私の思いと技術的覚え書き

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欧州のEV限定の流れは何故だろう・・・

2017-08-20 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 フランス、英国で2040年までにクルマの動力源はEVに限定するという指針が打ち出された。また、単独のカーメーカーとしては、スェーデン・ボルボが全車EV化を推進すると公言している。ドイツは現時点において、そこまでの発表はしていないが、同様の方向に進まざるを得ない様に想像される。

 では、何故、今この様な指針が示されたのであろうか。一つはCO2が地球温暖化に結び付くという説(反論も多々あるが・・・)があるのだろう。その他で思い当たるのは、現状の内燃機関として特にディーゼルが、十分な信頼度を持って耐久性のある排ガス対策が困難だということが、車両先進国たるドイツ本国で露呈し始めたことと無縁ではないだろうと思える。ドイツ製のエンジンは、フランス、英国、イタリアなど欧州各地の車両に搭載されている。

 私的には内燃機関の廃止は残念な方針決定と感じるところだが、現状の最高性能のリチウムイオン電池では、航続距離や充電時間、そして繰り返し充電の寿命から、到底実用に供せるものとはならないだろう。なお、欧州の発表を受け、トヨタなどもEVに力点を移すことを公表する中で、新しいバッテリーを開発すると言明している。

 それにしても思うのは、原子力発電もそうだがEVも地球上のCO2削減に寄与できるのだろうか。原子力は燃料たる核物質の掘削や濃縮、建屋や格納容器の製造に多大の化石燃料を投入してできる。EVも電池やモーターを作るのに、同様の化石燃料の投入が必要だろう。しかも、EVが走り続けるための充電は、ほとんど火力発電に頼らざるを得ないし、EVが増加するに従って、大幅に発電量を増やす必要があるだろう。太陽光や風力を利用するという話もあるが、気候など環境による変動が大きいし、余剰電力がある夜間には太陽電池は役に立たない。これは小刻みに運転の中断稼働が困難な原子力でセットで使われる揚水発電と同様にすればある程度解決するが・・・。それと、火力発電はまだ、利用者の比較的均衡に作られ、短い送電網で送電による熱損失は少ないが、原子力だとか水力は、比較的人口の少ない地域に作られ、長大な送電網による熱損失は馬鹿にならないものだと聞く。いずれにしてもEVがCO2を減らすどころか、逆に化石燃料の消費が増加する可能性すらある様に思える。


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