私の思いと技術的覚え書き

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IT、DX、OTAというワードの意味

2022-01-12 | コラム
IT、DX、OTAというワードの意味
 まったく最近は横文字というか短縮ワード流行だからして、何のことやら訳が判らんということになって来た。ここで、幾つか最近聞かれる短縮ワードの解説を自己認識の覚えとして記してみたい

 ITは既にかなり以前から聞かれたワードで、information technologyの略で、コンピューターによる情報通信技術のことを指す。そして、最近聞かれるのはDXというワードだ。これは、デラックスではなく、Digital transformation から派生したワードで、直訳は、デジタルによる変容の意味になるが、Xの部分に以下の様な様々な派生があり得ることを指している様だ。
・デジタルシフト
・デジタル化(デジタイゼーション)
・デジタルディスラプション etc

 ここで、ITはデジタル化による手段の一つであり、DXはその目的となると云うことだという。しかし私見ながら、現在のコンピュータテクノロジーがデジタルにより可能にした技術は素晴らしいもので、既に不可欠なテクノロジーではあるが、世のすべてのことがデジタルで完結できる訳ではないことは意識しなければならないことだろう。つまり、リアルな世界では、すべての事象はアナログなのだ。それを、様々な情報処理だとか通信のためにデジタルに変換(AD変換)し、出力はまたアナログに戻す(DA変換)しているということなのだ。

 このことは、オーディオ機器で考えると判り易いが、音と云う空気のアナログ振動をマイクで捉え、それをAD変換により符号化もしくは量子化というデジタル信号にする。この符号化(もしくは量子化)により、様々なDSP(デジタルジグナルプロセッサー)処理を経て、時には圧縮や暗号化処理を施し、メディアへの保存もしくは通信処理を行う。この符号化(もしくは量子化)されたデータの再生は、DA変換によりデコード処理され、アナログアンプにより増幅されスピーカーのコーンを振動させ、空気中に再生音波を出す。

 ここで判るのは、デジタルに変換することで、極めて信号もしくは情報の処理が多様になることと、一度デジタル化されたデータは、劣化がないとか、インターネットに代表される如く、信頼性の高い多重通信が実現できるというところだろう。

 もう一つ、脈略ないがOTAという言葉も聞かれるようになって来た。これは、Over-The-Airの略で、「無線で」「電波で」といった意味の英語表現で、信号やデータの伝送を無線通信で行うことを、従来の有線通信や記憶媒体を用いる方式や状況と対比する際によく用いられる際に使われる用語だ。

 具体的には、スマホなどは、そのファームウェア(組み込みソフト)とかOSや各アプリのバージョンアップに、電波(Wifiもしくは4Gとか5Gの電波で行うのが当たり前になっているが、これがOTAの意味するところだ。この思想は、現在スマホなど、元来電波を使う機器に限らず、クルマの世界にも既にOTAを可能にしている車両が出ている。具体的には、テスラとかリーフなどが該当するのだが、将来的は大部分のクルマがこれに対応するだろうと予想されている。

 ここで、OTAが単に製造業社とかユーザーの便利性を向上されるだけに留まらないことを意識して警戒する必用があると思える。つまり、製造業社は、優位なデータを多くの販売車からサンプリングでき、それにより改善を図ることもできるのだが、一方不十分なままの状態で商品をリリースして、隠して修正したり、ユーザーの私的な個人情報に該当しかねない情報(例えば位置情報とタイムとか車両が壊れる要因となる運転状態など)を入手もできてしまうことだろう。それと、先日このブログでも紹介した、セキュリティの関係だが、幾ら製造業社が暗号を強化しようが、ハッキングするテクノロジーも発展していく訳で、常時通信できる環境を生み出すことは、現在のリモートキーと同様の新たなリスクへの道を開くことになるだろう。


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