私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

保険調査員の使命

2022-07-26 | コラム
保険調査員の使命
 この数年というか保険会社在職中から感じていたことだが、調査員の最大の使命は何かということだ。この点で、懇意な修理工場にしても、たまたま知り合った修理工場のアドバイザー職とか元自研センター職員まで、「保険調査員(アジャスター)って、修理費を適正化するのが仕事でしょ」と思っていることを知ると「違う!」と思わず返答するのだが、本当のところは判ってくれない様だ。

 このことは、現在の調査員(アジャスター)に直接問い質したとしても、損害額の厳正査定などという返事がありそうに思えている。

 ここで、改めて記すが、保険会社と云うのは金儲けをする企業であるが、理念としては善良な契約者を前提として薄く保険料をプールし、万一の偶然外来の事故に保険金を支払う企業であるというと云うことだ。そこには、正当な保険金を支払う努力が欠かせず、もし欠いたとすれば、それは善良な契約者に対する裏切りの行為となると云うことだ。つまり、損害額の適正化ということもあるのだが、それ以前に大前提として、保険金詐欺に類する不正な保険金請求を排除するということが最大の使命だと信じる。

 しかし、10数年前の損保現業時代の経験に照らしても、現在の損保を眺めても、その様な意識が希薄であるとしか感じられない。このことは、調査員に対し何もかも事案を疑って掛かれという云うことを云いたいのではない。ただし、現実問題として、損害保険にしても生命保険にしても、不正事案は内在するのは確かであり、必ずしもそれを証明するのは難しくとも、諦めてはいけないという意識を持たねばならいということを云いたいのだ。

 以下の6/16の朝日新聞新聞の記事だが、無料掲載である冒頭の部分だけ転載させてもらうが、記事文章の始まりは「交通事故を偽装した保険金詐欺事件が後を絶たない」と記してあるのだ。私自身の損保在職20数年間の中で、必ずしも不正事案として立証までには至らなかったものも含めて、あまりにも不審だとして契約者自身もしくは代理店から、保険金請求取り下げの意思を示され支払いしなかった件数は20数件を数えると記憶している。この内の幾つかは、過去のブログ記事の題材として記しているところだ。

 私は20数年の損保在籍中、本社内勤の教育担当として勤めた年数が9年あるので、現場の実務者として勤めたのは15年ほどであるが、その中で20件を超える明らかに不正と確信する事案があったということなのだ。この不正事案は比較的軽微なさほど悪質ではないものから、かなり悪質だと判断されるものまであった。当然のこと、私が担当した事案のすべてを排除できたとも思っていない。当然目こぼしもあった中での実態が記したものなのだ。

 もし、この記述を読んでくれた現業調査員がいたとして、「自分の地域はそういう悪い人間はいないから」とか「調査員(アジャスター)にそこまでの業務はマニュアル上要求されていないから」とか反意を持つとしたら、極めて残念なことだと思う。ここで云いたいのは、最後の最後まで追い求めることを要求しているのではない。車両調査を行い、何か不自然さを感じたら、現場の調査、該当相手車もしくは物の調査、そして契約者からの聴取をしてみれば、その不自然の疑念が晴れるか疑念が確信に至るか、そこが勝負の分かれ目だと信じている。そしてあなたの確信を、合理的に統括長(通常センター職長)に伝えて、以後の方針を決めれば良いのだろう。つまり、統括長に相談する場面において、あなたは確信たる論拠を持って伝えられるかがこの不正排除の分かれ目だろう。あやふやな、論理が伴わない疑いを相談したとしても、統括長は意思決定しかねるだろう。

------------------------------------------
自動車保険金詐欺、検挙人数全国一を支える「福岡方式」の捜査手法
朝日新聞デジタル 板倉大地2022年6月16日 13時00分
ソースURL:https://www.asahi.com/articles/ASQ6J419DQ5WTIPE01M.html
 交通事故を偽装した保険金詐欺事件が後を絶たない。年々手法が巧妙化しており見極めは難しいというが、福岡県警の検挙人数は、全国でも突出している。詐欺グループを「一網打尽」にするという「福岡方式」の捜査手法が県外の警察から注目を集めているという。

 警察庁によると、2020年までの10年間、交通事故を装った保険金詐欺事件で福岡県警は57件(203人)を摘発した。件数では広島県警が104件(105人)と最多だが、検挙した人数では福岡県警が最も多かった。


#損保不正事案 #保険金詐欺排除


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。