私の思いと技術的覚え書き

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日野星形エンジンから見るテクノロジー

2019-01-02 | 技術系情報
 謹賀新年、今年もよろしくお願い致します。
 昨年末に訪問した日野オートプラザ(21世紀センター)で見た、日野製航空機用エンジンのメカを紹介します。

 戦時中は、日野でも軍需関連の開発を手掛けていたことが知れます。だいたい、この日野市周辺にも、立川飛行場、調布飛行場、厚木基地など、多くの飛行場があり、主戦末期には、ここから憎き米軍のB29などの繰り返しの東京爆撃に迎撃のため飛び立ったのでしょう。しかし悲しいかな、B29にはターボチャージャーを装備し、あの大きさにも関わらず1万メートルの上空を飛び、速力もゼロ戦以上の巡航速度を誇った訳です。何とか飛燕、雷電、紫電改、月光などの迎撃機を開発したというものの、時既に遅し、東京は無差別絨毯爆撃という非人道行為により焼き尽くされたのでした。閉話休題。

 写真は、何という型式か知りませんが1重星形9気筒で、恐らく単シリンダー2L程、18Lクラスの星形エンジンです。ボア径の大きさや、2バルブのバルブ傘径の大きさに驚きます。以下の要点に注目しましたのでメモしてみます。

①星形エンジンでは、バルブ駆動はOHVが必然となりますが、この駆動はカムシャフトならぬカム円盤だということが判ります。なお、円盤は2重になっており、給気と排気に分かれてタベットを上げ下げしている様です。

②シンリダー(鋳鉄製)の薄さに注目です。そして、ヘッドとの嵌合はネジ込み式です。また、個別シリンダーのブロックへの締結はボルトナットによりますが、これはポルシェなどクルマでも同様です。
 それと、完全な半球型燃焼室ですが、スキッシュエリアがまったくなく、これではタンブル(縦の旋回流)が生まれず、火炎伝播を早めることが困難で、機械的限度もありますが、高回転での燃焼が追い付かないでしょう。なお、カットエンジンで見えているスパークプラグは対象位置にもう一つあるツインイグニッションでしょうけど、何れにせよボア過大で焼け石に水でしょう。なお、現代設計であれば、例えOHVでも4バルブ化とペントルーフ型燃焼室が可能でしょうから、もう少しトルクピークを高い回転にシフトさせ、高馬力を得ることも可能だったでしょう。

③エンジン本体からプロペラへのアウトプットシャフトのシールです。ラバーシールでなく、エンジン回転と逆旋回溝を持ったラビリンスシールが良く判ります。




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