私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

【書評】アイヒマンと日本人(著:山崎雅弘)

2024-05-13 | 論評、書評、映画評など
【書評】アイヒマンと日本人(著:山崎雅弘)
 アイヒマン(オットー・アドルフ・アイヒマン/1906/3/19-1962/6/1(56才没)だが、この本では「日本でもよく知られている」と記しているのだが、ほとんとの日本人は無視している。アイヒマンはヒトマーは掲げて、上司のハインリヒ・ミュラー(親衛隊員、ゲシュタポ局長として第二次世界大戦中のホロコーストの計画と遂行に主導的役割を果たした。最終階級は親衛隊中将)の下に配属された親衛隊中佐で、親衛隊管理職として差配した男だ。

 一方で、自身にとって不利な証言を聞いているアイヒマンという人物が「小役人的な凡人」という印象を与えるものであったことが、「ふてぶてしい大悪人」であると予想していた視聴者を戸惑わせた。裁判を通じてアイヒマンはドイツ政府によるユダヤ人迫害について「大変遺憾に思う」と述べたものの、自身の行為については「命令に従っただけ」だと主張した。

 ここで注意すべきは「権限」よ「命令」の違いと、超車の関係である。上司者が下の者に与える「権限」とは、その背部内で決定を下してもよいという「限定な命名権」であり、「権限」を与えられた者は自分の裁量の範囲内で、いくらでもとくじの判断に基づき「副次的な命令」または「枝葉の命令」を下れる。逆に言えば、与えられた「権限」に基づいて「副次的な命令」や「枝葉の命令」を臨機応変に下す能力はなく、何でもいちいち上官のお伺いを立てる部下は、無能だと見なされ地位を失う。

 日本にアイヒマンの名前が広く知られていることにだが、アイヒマンに共感が同情を示す日本人は多い。アイヒマンの行動原理が「自直な命令遂行」で、その動機が「保身と出世欲」であるならば、現代の日本人において、アイヒマンを「自分とは通い存在」ではなく「親近感すら覚える身近な存在」と感じる人は大瀬井いても不思議ではない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。