私の思いと技術的覚え書き

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ボルボとイスズの提携のもくろみは何か?

2020-01-03 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 昨年末に公表された、ボルボとイスズの提携発表だが、真の意味が良く判らない。そもそもスェーデン本社のボルボ社は、1999年に乗用車部門をボルボカーズとしてフォードに売却している。その後、フォードの経営危機と共に、2010年にボルボカースブランドは、中国・浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)の傘下になっている。その後、ボルボカースを売却後のABボルボとして、商用トラック、バス、建設機械等を作る企業であったが、2018年にABボルボも浙江吉利控股集団が筆頭株主となっているそうだ。なお、ABボルボの販売するトラックは2016年時点で世界第2位のシェアを持っているという。

 ところで、昨年末に発表されたABボルボ社とイスズの提携だが、本体間の資本提携はなく、技術面での提携が主体と説明されている。ただし、ABボルボが保有していた国内UDトラックスの全株をイスズに売却すると発表されている。つまり、UDトラックスは、イスズの完全子会社となる訳だ。

 国内トラックメーカーは、従来からシェア順に日野、イズズ、三菱ふそうトラックバス、UDトラックスの4社体制だ。この内、日野はトヨタ傘下、三菱ふそうはダイムラー傘下(持株90%弱)、UDトラックスはABボルボ傘下であり、自社独立はイズズだけだったのだ。それが、UDトラックスがイズズ傘下になることで、実質的な国内3社体制になるのだろう。ただし、UDトラックスという名称は変わるのかもしれぬが、ブランドは残される可能性は高い様に想像される。それは、独自の販売ディーラー網を持つことや、現在バス事業を終えてしまったUDトラックスだが、日野とイズズの協業でのJBUSを有す訳だからして、新たにJBUSのUDブランドでの復活も十分予想されるところだろう。その様な点では、三菱の例と同様に「UDトラック・バス」という新ブランド2なるのではないかと想像している。

 UDトラックスは、トラック4社の中では最小だが、なかなか技術力は高く、ディーゼルの排出ガス規制への対応が未だ各社迷いが生じている中で、もっとも早く尿素SCR触媒によるNOXの浄化方式を取り入れ、その後世界のデファクトスタンダードとなったという先見性がある。また、未だコモンレールが主流となる以前から、インジェクター直前で高圧化させるユニットインジェクターを開発し採用していた点でも、その先進性は高いものを保持していると思える。何れにせよ、今後のモデルチェンジなどの機会を捉えつつ、イスズとUDトラックは、各部品の共通化だとか在庫や販売網の共有化や、バスの再販売などを進めることだろう。これらの動きの中で、各部品サプライヤーの栄華清秋のドラマも起きるのだろうが、当事者にとっては重大なことであろうが、些末な出来事なのだろう。

UDトラックスニュース いすゞとAB VOLVO、商用車分野での戦略的提携に関する覚書を締結
https://www.udtrucks.com/japan/news-and-stories/press-releases/20191218-strategic-alliance

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