この映画、ちょっと見たいなと思っていたところだが、やっとレンタルDVDがリリースされたので借り出して見たところだ。その所感と、関連することなどを書き留めてみたい。
映画は今や潰れそうな危機を迎えているフォード社だが、右肩上がり絶好調の1966年のル・マン優勝までの物語をトレースするものだ。つまり、例のフォードGT40によりだ。
この映画により、フォードGT40(基本は英ローラ社のシャシにフォードV8エンジンを搭載したもの)をレーシングカーとして熟成して行く、キャロル・シェルビー、ケン・マイルズという関係のことを感心深く見た。また、同時代のフォードのレーサーに、ブルース・マクラーレンとかデニス・ハルムとかの名前も聞かれ興味深い。
この映画では、GT40レーシングカーにスピードメーターが付いていて、フルスケール220値だが、km/hでなくm/hだから、1.6倍すると352km/hだ。ルマンのミュルザンヌストレートではフルスケール値に近づく。しかし、そもそもレーシングカーにスピードメーターが付いている訳なく、これは映画ならではの脚色だ。
この映画内で何度か7千rpmという回転数のことが出てくるが、当時の7L・V8エンジンはOHVだから、ここら辺りが限界となるのだろう。最高速350km/hから考えて、L辺り出力を100psとしても、700psまでは届かなかったと思える。ターボ過給すれば同じ回転数でも、トルクが上がるので1000psを越えるのだろうけど・・・。
ここで、馬力(ps)とトルクのことを再考してみたい。坂道を登る、加速の駆動力を得る。それにはトルクの絶対値が必用になる。しかし、最高速だとか、より高い加速度を得るには、単位時間の仕事量(仕事率)として馬力を高めねばならない。馬力とトルクの関係はps=t・nで、これをpsやkw表示に換算するために係数で除している訳だ。だから、仮に同じトルク値でも、2倍の回転数で得られるとすれば、馬力も2倍になる訳で、高回転化が出力アップの決め手の一つになる。後は、トルク値を上げるために、排気量を上げたりターボ過給してやることでも馬力は上がることが判る。
ところで、今のV8は4バルブツインカムヘッドが当然だが、GT40の頃は当然として、かなり最近までV8はOHVが普通だった。これはVバンクの谷間中央に1本のカムシャフトを置くことで、左右のバンクの吸排気バルブ総てのバルブリフトを可能にできる合理性があった故だろう。そして、カムシャフトをなぞるタペットには、オイルタペット(HLA:ハイドロリック・ラッシュ・アジャスター)が使用され、メンテフリー化もし易いという訳だ。しかし、往復運動するバルブ駆動系の総質量とか剛性低下から、OHVでの高回転化は難しいし、また適切なバルブ挟み角と4バルブ化、そして燃焼室表面面積の縮小(S/V比)が熱効率向上から改善が進んだというのが技術史なのだ。
このフォードGT40は、1966年~1969年と4回連続優勝している。ちなみに、それ以前1960年~1965年まで6年連続優勝しているのがフェラーリだ。また、1970年、1971年はポルシェが優勝しているが、例の917Kが活躍してマックイーンが映画化して主演した「栄光へのル・マン」に続くのだ。
gt40(映画「男と女」の1シーン 2015/03/05
【映画評】フォードvsフェラーリ
この映画、ちょっと見たいなと思っていたところだが、やっとレンタルDVDがリリースされたので借り出して見たところだ。その所感と、関連することなどを書き留めてみたい。
映画は今や潰れそうな危機を迎えているフォード社だが、右肩上がり絶好調の1996年のル・マン優勝までの物語をトレースするものだ。つまり、例のフォードGT40によりだ。
この映画により、フォードGT40(基本は英ローラ社のシャシにフォードV8エンジンを搭載したもの)をレーシングカーとして熟成して行く、キャロル・シェルビー、ケン・マイルズという関係のことを感心深く見た。また、同時代のフォードのレーサーに、ブルース・マクラーレンとかデニス・ハルムとかの名前も聞かれ興味深い。
この映画では、GT40レーシングカーにスピードメーターが付いていて、フルスケール220値だが、km/hでなくm/hだから、1.6倍すると352km/hだ。ルマンのミュルザンヌストレートではフルスケール値に近づく。しかし、そもそもレーシングカーにスピードメーターが付いている訳なく、これは映画ならではの脚色だ。
この映画内で何度か7千rpmという回転数のことが出てくるが、当時の7L・V8エンジンはOHVだから、ここら辺りが限界となるのだろう。最高速350km/hから考えて、L辺り出力を100psとしても、700psまでは届かなかったと思える。ターボ過給すれば同じ回転数でも、トルクが上がるので1000psを越えるのだろうけど・・・。
ここで、馬力(ps)とトルクのことを再考してみたい。坂道を登る、加速の駆動力を得る。それにはトルクの絶対値が必用になる。しかし、最高速だとか、より高い加速度を得るには、単位時間の仕事量(仕事率)として馬力を高めねばならない。馬力とトルクの関係はps=t・nで、これをpsやkw表示に換算するために係数で除している訳だ。だから、仮に同じトルク値でも、2倍の回転数で得られるとすれば、馬力も2倍になる訳で、高回転化が出力アップの決め手の一つになる。後は、トルク値を上げるために、排気量を上げたりターボ過給してやることでも馬力は上がることが判る。
ところで、今のV8は4バルブツインカムヘッドが当然だが、GT40の頃は当然として、かなり最近までV8はOHVが普通だった。これはVバンクの谷間中央に1本のカムシャフトを置くことで、左右のバンクの吸排気バルブ総てのバルブリフトを可能にできる合理性があった故だろう。そして、カムシャフトをなぞるタペットには、オイルタペット(HLA:ハイドロリック・ラッシュ・アジャスター)が使用され、メンテフリー化もし易いという訳だ。しかし、往復運動するバルブ駆動系の総質量とか剛性低下から、OHVでの高回転化は難しいし、また適切なバルブ挟み角と4バルブ化、そして燃焼室表面面積の縮小(S/V比)が熱効率向上から改善が進んだというのが技術史なのだ。
このフォードGT40は、1966年~1969年と4回連続優勝している。ちなみに、それ以前1960年~1965年まで6年連続優勝しているのがフェラーリだ。また、1970年、1971年はポルシェが優勝しているが、例の917Kが活躍してマックイーンが映画化して主演した「栄光へのル・マン」に続くのだ。
gt40(映画「男と女」の1シーン 2015/03/05
https://www.youtube.com/watch?v=yKn2IFdTQvU
映画は今や潰れそうな危機を迎えているフォード社だが、右肩上がり絶好調の1966年のル・マン優勝までの物語をトレースするものだ。つまり、例のフォードGT40によりだ。
この映画により、フォードGT40(基本は英ローラ社のシャシにフォードV8エンジンを搭載したもの)をレーシングカーとして熟成して行く、キャロル・シェルビー、ケン・マイルズという関係のことを感心深く見た。また、同時代のフォードのレーサーに、ブルース・マクラーレンとかデニス・ハルムとかの名前も聞かれ興味深い。
この映画では、GT40レーシングカーにスピードメーターが付いていて、フルスケール220値だが、km/hでなくm/hだから、1.6倍すると352km/hだ。ルマンのミュルザンヌストレートではフルスケール値に近づく。しかし、そもそもレーシングカーにスピードメーターが付いている訳なく、これは映画ならではの脚色だ。
この映画内で何度か7千rpmという回転数のことが出てくるが、当時の7L・V8エンジンはOHVだから、ここら辺りが限界となるのだろう。最高速350km/hから考えて、L辺り出力を100psとしても、700psまでは届かなかったと思える。ターボ過給すれば同じ回転数でも、トルクが上がるので1000psを越えるのだろうけど・・・。
ここで、馬力(ps)とトルクのことを再考してみたい。坂道を登る、加速の駆動力を得る。それにはトルクの絶対値が必用になる。しかし、最高速だとか、より高い加速度を得るには、単位時間の仕事量(仕事率)として馬力を高めねばならない。馬力とトルクの関係はps=t・nで、これをpsやkw表示に換算するために係数で除している訳だ。だから、仮に同じトルク値でも、2倍の回転数で得られるとすれば、馬力も2倍になる訳で、高回転化が出力アップの決め手の一つになる。後は、トルク値を上げるために、排気量を上げたりターボ過給してやることでも馬力は上がることが判る。
ところで、今のV8は4バルブツインカムヘッドが当然だが、GT40の頃は当然として、かなり最近までV8はOHVが普通だった。これはVバンクの谷間中央に1本のカムシャフトを置くことで、左右のバンクの吸排気バルブ総てのバルブリフトを可能にできる合理性があった故だろう。そして、カムシャフトをなぞるタペットには、オイルタペット(HLA:ハイドロリック・ラッシュ・アジャスター)が使用され、メンテフリー化もし易いという訳だ。しかし、往復運動するバルブ駆動系の総質量とか剛性低下から、OHVでの高回転化は難しいし、また適切なバルブ挟み角と4バルブ化、そして燃焼室表面面積の縮小(S/V比)が熱効率向上から改善が進んだというのが技術史なのだ。
このフォードGT40は、1966年~1969年と4回連続優勝している。ちなみに、それ以前1960年~1965年まで6年連続優勝しているのがフェラーリだ。また、1970年、1971年はポルシェが優勝しているが、例の917Kが活躍してマックイーンが映画化して主演した「栄光へのル・マン」に続くのだ。
gt40(映画「男と女」の1シーン 2015/03/05
【映画評】フォードvsフェラーリ
この映画、ちょっと見たいなと思っていたところだが、やっとレンタルDVDがリリースされたので借り出して見たところだ。その所感と、関連することなどを書き留めてみたい。
映画は今や潰れそうな危機を迎えているフォード社だが、右肩上がり絶好調の1996年のル・マン優勝までの物語をトレースするものだ。つまり、例のフォードGT40によりだ。
この映画により、フォードGT40(基本は英ローラ社のシャシにフォードV8エンジンを搭載したもの)をレーシングカーとして熟成して行く、キャロル・シェルビー、ケン・マイルズという関係のことを感心深く見た。また、同時代のフォードのレーサーに、ブルース・マクラーレンとかデニス・ハルムとかの名前も聞かれ興味深い。
この映画では、GT40レーシングカーにスピードメーターが付いていて、フルスケール220値だが、km/hでなくm/hだから、1.6倍すると352km/hだ。ルマンのミュルザンヌストレートではフルスケール値に近づく。しかし、そもそもレーシングカーにスピードメーターが付いている訳なく、これは映画ならではの脚色だ。
この映画内で何度か7千rpmという回転数のことが出てくるが、当時の7L・V8エンジンはOHVだから、ここら辺りが限界となるのだろう。最高速350km/hから考えて、L辺り出力を100psとしても、700psまでは届かなかったと思える。ターボ過給すれば同じ回転数でも、トルクが上がるので1000psを越えるのだろうけど・・・。
ここで、馬力(ps)とトルクのことを再考してみたい。坂道を登る、加速の駆動力を得る。それにはトルクの絶対値が必用になる。しかし、最高速だとか、より高い加速度を得るには、単位時間の仕事量(仕事率)として馬力を高めねばならない。馬力とトルクの関係はps=t・nで、これをpsやkw表示に換算するために係数で除している訳だ。だから、仮に同じトルク値でも、2倍の回転数で得られるとすれば、馬力も2倍になる訳で、高回転化が出力アップの決め手の一つになる。後は、トルク値を上げるために、排気量を上げたりターボ過給してやることでも馬力は上がることが判る。
ところで、今のV8は4バルブツインカムヘッドが当然だが、GT40の頃は当然として、かなり最近までV8はOHVが普通だった。これはVバンクの谷間中央に1本のカムシャフトを置くことで、左右のバンクの吸排気バルブ総てのバルブリフトを可能にできる合理性があった故だろう。そして、カムシャフトをなぞるタペットには、オイルタペット(HLA:ハイドロリック・ラッシュ・アジャスター)が使用され、メンテフリー化もし易いという訳だ。しかし、往復運動するバルブ駆動系の総質量とか剛性低下から、OHVでの高回転化は難しいし、また適切なバルブ挟み角と4バルブ化、そして燃焼室表面面積の縮小(S/V比)が熱効率向上から改善が進んだというのが技術史なのだ。
このフォードGT40は、1966年~1969年と4回連続優勝している。ちなみに、それ以前1960年~1965年まで6年連続優勝しているのがフェラーリだ。また、1970年、1971年はポルシェが優勝しているが、例の917Kが活躍してマックイーンが映画化して主演した「栄光へのル・マン」に続くのだ。
gt40(映画「男と女」の1シーン 2015/03/05
https://www.youtube.com/watch?v=yKn2IFdTQvU