私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

納期の遅延を種々思う

2009-02-16 | コラム

 何事にも納期という期限があるのが一般的なことなのだろうと思います。

 さて、ボーイング社の新鋭旅客機である787(ドリームライナー)の初号機完成が大幅に遅延している様です。本来なら、昨年春に納品されるはずのローンチカスタマー(初号機発注企業)である全日空では、嘆き呆れると共に、機体の代替え計画が大幅に狂って来る等、大変苦慮しているのではないのかと思います。

 この遅延の理由は部外者には判りませんが、外部サプライヤーとして日本企業も大きく関わっている、大型カーボン製品の品質上の問題に起因するものでないことを祈りたく感じます。しかし、大型旅客機では初の大規模カーボン成型品の採用機ですから、実機製作に際しCAD等のコンピューターシミュレーションでの予測外の事態が生じて来ているのだろうと想像されます。

 航空機において類似の遅延は、世界初の総二階建て旅客機であるエアバスA380でも、やはり大きく生じました。やはり新型機の開発には、それだけ難しさがあるには事実なのでしょう。

 我が国でも、YS11以来の純国産ジェット旅客機であるMRJの開発を三菱重工がスタートしましたが、予定通りに開発が進むのか見守りたいところです。

 ところで、この様な納期遅延は、開発コストの増加や遅延損害賠償金の支払い等、開発メーカーを苦しめることになるのでしょう。そして、なによりも該当メーカーに対する信用度の低下を生じることも忘れてはならないことです。

 話は変わりますが、事故損傷車の修理期間というのは、あまり厳格にその取り決めがなされることは少ないのだと思います。小破であれば、1週間だとか2週間だかという位の単位で簡易な口約束がなされて、その受注がなされることがほとんどなのだと思います。ところが、大破損傷車では、納期の口約束も程々に、「まあ1ヶ月から2ヶ月だね」みたいな感じで受注が行われているケースが多くあると思います。

 この様な大破損傷車では、修理を開始してある程度の目処が付くまでに、不確定な未知の要素を多く含むこともあるのは理解されるところです。しかし、大概の場合、修理未着手で後回しになされた挙げ句の着手であったり、その遅れた着手後の長期納期部品の発注であったり、着手後の放置であったりという場合を多く経験して来ました。

 最近は板金塗装工場において大破損傷車の修理が減っていますが、そんな中フレーム修正機に乗せた修理途上の損傷車が、ボデー上面に酷く埃が堆積し、長期間作業が中断しているなんていうケースが時々見られるものです。

 確かに板金塗装工場における入庫は一様なものでなく、大損傷車の修理というのは後回しにされがちのことであろうかと思います。それでも、やはり限度はある訳であって、余りにも遅延させてしまった場合は、ユーザーの信頼は失墜するのだろうと思います。この様な工場の中には、ユーザーには代車を出しているのだから良いだろうみたいな気持があったとしたら、それは大きな間違いだと思います。どんなユーザーだって、代車より自分のクルマに乗った方が精神的にもリラックスでき良いと思うのが普通の気持だからです。

 それと、これは長年事故車に関わって来た私見としての思いですが、この様な納期遅延を生じる工場の修理品質は決して高いものでなく、しかも修理価格も高いという傾向があると云うことです。

 修理工場の文句ばかりを書き連ねてしまいましたが、保険会社としての事故解決の遅延について記してみたいと思います。

 交通事故は、事故当事者双方の思いの差異もあり、一朝一夕に解決が困難な場合があることも事実です。しかし、担当者の解決しようという意欲の少なさ故に、遅延を生じていることは多々あることです。

 私は、現在でも時々交通事故絡みの相談を受けますが、多くの案件で保険会社担当者の、云って見れば官僚的な対応、つまり早期解決への意欲の少なさを感じてしまいます。そんな場合は、相談者に云うのは「保険会社担当者の多くは役人と一緒だから追っ払わなきゃ動かないんだ!」と云うことです。




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