スーツ型作業着のCM記事に思う
筆者は、過去に自動車整備士として8年ほどいわゆる「つなぎ」を制服として着る職種に就いてきた。その後は損保調査員として、背広を着る職種として、20数年間を過ごしたが、正直云ってスーツという上下揃いの服装には、正直好きなれなかった。だから、損保調査員となり、ネクタイをする業務になってからも、スーツより、上下不揃いで、上に羽織るのはいわゆるツイード風味のジャケットと好んで着て着たのだ。しかし、世がだんだん、企業の専制力が強くなり、自らも本社勤務の指導層になると、そういう服装では異端として、ダークスーツのドブネズミルックにならざるを得なくなってしまい、内心として忸怩たる思いを持って過ごして来たのだった。
そういう性格で、上から命じられた司令でも、損害保険の理念(善良は契約者から金を集め、事故の際は公平に保険金を払う)という問題から外れる様な内容だと、ちょっと違うんじゃないかと抵抗を繰り返すことがだんだん多くなって来て、とうとう会社と大衝突してその企業を去ることになったが後悔はいささかもない。
さて、やっと本論に入れるのだが、外見でスーツを着ることで、見た目を一般受けしようとする思想というのには、今でも異論を持つ次第だ。つまり、技術専門職がそれなりの歴史の中で着る「つなぎ」だとかいう作業服が信用力を落とすなんてことはあり得ないと思っている。
また、話しがちょっと拡大するが、あるフィランチャイズ系の修理工場の2世社長が、本部の指導でフロント(受付)担当者は客受けの良い女性が適すると云うので、そうしていると云うのを聞いて、コイツはアホな経営者だなと思うしかない。女性蔑視の気持ちは一切ないつもりだが、フロントとは修理工場にとって要の部署であり、顧客の訴えを聞き、かなり深い整備知識を前提として、その訴えが故障なのかユーザーの訴えが間違っているのかを判断し、まかり間違っても故障でないものを整備として受け付けてはならない。そんなものを引き受けたとすれば、絶体直る訳もなく、結果としてユーザーの信頼を裏切り、不信を生じるだけに過ぎないのだ。つまり、優秀なフロントもしくはアドバイザーとは、故障でないユーザーの訴えは、そのことを説得力を持ってユーザーに説明できる説明力がある者であることが大前提となるのだ。
本件の結論は、だから、スーツを着て、あたかも外見だけで、信用力だけとか客受けを期待しようとする姿勢が不純であり、まったく意味ない行為としか見えない。善良な経営者には、こういうくだらないCMに騙されない様にプライドを持って業務に邁進して戴きたいと思うところだ。
余話
彼の本田宗一郎氏が叙勲を受けることになり、天皇の前に列席するに当り、宗一郎氏は日頃来ている白のつなぎ姿をプライド持って来ていたからなのだろう。その姿で列席しようとして、周辺の重役達に、幾ら何でもそれは失礼に当たると、えんび服を着て列席したという逸話がある。つまり、宗一郎氏にとって、「つなぎ」姿は、プライドなのであり、いささかも卑下の心を持っていなかったのである。
オアシススタイルウェアの「ワークウェアスーツ」
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スーツ型作業着「ワークウェアスーツ」 現場でウケて…なんと15万着販売
NIKKEI STYLE 2/28(月) 6:03配信
衣料品企画のオアシススタイルウェア(東京・港)が販売するスーツ型作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」が好調だ。新型コロナウイルス下では毎日洗濯ができ動きやすい特徴が好評を博し、累計販売数が15万着を超えた。オフィスでの事務作業だけでなく、配送や棚卸し作業でも着用しやすいと評判だという。
2018年3月に発売したWWSは独自開発素材の「ultimex(アルティメックス)」を使用しており、ストレッチ性や速乾・はっ水性などに優れている。開発した17年当時は清掃や建設業界などで人手不足が続いており、作業着のイメージ改革に取り組む狙いで開発した。
新型コロナ禍で、毎日洗える機能がウイルスに対する不安を解消するとして21年5月は前年同月比で10倍を売り上げた。形崩れしにくく、オフィスでのビジネスシーンに適したデザインのモデルなども展開している。
男性用と女性用、ユニセックス用があり、ジャケットやパンツ、スカートなど一通りのラインアップがある。ジャケットが2万円前後、パンツが1万円台が中心で、一般的なスーツと比べて手ごろな価格だ。[日経MJ 2022年2月16日付]
筆者は、過去に自動車整備士として8年ほどいわゆる「つなぎ」を制服として着る職種に就いてきた。その後は損保調査員として、背広を着る職種として、20数年間を過ごしたが、正直云ってスーツという上下揃いの服装には、正直好きなれなかった。だから、損保調査員となり、ネクタイをする業務になってからも、スーツより、上下不揃いで、上に羽織るのはいわゆるツイード風味のジャケットと好んで着て着たのだ。しかし、世がだんだん、企業の専制力が強くなり、自らも本社勤務の指導層になると、そういう服装では異端として、ダークスーツのドブネズミルックにならざるを得なくなってしまい、内心として忸怩たる思いを持って過ごして来たのだった。
そういう性格で、上から命じられた司令でも、損害保険の理念(善良は契約者から金を集め、事故の際は公平に保険金を払う)という問題から外れる様な内容だと、ちょっと違うんじゃないかと抵抗を繰り返すことがだんだん多くなって来て、とうとう会社と大衝突してその企業を去ることになったが後悔はいささかもない。
さて、やっと本論に入れるのだが、外見でスーツを着ることで、見た目を一般受けしようとする思想というのには、今でも異論を持つ次第だ。つまり、技術専門職がそれなりの歴史の中で着る「つなぎ」だとかいう作業服が信用力を落とすなんてことはあり得ないと思っている。
また、話しがちょっと拡大するが、あるフィランチャイズ系の修理工場の2世社長が、本部の指導でフロント(受付)担当者は客受けの良い女性が適すると云うので、そうしていると云うのを聞いて、コイツはアホな経営者だなと思うしかない。女性蔑視の気持ちは一切ないつもりだが、フロントとは修理工場にとって要の部署であり、顧客の訴えを聞き、かなり深い整備知識を前提として、その訴えが故障なのかユーザーの訴えが間違っているのかを判断し、まかり間違っても故障でないものを整備として受け付けてはならない。そんなものを引き受けたとすれば、絶体直る訳もなく、結果としてユーザーの信頼を裏切り、不信を生じるだけに過ぎないのだ。つまり、優秀なフロントもしくはアドバイザーとは、故障でないユーザーの訴えは、そのことを説得力を持ってユーザーに説明できる説明力がある者であることが大前提となるのだ。
本件の結論は、だから、スーツを着て、あたかも外見だけで、信用力だけとか客受けを期待しようとする姿勢が不純であり、まったく意味ない行為としか見えない。善良な経営者には、こういうくだらないCMに騙されない様にプライドを持って業務に邁進して戴きたいと思うところだ。
余話
彼の本田宗一郎氏が叙勲を受けることになり、天皇の前に列席するに当り、宗一郎氏は日頃来ている白のつなぎ姿をプライド持って来ていたからなのだろう。その姿で列席しようとして、周辺の重役達に、幾ら何でもそれは失礼に当たると、えんび服を着て列席したという逸話がある。つまり、宗一郎氏にとって、「つなぎ」姿は、プライドなのであり、いささかも卑下の心を持っていなかったのである。
オアシススタイルウェアの「ワークウェアスーツ」
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スーツ型作業着「ワークウェアスーツ」 現場でウケて…なんと15万着販売
NIKKEI STYLE 2/28(月) 6:03配信
衣料品企画のオアシススタイルウェア(東京・港)が販売するスーツ型作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」が好調だ。新型コロナウイルス下では毎日洗濯ができ動きやすい特徴が好評を博し、累計販売数が15万着を超えた。オフィスでの事務作業だけでなく、配送や棚卸し作業でも着用しやすいと評判だという。
2018年3月に発売したWWSは独自開発素材の「ultimex(アルティメックス)」を使用しており、ストレッチ性や速乾・はっ水性などに優れている。開発した17年当時は清掃や建設業界などで人手不足が続いており、作業着のイメージ改革に取り組む狙いで開発した。
新型コロナ禍で、毎日洗える機能がウイルスに対する不安を解消するとして21年5月は前年同月比で10倍を売り上げた。形崩れしにくく、オフィスでのビジネスシーンに適したデザインのモデルなども展開している。
男性用と女性用、ユニセックス用があり、ジャケットやパンツ、スカートなど一通りのラインアップがある。ジャケットが2万円前後、パンツが1万円台が中心で、一般的なスーツと比べて手ごろな価格だ。[日経MJ 2022年2月16日付]