私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

アルミニウムの長所と欠点・修理の留意点

2021-11-12 | 技術系情報
アルミニウムの長所と欠点
 アルミニウム(Al)は比重が鉄の1/3と軽い材質であるが、ヤング率(縦弾性係数(変形し易さ))もおよそ1/3だから、ホイールなど同等の強度を製品をスチール製と遜色なくするためには、その重量は1/3では不足し、板厚を上げるなどして、軽量化は2/3程に留まる。

 また、アルミニムは、合金としての種類として#1000番台から#8000番台までと広範な合金混有物の種別があり、比強度などが向上していくが、逆に伸びが減少し、プレス加工や鋳造性などの特性も異なって来る

 この内、#1000番台のアルムニウムは純アルミであり、加工性は良い(伸びが良好)で、電気伝導性、熱伝導性がようが強度が低い。

 #2000番台のアルミは、Al+Cu軽合金で、機械切削性に優れるが、耐食性、対応力腐食性性に劣る。A2017などは熱処理した高強度アルミで、ジュラルミンとも呼ばれる。比強度は上がるが、溶接性に劣る。従って、航空機などでは、リベット接合により部材間の接合を行う。

 #300番台はAl+Mn系合金で加工性、耐食性、強度も比較的大きい。

 #4000番台はAl+Si系合金で耐摩耗性が良好。ピストン素材などに用いられる。

 #5000番台はAi+Mg系は、強度・耐食性・加工性・溶接性のバランスに優れている。航空機、自動車用アルミホイール、建築用外材、圧力容器などに使用される。

 #6000番台はAl-Mg-Si系合金 強度、耐食性が良好。

 #7000番台はAl-Zn-Mg系合金・Al-Zn-Mg-Cu系合金 高強度材でありCu系はアルミ合金中の最高強度である。7075 (7075 aluminium alloy) 超々ジュラルミン 用途:航空機など。7204(旧7N01) 鉄道車両用構造材など(アルミニウム合金製の鉄道車両)

 #8000 以上以外の製品

 アルミニウムを製造、加工、修理もしくは事故などで調査する場合、知っておくべきことを述べたい。

 まず、アルムニウムの溶融温度は約660℃と鋼の半分以下と比較的低い。しかも、400℃を越えると、鋼で云うところのオーステナイト状態に近似した状態になり、熱処理の効果は消え失せ、結合組織も元に戻らず、大幅に強度が低下する場合がある。

 それと、アルミは過熱して行った場合に、鋼だと赤熱→黄変→白変などの色相の変化があるが、ほとんど色相の変化はない。

 もう一つ、アルミニウムは融点も低いが、100℃を越えた場合の強度低下が著しいという特徴がある。一般にアルミ部品の変形修正において、その加工硬化とか板厚増加による被修理製の難易度を軽減する目的で、ある程度までの加温が許されているが、おおむね上限は200℃までに制限されている。(ホンダNSXなど)、また、引き抜き材(サイドシル部)など(鍛造品相当材)は、修理不可と指定されている他、ダイキャスト部材も修理禁止だ。

 このアルミ加温(200℃上限)だが、視覚的に色相判別困難であり、示温塗料(温度で色相が白から青などに変化する筆塗り塗料)の使用が推奨されている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。