赤ひげ診療譚(しんりょうたん)は、最近傾倒している山本周五郎の中編小説です。舞台は、江戸時代に存在したという幕府直営の医療施設である小石川療養所での話しとして描かれるものです。
物語の主人公は、保本登という学校出たて(長崎での蘭学遊学)の新米医師が不本意な思いの中で小石川療養所へ赴任するところから始まります。そして、保本から見た筆頭医師の「赤ひげ」こと新出去定(にいできょうじょう)の姿と、そこから影響を受ける保本の心境の変化が巧みに描かれていくのです。
これを現代風に直して直して表せば、東大卒の保本は、貧乏人相手のしがない国立病院に配属されるが、自分の得た知識や技量から、その地位の低さや報酬の低さ、貧しい患者の群れの中に置かれたことに、こんなはずではなかったと思うのです。しかし、言葉少なに赤ひげの語る思いと行動を見続け、保本の心には変化が芽生えて来るのでした。そして、赤ひげに信服した保本は、最後には一生小石川療養所に骨を埋める覚悟までを固めるのでした。
この小説を見て、種々のニュースや、たまたま体調の不具合などで触れ合う医師達の中で、赤ひげこと新出や保本の様な医師は存在するのかなと思ってしまいます。たぶん、皆無ではないけど、極めて僅かなものなんだろうなと思わずにはいられません。それは、原子力学者がそうである様に・・・。
本作は、月刊誌に連載された小説として物語は各章に別れた連作として構成され、非常に読み易く感じられるものでした。どの章も魅力溢れるものですが、冒頭の「狂女の話」は印象深く感じられました。
物語の主人公は、保本登という学校出たて(長崎での蘭学遊学)の新米医師が不本意な思いの中で小石川療養所へ赴任するところから始まります。そして、保本から見た筆頭医師の「赤ひげ」こと新出去定(にいできょうじょう)の姿と、そこから影響を受ける保本の心境の変化が巧みに描かれていくのです。
これを現代風に直して直して表せば、東大卒の保本は、貧乏人相手のしがない国立病院に配属されるが、自分の得た知識や技量から、その地位の低さや報酬の低さ、貧しい患者の群れの中に置かれたことに、こんなはずではなかったと思うのです。しかし、言葉少なに赤ひげの語る思いと行動を見続け、保本の心には変化が芽生えて来るのでした。そして、赤ひげに信服した保本は、最後には一生小石川療養所に骨を埋める覚悟までを固めるのでした。
この小説を見て、種々のニュースや、たまたま体調の不具合などで触れ合う医師達の中で、赤ひげこと新出や保本の様な医師は存在するのかなと思ってしまいます。たぶん、皆無ではないけど、極めて僅かなものなんだろうなと思わずにはいられません。それは、原子力学者がそうである様に・・・。
本作は、月刊誌に連載された小説として物語は各章に別れた連作として構成され、非常に読み易く感じられるものでした。どの章も魅力溢れるものですが、冒頭の「狂女の話」は印象深く感じられました。