私の思いと技術的覚え書き

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クレーン免許取得の記憶

2018-07-19 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 先に暑かった14年前のことを記しているが、同年8月末に遅い夏休みを取ったのだが、この時間を利用して移動式クレーン免許を取得したので、その記憶のことを記してみたい。

 クレーンについては、ビル建設などや工場天井に設置される天井式だとか、船などに装備されているデリックだとか、トラックに搭載されたり、独自のシャシ(下部走行体)に搭載される移動式クレーンなどに区分される。この内で、取得した免許は移動式だが、1トン未満は免許不要、1トンから5トン未満は技能講習、5トン以上は国家免許(厚生労働省管轄)が必要になる。

 免許取得は全国7カ所にある安全衛生技術センターで行われる試験に受験しなければならないが、クルマの免許と類似で、該当教習所で教習を受け卒業試験合格により実技免除が可能だ。そんなことから、当時の赴任先が愛知県の西三河と試験会場にも近く、しかも教習場所も10キロほどと近い半田市にある日本車両・衣浦(きぬうら)製作所内にあることを知った。

 この日本車輌であるが、愛知県を地盤にする古い企業である。社名から判る様に古くから鉄道車両を作って来た(現在でも豊橋製作所で新幹線やその他広範な車両を製作)し、クレーンもクローラ式や建設用特殊設備など(熱田製作所)だとか、道路や鉄道の大型橋梁などの製作(衣浦製作所)を行っている。近年、JR東海の子会社になっている。

 教習初日に衣浦製作所を訪れて、超大きい高架物を制作中なのが目に入いる。工場は、直ぐ側が岸壁なので、クレーンで台船に乗せ運搬するのだろう。ここまで大きいと洋上の橋なのか、それとも仮組みして確認後、分解してトレーラーに乗せられる大きさにして運搬するのかもしれない。

 さて、移動式クレーン教習の実技内容写真を以下に示す。
①使用クレーンだが、手前が釣り上げ能力30トンのクローラクレーンで、奥にあるのが16トンのラフテレーンクレーンだ。実技教習では両方共を操作するが、実技試験はクローラの方で行う。

②これが実技試験のコース。スタート地点で荷を目測で2mに高さまで吊り上げる。そして、検査員が高さを計測し、2mが狂っていると減点される。

③その後は、旋回操作、起伏操作(ブームの上下)、巻き上げ下げの各操作を適宜行いつつ時計回りに吊り荷を移動させる。

④障害バーの通過の様子。ここでは、直前で一旦停止し2mの吊り荷をバーを通過する必要高さまで上げて通過し、通過後で一旦停止し吊り荷を2mの高さまで戻す。

⑤最終関門である幅1mの網を壁状にしたところを通過する。吊り荷が振れていると、幾ら正しい位置に持っていけても接触してしまう。この吊り荷の振れをコントロールするのが、クレーン操作の難しい所と体験したのだった。

※吊り荷振れを怖れ、微速運転過ぎると制限時間をオーバーして落第となる。だから、振れ止め操作を習得するのが必須。なお、振れは横と縦があるが、起伏で起きるのが縦振れ、旋回で起きるのが横振れ。クローラクレーンのようなラチスジブ(トラス)では剛性が高く縦振れは生じ難いが、ラフテレーンなどの箱ジブは剛性が低く生じ易い。横振れは、どちらも同様だ。
 その他難しいなと感じたこととして、吊り荷を向こうから手前に持ってくる様な場合だが、起伏上げしながら、巻き下げするという2本のレバーを同時に協調操作するものだ。これは想像だが、昨今はクレーンにも各種のバイワイヤー制御しているので、荷高さ一定で起伏自由とか、各操作の振れ止め制御もある程度制御しているのかもしれない。

余話
 この記述を記しながらwikで知る内容だが船舶に装備のデリックという名称の由来のおぞましさに驚いたので追記したい。この名称は、16世紀後期から17世紀初頭のイギリスの死刑執行人であるデリックという人名に由来している。彼は絞首刑の執行に際し、下に落として吊るのではなく、引き上げて吊るという方法を考案した人物だというのだ。








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