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R50 ステアリングホイール取替

2020-02-26 | BMWミニ
 ここではR50(RA16)について、正規の2本スポークのものから、クーパーSに装着の3本スポークのものに取替えた記録として書き留める。

1.ことの起こり
 そもそも2本スポークで利用上も問題はなかったのだが、中央パット部のMINIエンブレムの部分が剥離してきて見栄えが悪いという状態になったのだった。この現象は、車体前後のMINIエンブレムでも、中央の黒色樹脂部が割れたりして剥離する現象が多発しているが、まったく同様のエンジニアリング上の問題として生じているのだろう。「BMWさん、樹脂部をしっかり作れよ!」というものなのだ。(写真1)

2.R56用のステアリングとの取替を試みる
 先の現象が生じたため、自己保有していたR56の2本スポークへの取替を試みた。ところがステアリングのボス部はまったく同規格(BMW全車共通なのだろう:写真2)なので装着はできるが、エアバッグ用インフレータが以下の違いがあることを認識した。

R50 インフレーターソケットが2カ所ある。(ディアルインフレーター構造:写真3、4)
R56 インフレーターソケットは1カ所であり、多くのクルマに共通のもの。(写真5)

 このため、エアバッグインフレーターへの廃線コネクタが1本余ることになり、妥当なダミー抵抗の設置など処置をしないと、エアバッグ警告灯が点灯してしまうことになる。

 ちなみに、このディアルインフレーター構造は、助手席用など大容量のエアバッグに使われているのを見る機会があるが、運転席用で採用している車種は少数派に属すると思う。このディアルの目的だが、エアバッグの作動時の衝突速度(減速G)に応じて、比較的低速度の衝突では、ディアルのそれぞれの作動に遅延を設けて作動させ、バッグの展開速度を低下させる。一方、比較的高速の衝突では、ディアルをほぼ同時に作動させ、強い減速Gに対応して、より高速でバッグを展開させるというものだろう。

 なお、余談となるが、至上最大とも云えるエアバッグリコールを発生させ、企業存続を終えざるを得なくなった我が国の「タカタ」社のエアバッグでは、チッ素ガス発生剤として使用されていた物質の吸湿性が高く、発生剤ペレット(粒)が膨らんだり縮んだりを繰り返し、ペレットに多くのひび割れを生じることにより表面積を増してしまい、設計値を大幅に上回るチッ素ガスの発生量の立ち上がりが生じることで、エアバッグインフレータに使用している金具などが破損してしまい、顔面や目を損傷したり死に至らしめるという、設計時に予想もしなかった現象が生じたからだと云われている。

3.R50用3本スポークステアリングの入手と取り付け
 という様な経緯で、どうせ代えるならクーパーS用の3本スポークステアリングにしてみようと中古を調達した。3本スポークでも、R50用のものは、ディアルインフレーターに対応している。なお、エアバッグ部分の取付は、R50の2本スポークでは、左右側面部にそれぞれトルクススクリューで締め付け装着されている。一方、3本スポークでは、スプリングロック式のもので、装着は押し付ければパチンとハマり固定される。しかし、取り外し時は、スプリング部を妥当な位置と角度で適する径の棒状のもの(一般はT10トルクスドライバーなどが適する)で押し付けて、スプリングを押し縮めてロックを外す必用がある。写真6はR50の3本スポークを外すための動作を記録した押し付ける動作位置だ。最近の多くのクルマでは、このスタイルが多く、何処をどの角度で押し付けるが精通していないと外せない。

4.完成
 問題なく3本スポークステアリング装着できた。なお、ステアリングホイール外し状態(インフレーター縁切り状態)では、キースイッチをIGには入れないよう配慮したので、エアバッグランプが点灯することもなく済んだ。









補記
①エアバッグインフレーターへの配線は、昔のホーンコンタクトプレートみたいな可動接点(スリップリング)では、十分な信頼性が得られないため、実配線を巻き付けた通称スパイラルケーブルというステアリングのロックツウロックを十分上回る回転数を吸収できる回転可能角を与えている。なお、今回の様にスパイラルケーブルを外さす、そのままステアリングホイールを外し付けする場合は問題ないが、スパイラルケーブル自体を外したり交換したりする場合は、ステアリング直進位置で、スパイラルケーブルの中央値にセットすることに留意することが肝要となる。これを怠ると、ステアリング一杯切った時に、ケーブル切断を生じさせてしまう。

②それ程に多いトラブルではないと思うが、正常な使用において、スパイラルケーブルが断線する様なトラブルが生じる可能性があるだろう。この場合、一瞬の断線においてもエアバッグランプが点灯したままとなる。DTCでエアバッグインフレーターオープンの信号が記録されている場合、ステアリングホイールを左右に繰り返し回してみて、エラー検出が出ないか確認する必要があるだろう。

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1 コメント

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ホーンボタンエンブレム (力男)
2020-02-27 13:20:10
大分前の話ですが某自動車メーカーの材料開発担当の方から聞いた話です。
日本ではあまり頻繁にホーンを鳴らすことは無いと思うのですが、東南アジア諸国の中で
市街地の渋滞が慢性化している都市では、
日本からでは想像できないほど頻繁(ほぼ連打)にホーンを鳴らすそうです。
その頻度たるや半端ではなく、最終的にはホーンパッド上のエンブレムに施してあるメッキが剥げるほどなんだそうです。
結果当該国向けエンブレムに関しては、
メッキ厚さの見直しと評価試験の敷居値の見直しを行ったほどだったそうです。

BMWもそれ相応に評価試験やサプライヤーへの仕様要求は出しているのでしょうが、東南アジアの当該国ほどではないにしろ日本国内での使用頻度程度で剥げるのは情けないですね。
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