが、それ以前のローラーベアリングでの線接触を点接触のボールに変えることで、回転抵抗たる転がり抵抗損失を軽減することや、テーパーローラーだと適切な初期セット荷重(プレロード)管理が要求されるが、それが回避できるなどの組付け容易性もあり、乗用車用としては急速に全世界で普及したという経緯がある。
ところが、車重の大きいトラックとか大型SUV用としては、ボール式では荷重容量の点で不足で、テーパーローラーを使わざるを得ないという問題があったのだが、工作技術とか精度向上により、テーパーローラー式式でもユニット化が可能となったということで、既に2世代式から2.5世代式を経て3世代式が登場しているという。つまり、今回の大型SUVに採用のものは第3世代式ということだろう。
ここで、第2世代から第3世代の組付け断面図を別添図に示す。この違いの主な特徴を以下に列記する。
1.第2世代
これはユニットベアリング部をボルトで組付け相手に取り付けるのだが、ハブシャフトは車両メーカーもしくは整備工場などで別途圧入し、ハブシャフトの挿入端部をセットナットで規定トルク(相当大きなプリセットトルク)で締め付ければ、高精度なユニットベアリングのインナーおよびアウターレースの精度により適切なプレロードが与えられる。
2.第2.5世代
これはベアリングメーカーでハブシャフトまでを組付け、ハブシャフト端部はカシメ処理により締結緩み防止処理される。メーカーもしくは部品補給は、ハブまで一体ととなったセット供給となる。
3.第3世代
一見第2.5世代との違いが分かり難いが、ハブシャフト自体にインナーレースの加工がなされた一体構造となっているのが違いだ。ここで。ハブシャフトとベアリングレース面とは要求される機械的性質が大きく異なる点があるだろう。すなわち、シャフトはただ固いとか耐摩耗性がということより、高い靭性とか曲げ疲労特性が要求されるが、ベアリングレース面は高い面精度とか高い耐摩耗性や高い硬度が要求される。これを同一部品において達成するには、優れた表面硬化処理とか加工技術が要求されるということになる。なお、部品補給は2.5世代と同一のセット済み部品となる。
テーパー式ユニットベアリングの特徴
まず一つは信頼性向上と組付けの容易さであろう。従来のテーパーローラーでは、高精度なベアリングを前提として、
基本はゼロプレロードではあったのだが、過小プレロードによるがた付きを警戒して極小さいプレロードを設定する組付け手順を厳守するよう指示されていたのだが、過大プレロードによる早期摩耗とか焼き付き、過小プレロードによるがた付きとかベアリングの偏摩耗による早期劣化という問題が起こりがちだった。ユニット化によりそういう問題はなく、極めて容易な組付けができる利点がある。
2つ目として、低フリクション技術が取り入られているということがある。そもそも、容易な組付けで、適正プレロードが達成できることで過大プレロードがなく転がり抵抗たるフリクションが普遍的に達成できることがある。それに加えて、ベアリングおよびレースの高精度化により低フリクション化を図り、さらにグリースを封入するシールの形状とか特性を最適化することでも低フリクション性能を上げている。
追記
このユニット式テーパーローラーベアリングだが、中大型トラック、バスまでには、今のところ対応製品はない様だ。中、大型車となると、軸荷重も極めて大きく、ユニットをボルト固定するボルトの締結力の限界もあり、その点で新たな締結個所を生み出すことが、ネガティブな面として現れ、信頼性を損なうという可能性も生じる可能性もある様に思える。例えとして記せば、大型車のフロントハブ部分はステアリングナックル一体部品としてスピンドルが整形工作され製造されているのだが、ナックルからスピンドル部を排して平面状部を作り、そこにハブ付きユニットベアリングをボルトで組付ける構造とする訳だが、大型車の大荷重を確実に受け止めるためには、到底4本のボルトでの荷重負担は大きすぎ、取り付け面を拡大して、もっと多数本のボルトで締結する必要があろう。こうなると、重量面とかコスト面でのデメリットが無視できなくなるだろう。
NSK(日本精工)がユニット式テーパーローラーベアリングを開発し、既に車種不明だが大型SUV車に採用されているという。
実のところ、既に20年前から乗用車用としては4輪すべてにユニット式ベアリングの採用は一般化していたが、これらはすべてボールベアリング式だった。これを、ダブルアンギュラコンタクト式ベアリングとも呼ぶが、それ以前のローラーベアリングでの線接触を点接触のボールに変えることで、回転抵抗たる転がり抵抗損失を軽減することや、テーパーローラーだと適切な初期セット荷重(プレロード)管理が要求されるが、それが回避できるなどの組付け容易性もあり、乗用車用としては急速に全世界で普及したという経緯がある。
ところが、車重の大きいトラックとか大型SUV用としては、ボール式では荷重容量の点で不足で、テーパーローラーを使わざるを得ないという問題があったのだが、工作技術とか精度向上により、テーパーローラー式式でもユニット化が可能となったということで、既に2世代式から2.5世代式を経て3世代式が登場しているという。つまり、今回の大型SUVに採用のものは第3世代式ということだろう。
ここで、第2世代から第3世代の組付け断面図を別添図に示す。この違いの主な特徴を以下に列記する。
1.第2世代
これはユニットベアリング部をボルトで組付け相手に取り付けるのだが、ハブシャフトは車両メーカーもしくは整備工場などで別途圧入し、ハブシャフトの挿入端部をセットナットで規定トルク(相当大きなプリセットトルク)で締め付ければ、高精度なユニットベアリングのインナーおよびアウターレースの精度により適切なプレロードが与えられる。
2.第2.5世代
これはベアリングメーカーでハブシャフトまでを組付け、ハブシャフト端部はカシメ処理により締結緩み防止処理される。メーカーもしくは部品補給は、ハブまで一体ととなったセット供給となる。
3.第3世代
一見第2.5世代との違いが分かり難いが、ハブシャフト自体にインナーレースの加工がなされた一体構造となっているのが違いだ。ここで。ハブシャフトとベアリングレース面とは要求される機械的性質が大きく異なる点があるだろう。すなわち、シャフトはただ固いとか耐摩耗性がということより、高い靭性とか曲げ疲労特性が要求されるが、ベアリングレース面は高い面精度とか高い耐摩耗性や高い硬度が要求される。これを同一部品において達成するには、優れた表面硬化処理とか加工技術が要求されるということになる。なお、部品補給は2.5世代と同一のセット済み部品となる。
テーパー式ユニットベアリングの特徴
まず一つは信頼性向上と組付けの容易さであろう。従来のテーパーローラーでは、高精度なベアリングを前提として、
基本はゼロプレロードではあったのだが、過小プレロードによるがた付きを警戒して極小さいプレロードを設定する組付け手順を厳守するよう指示されていたのだが、過大プレロードによる早期摩耗とか焼き付き、過小プレロードによるがた付きとかベアリングの偏摩耗による早期劣化という問題が起こりがちだった。ユニット化によりそういう問題はなく、極めて容易な組付けができる利点がある。
2つ目として、低フリクション技術が取り入られているということがある。そもそも、容易な組付けで、適正プレロードが達成できることで過大プレロードがなく転がり抵抗たるフリクションが普遍的に達成できることがある。それに加えて、ベアリングおよびレースの高精度化により低フリクション化を図り、さらにグリースを封入するシールの形状とか特性を最適化することでも低フリクション性能を上げている。
追記
このユニット式テーパーローラーベアリングだが、中大型トラック、バスまでには、今のところ対応製品はない様だ。中、大型車となると、軸荷重も極めて大きく、ユニットをボルト固定するボルトの締結力の限界もあり、その点で新たな締結個所を生み出すことが、ネガティブな面として現れ、信頼性を損なうという可能性も生じる可能性もある様に思える。例えとして記せば、大型車のフロントハブ部分はステアリングナックル一体部品としてスピンドルが整形工作され製造されているのだが、ナックルからスピンドル部を排して平面状部を作り、そこにハブ付きユニットベアリングをボルトで組付ける構造とする訳だが、大型車の大荷重を確実に受け止めるためには、到底4本のボルトでの荷重負担は大きすぎ、取り付け面を拡大して、もっと多数本のボルトで締結する必要があろう。こうなると、重量面とかコスト面でのデメリットが無視できなくなるだろう。