私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

フルフローティング・キャブのこと

2012-03-14 | 技術系情報
 40年程も前になるでしょうか、当時の大型トラックの助手席に数時間ほども乗車したときのことを思いだします。乗用車に比べれば、酷い路面振動とエンジン振動に、降車してからも暫く身体がおかしく感じた程でした。当時の大型トラックはキャブ(運転台)がフレームに、ダイレクトマウントされ、あくまで積荷荷重に合わせたサスペンションでしたので、この様な過酷とも云える運転環境も当然のことであったのです。

 しかし、現在の大型および中型となるトラックのキャブは、フルフローティング・キャブと呼ばれる機構、具体的にはキャブはフレーム上に、キャブ荷重に合わせた専用のサスペンション機構を介して搭載されているのです。ですから、積荷荷重に合わせた堅いサスペンションの突き上げや、エンジン振動なども遮断され、ソフトで静かな運転環境が保たれるという訳です。

 このフルフローティング・キャブ機構ですが、日本車では30年程前に登場した日野自動車のスーパードルフィン・シリーズが初採用だったと思います。その後、急速に大型4社で採用され普及しました。これは想像ですが、日野自動車の開発以前に、欧州のダイムラーベンツ社だとかMAN社、ボルボ社などで開発済みだった様に思えます。

 最近のこと、赤信号で減速しつつ右横に停止した大型車のキャブが、停止後もゆっくり上下に揺れ続けていることが観察されました。キャブのサスペンション機構も、加重を支えるバネと並列にダンパーが設置され、余震を吸収する仕掛けとなっているのですが、ダンパーが抜けているのだと判る症状です。あの様なキャブに乗ったら、船酔いならぬ状態になるであろうと思います。

追記
 大型トラックの事故車を観察する際、キャブ・サス関連の損傷というのも時々あるものです。前面衝突は、左右どちらかにオフセットされたものが多いのですが、その様な場合に多いのが、キャブ後方に配置された左右位置を規制するためのアームの変形であることを経験します。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして、偶然見つけました。興味深い内容が... (zenbee)
2013-01-26 22:06:45
はじめまして、偶然見つけました。興味深い内容が多く楽しませて頂いています。

フルフローティング・キャブですが、腕の良いドライバーほど乗り換えた直後にミラーを壊してしまう出始めの頃のエピソードを思い出しました。
駐車する時に壁ギリギリで止めて、降りる時のキャブの動きで、ミラーを壊してしまうのです。

当時は、ヘッドライトがフレーム(バンパー)に付いていた車両もあり、キャブの動きの制御が今ほどうまく出来ていなかったのでしょうね。
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ご意見ありがとうございます。 (wiseman)
2013-01-27 13:50:22
ご意見ありがとうございます。
フローティングサス付き車でサイドミラーを壊す場合とは、運転手の乗降によるキャブボデーの左右への動揺によるものなのでしょう。相当に、他物一杯に寄せ付けて止めないと起こり得ないのでしょう。

その他、大・中型車では、リヤオーバーハングの長いクルマ、特に車載車などで荷台長を延長したクルマは、右左折時に後端の旋回軌跡が外側に膨らみますから要注意です。

保険屋時代には、工場で受託中のBMWの左横一杯に止めた車載車を、左にハンドルを切って出車する際、BMWの側面に荷台後端の堅い角が強く押し付けられ、フロントドア、リヤドア、リヤフェンダーに酷い損傷を生じさせてしまったケースなど見たものでした。
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