私の思いと技術的覚え書き

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CFRPの新しい工法(バータム工法とは)

2011-05-04 | 技術系情報
 CFRPの製品成形の工法としても、従来最も強度や信頼性の高い工法として、カーボンファイバーの長尺繊維を樹脂に混浸させた半固形状態のプリ・プレグというシートを、製品型に必用強度に応じて積層し、オートクレーブという一種の圧力釜内に製品を入れ、加温・加圧して最終製品を成型する(以下オートクレーブ工法と記す)ものでした。この工法により、F1マシーンのメイン・モノコックとかボーイング787の胴体などが製作されてきた訳ですが、製品の大きさにもよりますが、大きい製品ほど大型で高価なオートクレーブが必要となることから、最終製品のコストアップに結び付く理由の一因となっていた様です。
 次期、国産旅客機であるMRJも大幅な運行燃費の向上を目指し、機体の軽量化を図るため、主翼などにCFRPの使用が採用される様です。しかし、そのCFRPの成型工法について、機体コストの低減を意図し、新しい工法が採用されるとのことです。
 この新しいCFRPの工法とは、長尺の炭素繊維を製品型の上で重ね合わせ、それを薄いフィルムで覆って密閉し、それを真空パックした後、樹脂を流し込み、低い温度で加熱して成型するという方式だそうです。これは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した、バータム(VaRTM)工法と呼ばれるものだそうです。
 この工法により、従来のオートクレーブが不要となる他、従来の半固形状態のプリ・プレグが可使時間(ポットライフ)が限られていた点も改善できるなど、製造コストを下げることが可能な様です。
 なお、このバータム工法ですがレジン・インフュージョン(樹脂含浸)法とも呼ばれる様ですが実質は同様とのことです。また、最終製品の強度面においても、オートクレーブ法に、ほぼ遜色はないと説明されています。
 さらに、これは私の想像ですが、オートクレーブ法のプリプレグも、バータム法の注入樹脂もエポキシを基材とするものでしょう。但し、オートクレーブ法のエポキシは熱硬化(重合)型であり、バータム法の注入樹脂は二液反応型(重合)型の違いがある様に想像されます。



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