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講談社元次長「妻殺し」に懲役11年 「やっていない!」「めちゃくちゃだ!」不規則発言連発で法廷は大荒れ「彼は釈放され漫画編集者に

2024-07-20 | コラム
講談社元次長「妻殺し」に懲役11年 「やっていない!」「めちゃくちゃだ!」不規則発言連発で法廷は大荒れ「彼は釈放され漫画編集者に
7/19(金) 12:32配信 デイリー新潮

朴鐘顕被告

 妻を自宅で殺害したとして殺人罪に問われた講談社元次長の朴鐘顕(パク・チョンヒョン)被告(48)の差し戻し控訴審判決公判が7月18日、東京高等裁判所で開かれた。「控訴棄却」が言い渡されると、朴被告は不規則発言を連発。怒った裁判長が「これ以上声を出すと退廷させます」と厳しく警告し、言い渡しを約20秒間中断させる一幕もあった。

【写真9枚】自宅で朴被告に絞殺されたと認定された妻と「講談社のエース漫画編集者」と言われていた朴被告

 ***

「この国は裁判がないことになってしまいます」
 法廷に現れた朴被告は坊主頭に黒のスーツ姿だった。知人によれば、

「本人は無罪判決が出て、即日釈放されると信じていて私物の片付けまで始めていた。また会社に戻って漫画の仕事を再開するつもりだった」

 だが、言い渡された主文はまたもや懲役11年の有罪だった。

 朴被告はすぐさま声を発した。

「えー! この国は裁判がないことになってしまいます」

 2度こう叫んだ。家令和典裁判長は「静粛にしてください。これ以上発言すると退廷させます」と警告してから判決理由の朗読を始めた。

 朴被告はしばらくメモを取るなど大人しくしていたが、やがて顔を手で覆ったり、椅子の背もたれにもたれかかって天を仰いだり、落ち着かない様子を見せ始めた。

 10分ほどすると、我慢できなくなったのか裁判長が読み上げたくだりに反論し始めた。

朴被告「いや、(法廷で証言した法医学者の)先生は!」
裁判長「静粛にしてください」
朴被告「僕はしていないんです」
裁判長「静粛にしてください! あなたがいる状況で判決を言い渡したいのです」
朴被告「僕はやっていないんです、本当にやっていないんです」
裁判長「……」

 ここで裁判長は言い渡しを中断。朴被告をじっと見つめた。緊迫した静寂は20秒近く続いた。

「では再開します」(裁判長)。だが、朴被告は5分も我慢できずに声を上げ始めた。

「めちゃくちゃだー!」
「娘も(事件現場で音を)聞いています!」
「(妻を)助けようとしました! 助けようとしました!」
「間違っています! していません!」

 約30分の言い渡しの間、不規則発言は10回近くに及んだ。閉廷すると、朴被告は職員に手錠をつけられる間、傍聴席にいる家族に向かって励ますようにこう言った。

「この間違いは必ず訂正させる。大丈夫!」

 退廷する直前、もう一度傍聴席を振り向き「大丈夫!」と言ってから姿を消した。

密室内で起きた「決定的な証拠なき」事件
 事件が発覚したのは2016年8月9日の深夜2時頃。朴被告が当時住んでいた文京区・千駄木の一戸建て住宅の中で妻(当時38)は遺体となって発見された。

 通報したのは朴被告だった。その日、朴被告は深夜1時過ぎに帰宅。家の中にいたのは、夫妻と乳児を含む4人の子供たちだけだった。当初、朴被告は警察の取り調べに「妻は階段から落ちた」と供述したが、やがて「首を吊って自殺した」と変遷させた。

 検死の結果、死因は窒息死と特定された。1階寝室のマットレスからは、失禁した妻の尿や血液が混じった唾液が検出され、この証拠などを元に1、2審ともに朴被告が寝室で妻を絞殺したと認定。懲役11年の判決を下した。一方、朴被告は「妻は階段の手摺りにジャケットを括って自殺した」と一貫して無罪を主張した。

 最高裁は22年11月、「審理が尽くされていない」として高裁に審理を差し戻した。差し戻し審では逆転無罪が下ることが多いが、今回に関しては「覆らないだろう」と考える向きが多かった。

 最高裁が指摘したのは、遺体検視時の前額部の傷を写した写真の不鮮明さだった。写真に血や血を拭ったような跡は写っていないことなどを根拠に、最初の控訴審判決は「もし生きている間に出来た傷だったならば血が流れた跡がついていたはずで不自然」として自殺ストーリーを排除していた。

「差し戻し審で、検察側はより鮮明な写真を再提出。救急搬送された時に治療にあたった医師や法医学者などに証言させて、最高裁から突きつけられた“課題”に答えた」(司法記者)

「奇異というほかない」。全面的に退けられた自殺ストーリー
 そして、今回の判決で改めて、弁護側の自殺ストーリーは全面的に退けられたのだった。下記は判決からの抜粋である。

〈被告人の右腕の表皮剥奪や妻の手指の爪の隙間の付着物からのDNA型検出結果からすると、妻は苦しさから必死に抵抗したものの意識を失って失禁したとみるのが自然である〉

〈階段の手すりにジャケットをくくりつけて首をつるという方法で自殺を図ったというのも、それまでの行動からすると余りにも唐突である上、自殺が可能な方法であるとしても、状況がよく分かっているはずの自宅における自殺の仕方として、奇異というほかない〉

 朴被告は“自殺した”妻と向き合った時、すぐに救急車を呼ばなかった。

 子供たちのために「階段から落ちて死んだことにしよう」と考え、暴れ回っていた時に妻が持っていた包丁を、軍手をしてから2階の包丁入れに洗ってから片付け、タオルで階段や手すりについていた血を拭い、血溜まりや妻の顔も拭ってから、息を吹き返したような声がしたので、救急に電話をしたーーと供述していた。

 この行動についても、判決はこう厳しく指摘した。

〈そのような場面に直面した者の行動として不自然かつ不合理というほかなく、被告人の供述は全面的に見ても信用性が認められない〉

法廷には講談社関係者の姿も
 判決後、朴被告の母と弟、弁護人らは司法記者クラブで記者会見を開き、「不当な判決」として上告する方針を明らかにした。

 母親はこう訴えた。

「推認で息子は有罪にされた。息子が帰ってくると心待ちにしていた子供達に、これから家に帰ってどう説明すれば良いのか…」

 法廷には講談社関係者の姿も複数見受けられた。同社は差し戻し前の2審判決が出た後も朴被告を解雇しなかった。ある講談社関係者は「異例の対応だった」と振り返る。

「一般的な会社であれば逮捕・起訴された段階、少なくとも一審で有罪判決が出た段階で解雇となるところだが、万一の冤罪を考え、無実を訴える社員を信じようということで支援を決めた」(同)

 結局、21年2月に朴被告は退職したが、その後も無実を信じる多くの社員が拘置所まで面会に通っていた。

 前出の知人によれば、朴被告は「刑が確定して刑務所に行くことになったとしても、再審請求して戦い続ける」と話しているという。デイリー新潮編集部 新潮社

#不規則発言連発で法廷は大荒れ


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