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21/04/15京都産業大学死傷事故の裁判始まる(経過状況)

2023-02-08 | 事故と事件
21/04/15京都産業大学死傷事故の裁判始まる(経過状況)
 2/8の報で、21/4/14発生の京都産業大学の学生4名が乗るスイフトがトラックと正面衝突に近い事故で、死傷者は相手のトラック運転手、スイフトの全席2名が負傷、後席の2名が死亡したという。なお、死亡の後席2名は頭部障害原因だと云うことが報より読み取れる。

 本事故については、事故から約半年を経て、スイフト運転者を起訴した報の時点でブログ記事(下記リンク)を記しているが、その際にもスイフトの損傷状態で、後席2名はシートベルトをしていたとされるが疑わしい。していない場合は、前方への慣性移動により、頭部損傷などで致死に至る可能性をしていた。

 本記事には、今回の裁判経過で、検察側が制限速度の倍以上で走行していたことを持って、危険運転死傷罪を訴求しているのに際し、弁護側は「制御困難な高速度で走行させている認識はなかった」などと主張している様だが、「だったら何故センターラインオーバーしたのか」と質されるだろう。こういう話しを聞くと、こうした云い方は担当弁護士には酷だが、制御困難でなくセンターラインしたのかという論を如何に弁論するかということを抗弁しなくちゃいけないのに、相当頭の悪い弁護士だと感じる。これは、幾ら国選弁護人で報酬が見込めないとは別問題で、弁護士というプロなら、まったく恥ずかしくないのかと思わざるを得ない。

 なお、現行のEDR機構の記録データに、左右前席があるのは承知しているが、国交省で定めたJEDRでも、後席シートベルトの装着もしくは非装着の記録は含まれていない。つまり記録上不明なのだ。なお、前席の場合でも、装着していた場合、ベルトテンショナー機構と共に、ロードリミッターという制限荷重を越えると、ベルト固定機構の塑性変形によりベルト張力を制限する機能が付いているが、そこを分解なりして調べたのかと問いたいところである。

 ただし、現車の損傷状態からは、後席乗員が死ぬ様な車体の損傷状態とは思えない。、あた、同型車のカタログ写真を掲載するが、後席は中央部(5名乗車した場合に使用する2点式)以外の左右席は3点式シートベルトであり、これしていれば、死ぬこともなく、そもそも生存者は重度の障害でもなく、こんな危険運転での起訴でなく、行政処分の罰金刑で済んだことを思うと、事故犯罪とは結果による罪状が極めて変化するものであることを感じる。事故自体が生じるかも運があるが、罪状も運というものが大きく作用せざるを得ない。


※しかし、こんな事故を裁判員裁判で行うことの不合理を感じる。裁判員裁判を重大刑事事件に限定していると云うが、国民の権利に極めて関わる国賠などにすべきだと思うところだ。如何にも3権分立があいまいな、国家官僚がバイアスした裁判員制度の偏向を感じるしかない。

【過去記事】
京都産業大学の学生を危険運転罪で起訴(事故は4/14)
2021-11-05 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/d352388d3bea6338653a4600b9df11a3


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時速94kmで衝突、京都産業大学生ら5人死傷事故 元少年が起訴内容認める
京都新聞 2/8(水) 11:54配信
 京都市北区で2021年4月、京都産業大の学生4人が乗る車がトラックと衝突して5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた元少年(21)の裁判員裁判の初公判が8日、京都地裁(安永武央裁判長)であった。元少年は罪状認否で起訴内容を認めたが、弁護側は「制御困難な高速度で走行させている認識はなかった。危険運転致死傷罪は成立しない」と主張した。
 起訴状などによると、21年4月14日午後4時55分ごろ、北区西賀茂下庄田町で、制限速度(時速40キロ)を大幅に超える時速約94キロで乗用車を運転して対向車線にはみ出し、中型トラックと正面衝突。同乗者で後部座席にいた当時19歳と20歳の男子学生2人を死亡させ、助手席にいた同19歳の男子学生と、トラック運転手の同53歳の男性に重軽傷を負わせたとしている。
 学生4人はいずれも当時、京産大の2年生で、大学の自動車部の見学会として公道を試走中だった。元少年は見学者として自分の車を持ち込み、死傷した3人は部員として同乗していた。
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「シートベルトせず」は誤情報、京産大生ら死傷事故めぐり 両親「息子の尊厳守って」
京都新聞 2021年7月13日 10:30
 京都市北区で4月に乗用車とトラックが衝突して京都産業大生2人が死亡した事故を巡り、インターネット上では「シートベルトをしていなかった」という事実と異なる情報が飛び交った。京都新聞社が配信する「ヤフーニュース」の読者コメント欄にも同様の書き込みが相次いだ。「どうか息子の尊厳を守って」。亡くなった大政響生(ひびき)さん(20)の両親は切実な思いで訴える。
 大政さんら亡くなった学生2人はともに後部座席に座り、シートベルトを着用していた。事故後、京都府警北署は後部座席のシートベルトの状況について「確認中」と説明していたため、本紙を含む報道各社は着用の有無に触れずに事故を報じた。ネットにあふれた誤情報は臆測に基づく書き込みから拡散したとみられる。
 事故の翌日、響生さんは京都市内の病院で、家族に見守られながら眠るように息を引き取った。死因は頭部損傷だった。「彼の人生が終わってしまうと思うとつらかった。でも息子の顔に目立った傷はなく、命は守りきれなかったけどシートベルトをしていて本当に良かったと思います」。父・裕志さん(47)=愛媛県伊予市=は複雑な思いを吐露する。
 「人の心に響く行動ができ、強く生きてほしい」と願って名前を付けた長男だった。幼少期から行動力があり、小学5年で東京に一人旅をし、中学2年でカナダに短期留学した。高校時代はボート部で、孤立気味だった部員に声を掛ける優しい性格だった。車好きが高じて京産大では自動車部に入った。葬儀には友人ら700人近くが参列し、別れを惜しんでくれた。
 事故の1カ月前、帰省した響生さんは「将来はお父さんの会社を継ぎたい」と葬祭業を営む裕志さんに語っていた。頼もしい、自慢の息子だった。それだけに、事故後にネット上で目にした、まるで事実のように語られる中傷にも似た投稿の数々に、怒りを覚えた。裕志さんは「なぜ、響生がひどいことを言われながら旅立たないといけないのか。本当に悔しい」と涙をこぼした。

■「事実誤認が広がれば、当事者を傷つけることも」
 ネットメディアに詳しい国際大の山口真一准教授の話 ネット上では他の書き込みに影響されて根拠なく事実と思い込む人が多い。今回の投稿は誹謗(ひぼう)中傷とまでは言えないが、事実誤認が広がれば、当事者を傷つけることがある。投稿者は情報の真偽を見極める姿勢を持つべきだ。


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