これは昨年、6月10日に東名高速道上り愛知県新城市付近で生じた、対向車線の乗用車が中央分離値を飛び越えて飛翔し、反対車線を走行の大型観光バスの前部ルーフ部付近に衝突した事故のことである。
高速道の中央分離帯を突き破る事故は過去にも生じているが、それらは運動エネルギーの大きい大型トラックの事故が多いのだろう。しかるに、今回の事故は乗用車であるし、バスのドライブレコーダーに記録された飛翔する乗用車は、大きく目立つ損傷も生じていない様だ。多分、即死した(であろう)乗用車の運転者は、飛翔中は存命していたことであろう。
ここで、ドライブレコーダーの画像、衝突直後の両車の噛み込んだ状態、乗用車の損傷状態などをNet上から入手した画像から軽度の分析してみる。
中央分離帯を飛び越えた乗用車は、同分離帯のガードレールを跳び越え飛翔し、ガードレール上のガードフェンスを破壊しながら上昇したことが判る。そして高度を上げつつ、やや右にロールしつつ左にヨーの回転をしつつ飛翔した様子が判る。
両車の衝突直後(何らクレーン引き上げ操作などなされる以前)の写真からは、バスの右前部上部に乗用車が腹を表にして、よく落ちないなという感じで、ぶら下がった状態であったことが判る。多分、衝突の変形でより各部が噛み込んで、ぶら下がる姿勢となったのであろう。その後の、クレーン操作による救助活動により、乗用車はバスのルーフ上に引き上げられ、もう少し安定した状態とされたことが判る。
事故後に引き上げられた乗用車の損壊様態であるが、驚いたことにダッシュパネル前がほぼ欠落している。つまり、エンジンおよびトランスアクスルは脱落しているし、それらを支える極めて強固なサイドフレームが根元部で剪断されていることが判る。なお、マクロ的に乗用車の変形を捕まえれば、カウルパネル付近(ダッシュボード辺り)を上から押さえ付けられる(それも右側が大きい)が作用したと見て取れる。これは仮定による推測だが、乗用車のエンジンおよびトランスアクスルなど車両前部マスは、このダッシュ部へに入力による反力により、逆に上に持ち上げられつつ前部へ引かれるという強い慣性力が働き、引きちぎれたのではないだろうか。
今回の事故、死亡は乗用車の運転者だけで、バスの運転者および乗客は主にガラス片による軽傷もしくは中傷に留まることができたのは不幸中の幸いであった。ここで、同事故のにおける両車の衝突を単純な一次元衝突かつ反発係数はゼロ、両車の総重量のそれぞれを、バス20t、乗用車を1t、それぞれの速度は逆方向に100km/hと仮定して計算してみる。とすれば、それぞれの車両が、衝突して速度変化して同一速度(Vc)となるのは、90.5km/hとなる。つまり、両車それぞれの有効衝突速度はバスが僅か9.5km/h、乗用車が109.5km/hになる。乗用車は自車速度以上に増速つまり逆方向に押し戻されるべき速度変化を生じる訳だ。
今回の事故の概要をNet写真から眺め、感じるところを下記に2点記しておきたい。
①バスの有効衝突速度は低いとはいえ、直接的な受圧力としては、乗用車の極端な破壊を生じせしめたものと同一の力を受けている。つまり作用反作用の法則。しかし、同バス(Jバス)のルーフ前部構造が、エアコン室内ユニットを搭載する構造で、それなりに強固なものとなっていたことが、バス乗員の傷害を低めたと思える。
②現実の事故に仮には通用しないところであるが、仮に0.5秒でも事故タイミングが遅れたとしたら、乗用車の飛翔弾道はもう少し低下しつつ、バスの大面積フロントガラスを突き破り、バス車内に乗用車が進入破壊するということになったのだろう。この場合、バス運転車だけに留まらず、多数の死者が生み出されていたことであろう。
今回事故については、所轄警察などにより、それなりに分析され、再度の中央分離帯乗り越えを極力防ぐべき対処がなされるのだろうが、大型車も含めすべての局面で防ぐことは難しいだろう。自己体験として直接的に知る範囲でも、バイパス国道など高さ15cmほどある中央分離帯を飛び越え、相手車の高さ2m程の位置に直接痕を生じさせている事例や、同じく対向車のボンネット上を凹ませながら対向3車線の端にある電柱に衝突する事故を驚きつつ眺めて来たのだ。
高速道の中央分離帯を突き破る事故は過去にも生じているが、それらは運動エネルギーの大きい大型トラックの事故が多いのだろう。しかるに、今回の事故は乗用車であるし、バスのドライブレコーダーに記録された飛翔する乗用車は、大きく目立つ損傷も生じていない様だ。多分、即死した(であろう)乗用車の運転者は、飛翔中は存命していたことであろう。
ここで、ドライブレコーダーの画像、衝突直後の両車の噛み込んだ状態、乗用車の損傷状態などをNet上から入手した画像から軽度の分析してみる。
中央分離帯を飛び越えた乗用車は、同分離帯のガードレールを跳び越え飛翔し、ガードレール上のガードフェンスを破壊しながら上昇したことが判る。そして高度を上げつつ、やや右にロールしつつ左にヨーの回転をしつつ飛翔した様子が判る。
両車の衝突直後(何らクレーン引き上げ操作などなされる以前)の写真からは、バスの右前部上部に乗用車が腹を表にして、よく落ちないなという感じで、ぶら下がった状態であったことが判る。多分、衝突の変形でより各部が噛み込んで、ぶら下がる姿勢となったのであろう。その後の、クレーン操作による救助活動により、乗用車はバスのルーフ上に引き上げられ、もう少し安定した状態とされたことが判る。
事故後に引き上げられた乗用車の損壊様態であるが、驚いたことにダッシュパネル前がほぼ欠落している。つまり、エンジンおよびトランスアクスルは脱落しているし、それらを支える極めて強固なサイドフレームが根元部で剪断されていることが判る。なお、マクロ的に乗用車の変形を捕まえれば、カウルパネル付近(ダッシュボード辺り)を上から押さえ付けられる(それも右側が大きい)が作用したと見て取れる。これは仮定による推測だが、乗用車のエンジンおよびトランスアクスルなど車両前部マスは、このダッシュ部へに入力による反力により、逆に上に持ち上げられつつ前部へ引かれるという強い慣性力が働き、引きちぎれたのではないだろうか。
今回の事故、死亡は乗用車の運転者だけで、バスの運転者および乗客は主にガラス片による軽傷もしくは中傷に留まることができたのは不幸中の幸いであった。ここで、同事故のにおける両車の衝突を単純な一次元衝突かつ反発係数はゼロ、両車の総重量のそれぞれを、バス20t、乗用車を1t、それぞれの速度は逆方向に100km/hと仮定して計算してみる。とすれば、それぞれの車両が、衝突して速度変化して同一速度(Vc)となるのは、90.5km/hとなる。つまり、両車それぞれの有効衝突速度はバスが僅か9.5km/h、乗用車が109.5km/hになる。乗用車は自車速度以上に増速つまり逆方向に押し戻されるべき速度変化を生じる訳だ。
今回の事故の概要をNet写真から眺め、感じるところを下記に2点記しておきたい。
①バスの有効衝突速度は低いとはいえ、直接的な受圧力としては、乗用車の極端な破壊を生じせしめたものと同一の力を受けている。つまり作用反作用の法則。しかし、同バス(Jバス)のルーフ前部構造が、エアコン室内ユニットを搭載する構造で、それなりに強固なものとなっていたことが、バス乗員の傷害を低めたと思える。
②現実の事故に仮には通用しないところであるが、仮に0.5秒でも事故タイミングが遅れたとしたら、乗用車の飛翔弾道はもう少し低下しつつ、バスの大面積フロントガラスを突き破り、バス車内に乗用車が進入破壊するということになったのだろう。この場合、バス運転車だけに留まらず、多数の死者が生み出されていたことであろう。
今回事故については、所轄警察などにより、それなりに分析され、再度の中央分離帯乗り越えを極力防ぐべき対処がなされるのだろうが、大型車も含めすべての局面で防ぐことは難しいだろう。自己体験として直接的に知る範囲でも、バイパス国道など高さ15cmほどある中央分離帯を飛び越え、相手車の高さ2m程の位置に直接痕を生じさせている事例や、同じく対向車のボンネット上を凹ませながら対向3車線の端にある電柱に衝突する事故を驚きつつ眺めて来たのだ。