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シエンタ火災リコールの理由解説

2023-04-07 | 技術系情報
シエンタ火災リコールの理由解説
 昨日記しているトヨタリコール届け出のスターターモーターから火災の恐れがあるとする重大リコールだが、幾らか想定できる理由として解説してみたい。

 このリコール届け出の説明によると、「スルーボルトの締め付指示が不適切なため」と記されているのだが、締付指示とはそもそもトルク指示値が低かったということなのだろうか。トヨタに限らずリコール届出の文章には、本当の原因を隠蔽するかの表現が多々あることに気付く場合があるのだが、今回の場合で云えば、「スルーボルトの締付不足のある場合があり」と記するのが適当だと思える。

 さて、スルーボルトの締付不足が何故火災になるのかと疑問を思う方もいると想像できることから、この理由について若干解説してみたい。
 別添図でも表現してみたが、スルーボルトとはスターターモーター基部(取付部)に対して、フィールドコイルおよびブラシホルダーを内蔵したエンドキャプを貫通させて締結するボルトとなる。このスルーボルトが緩むと、スターターの回転トルクが生じると、その反力でフィールドコイル部は逆方向へ回転しようとする訳だが、この動きが過大になれば、外部電源からフィールドコイルに配線されたコイル端部の配線をムリヤリ引き延ばすことになる。この結果、内部でショートが発生し急激な昇温から発火に至るものと想像できる。

 なお、エンドキャップにはスターターのマグネットスイッチ(メインリレーに相当)からのリード線がエンドキャップ経由でブラシホルダに結線されているが、ここにもムリヤリ引き延ばされる力が働き、引きちぎられれば断線するだけで済むが、スターター本体など金属部に触れれば、マトモなショートとなり先と同様に発火の恐れがある。

 なお、スターターモーターの主電源回路は、最大電流で100Aを越える電流が流れるため、ヒューズやヒュージブルリンクは経由せず、ダイレクトな太いハーネスで接続されるため、ショートすると超大電流が流れ、該当ショート部のみならず、バッテリーから発火する恐れもあり得るものと想定できる。

シエンタなど重大リコール・火災の恐れあり
2023-04-06 | 技術系情報
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/95919466b323dac0c8ab1a5dbc7244e4


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