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事業用自動車の飲酒運転は自家用と大差なし

2023-01-21 | 事故と事件
事業用自動車の飲酒運転は自家用と大差なし
 事業用車(運輸および旅客)については、有資格を求められる運行管理者を設置し、出発および帰庫における運行管理者のとの面談を含め、それと同時に飲酒検知装置による点検を行う動作、これを点呼と呼ばれるが、法令で義務付けられている。

 この様な、自家用車に比べれば厳格な運行管理が行われている訳だが、実際の飲酒運転事故件数の発生割合は、別添グラフの通り事業用と自家用では大差なく推移している実態があることには驚く。

 以下は、事業用自動車安全通信というメールマガジンの最新記事だが、大型トラックの2件の事故で、それぞれ運転者の呼気から酒気帯び運転相当の飲酒が検知され、それぞれ運転者逮捕されている。

 事業用車については、運輸(トラック)とは旅客(バス、タクシー)があるのだが、どうやら飲酒運転が多いのは、トラックの比較的長距離運行中の車両で多い様に想定できる。しかし、厳格な運行管理者の点呼までが法令で決められているのにも関わらず、その様な点呼をしていない自家用車と大差なく生じているのだろうか。

 これを想像すると、そもそも点呼という法令で決められた規則が、何処まで厳格になされているのか、つまり形骸化し、やってる形だけになってしまっている可能性を疑うしかない。ただし、長距離運送のトラックなどでは、出発してから帰庫するまでの、労働拘束時間が比較的長く、その間には何度かの食事や休息などの機会があるとか、長距離長時間の単調な運転でしかも、誰にも監視されないという孤立した労働環境が、つい飲酒運転への誘惑に誘われてしまうというところがあるのだろうか。

 ただし、こういう事業用車が事故を起こし、しかも飲酒運転となる事故を生じて、新聞に載る様な事故を起こすと、運輸事業者は24時間以内に管轄国土交通省管下の全国地方運輸支局への事故報告が求められる。そして、この事故報告を受けると、管轄地方運輸支局では、当該運輸事業者への臨時立ち入り監査を実施し、すべての管理状況の帳票記録の点検や、運行管理者とか最上位に位置する安全統括管理者からの聴取を含め、多くの場合なんらかの落ち度を指摘され、その指摘の悪質性を考慮しつつ、運行停止とか最悪は事業停止(有期)、最も最悪は事業認可取り消しという処分を与える国家権力としての権限を持っているのだ。


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メールマガジン「事業用自動車安全通信」第692号(R5.1.20)より
(2)大型トラックの酒気帯び衝突事故①
1月14日(土)午後7時27分頃、福井県の国道において、愛知県に営業所を置く大型トラックが交差点を直進しようとしたところ、左側から走行してきた乗用車と衝突した。
この事故により、乗用車の運転者が軽傷を負った。
事故後の警察の調べにより、当該大型トラック運転者の呼気からアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。

(3)大型トラックの酒気帯び衝突事故②
1月16日(月)午後2時30分頃、千葉県の国道において、同県に営業所を置く大型トラックが交差点にて第一通行帯(左折専用)から第二通行帯に車線変更しようとしたところ、第二通行帯を走行していた大型トレーラと接触した。
この事故による負傷者はなし。
事故後の警察の調べにより、当該大型トラック運転者の呼気からアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。

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飲酒運転事故の割合変わらず 事業用トラックの検知器義務化
共同通信 2022/10/20(木) 8:53配信
 事業用トラック運転手へのアルコール検知器による飲酒検査を義務化した2011年以降も飲酒運転事故の割合は減らず、事故防止への効果が不十分とする研究結果を筑波大の研究チームが20日までに国際医学誌に発表した。
 研究代表の筑波大市川政雄教授は「遠隔地で業務をする場合は自己申告制で、確認方法に問題がある。効果が薄い取り組みを広げても意味がない」と指摘。呼気から一定のアルコールを検知するとエンジンがかからなくなる「アルコール・インターロック」の設置を違反者に義務付けるなど新たな対策が必要と訴えている。
 チームは1995~2020年の交通事故の統計データを活用した。


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