私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

損保と代理店、指定工場の関係

2023-04-02 | 問題提起
損保と代理店、指定工場の関係
 昨今の車体整備業界情報によると、ここでは損保AおよびB損保が、該当損保の指定工場に対しAは130円を、Bは230円を提示してきているという

 この様な諸物価高騰の価格改定の現在なだけに、指定工場ではなく、各自動車ディーラーに対しても、これを超える額での提示などやりとりがなされているはずだろう。ただし、従前の状況(下記記事)から考えるに、既にトヨタおよびダイハツディーラー意外とは、未協定のまま、かなり強きのディーラー主張単価の要求で動いている事もあり、改めて値上げ協定することも難しいのではないだろうか。

損保対応単価の改訂記事をどう読むか
2023-03-20
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/8a05860c98e9de801562fdbd33603afe

 ここで、損保と修理工場等モーター代理店との関係だが、日本では極当たり前に取り扱われているが、欧米にはまずないということを知っておいて欲しいということがある。これは、想像も含むが、そもそも欧米でもモーターリゼイションの進行で車両保有が増加すると共に、全収入保険料に占める自動車保険の占有は著しく増加したのだが、欧米ではモータービジネス業を代理店にすることはなかった。それは何故かと考えた時、損保は事故時に修理工場に支払う立場だが、もし代理店業を行っていると、その代理店の収入保険料により一定額のマージンを支払う立場にもなる。ここで、ある程度大きな収入保険料があるモーター代理店が存在し始めると、事故時の修理費にも影響を与えるという、いわば利害相反に近い関係になることを怖れたに違いないと想像するのだ。このことは、筆者が損保調査員だった頃にも、モーター代理店の上位職が損保に何かと「たかる」行為を見てきたし、それをキッパリと断れもせず、それを利用して収入保険料を上げようとますます入れ込む損保の姿を見てきた。

 このことは、昨年ビックモーターという大型モータービジネス代理店で生じた、過剰修理費請求問題というのが、未だスッキリ解決していないが、起こるべきして起きたという思いも持っているのだ。同問題で、一番収入保険料を得ていた損保では、損保の従業員を何名かビッグモーター側に派遣し、専属業務を担わせていたというから呆れてしまうところもあるのだ。

 それと、日本のもう一つの問題に、損保指定工場制度というのがある。つまり、大義名分上は、その工場の設備や修理品質、サービス体制(代車やレッカーなど)が充実していることを条件にして工場として損保は登録し、事故報告のあった保険契約者に積極的に入庫を進めるというもの。ただし、この入庫誘導の見返りに、一定量の収入保険料の確保とか、修理費マージン(割引)を要求するというものだ。

 この指定工場制度というのはDRP(ダイレクトリペアプログラム)という名称で、米国オールステート保険が最初にやり出したものだが、先に記しているとおり、欧米では損保とモータービジネス間に代理店関係はない。であるから、指定工場制度は、あくまで損保にとって修理費マージンを得るというもので、日本の様に代理店収入保険料の多さを持って、モーター代理店のワガママを聞く立場にはない。

 こうして考えると、ビッグモーター事件は、起きるべきして起きた事件で、そこまで至っていないが、収入保険料が大きい、ディーラーとか大手中古車チェーン販売店などでは、潜在的にあり得る問題という見方ができのではないだろうか。

 最後に日本車体協同組合連合会(日車協)という、自動車板金業の組合があり、近年その加入工場数は減りつつある様に聞いている。そもそも論として、こういう組合は、元々資本力が小さい中小零細企業が大手大企業に対して対して行く際、協同組合法の立法趣旨として、相互扶助という精神を醸成しつつ、例えば大手企業間では厳格な独禁法などでのカルテル行為が禁じられるが、協同組合として公正取引委員会に予め届けられた団体は、ある程度大手ほど厳格でなく、中小零細という宿命を鑑みて緩やかな取り扱いを行う趣旨なのだ。しかし、現在の日車協の幹部役員のメンツを概観すれば、先まで述べた損保指定工場に該当する工場が多く目に付き、これでは末端の指定工場にもならない、極普通の自動車板金業にとって、相互扶助などと云う言葉はまるで関係のない話しとなるのが実情で、加入工場の現象もさもありなんと思うところだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。