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サイドインパクト・ポール衝突の破壊力と致死率

2022-02-20 | 事故と事件
サイドインパクト・ポール衝突の破壊力と致死率
 乗用車を前提として様々な衝突形態があるのだが、その車体の変形性とか致死率の高い事故形態に、サイドインパクト。ポール衝突に類する事故があるだろう。

 つまり、この事故は、4輪ドリフト状態などで、高速度で車体が横すべりしつつ、その車体の重心点付近を電柱などのポール物に衝突させる事故となる。この場合、衝突が車体心央近いので、衝突の際に運動エネルギーが車体の回転を生み出すことがほとんどなく、運動エネルギーのほぼすべてが車体の変形で吸収なされることになる。よって、車体は強く深く、あたかも電柱などポール物に巻き付いた様な変形を生じるので、その衝突場所付近に搭乗していた乗員は即死だし、場合によれば乗者総員が死亡する事故になる。

 JNCAPでも、近年サイドインパクトポール衝突テストというのが行われている。これは、図に示す様な衝突を再現する試験で、サイドにスライドする鋼板の上に被試験車を乗せて、運転者頭部付近(センターピラー部)をポール(鉄柱)に衝突させる試験で、2016年に衝突速度をそれまでの26km/hから32km/hに引き上げている。このテストも乗員にとっての致死性として非常に厳しいもので、十分に対策されていないと、乗員頭部が直接ポールと衝突し死亡するに至るのだ。従って、サイドエアバック(シート部より展開)やカーテンバック(天井より下方に展開)で、運転者頭部を保護するのだが、サイドボデーの骨格強化および車幅寸法の拡大が要求されるということがある。筆者の意見であるが、近年多くのクルマが3ナンバー区分(車幅1.7m超)になってしまったが、この試験を意識しつつ、海外でも通用するボデーとなると、その様な拡幅ボデーが必用になってしまうということがあると想像している。

添付写真
・ポール衝突試験の試験法と速度引き上げの記事


・米国パトカーのポール衝突事故例


【過去記事・2016年北海道室蘭での乗員全員死亡事故】
心向インパクトの破壊力
2016-01-27 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/0188c15f4e8f832e0ddd308b2e595b33

#サイドインパクト・ポール衝突の厳しさ


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