私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

エンスーに思う

2008-11-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 エンスーとはエンスウジアニストの略称で、ある物に熱狂的に取り付けれたマニアとしての人々を指す言葉です。クルマにも、その様なエンスーな方達というのは結構いるものだと感じます。Garage

 私は、クルマ好きですが、エンスーと云われる程 に特定の車種へのこだわりはないつもりです。それよりも、そんなエンスーな人々が愛するクルマを修復し続ける技術者たる職人へのこだわりの方が強いと感じています。

 ある特定のクルマへのエンスー達は、芸能人や小金持ちの成金趣味で、ブランド物のベンツ(AMGやロリンザー等)、フェラーリやポルシェターボ等を乗り回している人物像とは、異なるのであろうと感じています。例え、一般的には価値観を認めがたい様なクルマにも、エンスーな支持者がいるもので、そんなクル達の風合いを維持しつつ、修復する職人達がいるものです。

 そんなエンスーな人々に支持される工場さんのことを記してみたいと思います。これは、横浜で知り合ったA板金さんももそうですし、今回記す林さんも同様だと思います。

 林さんは、「ピットーレはやし」社を経営され、長年に渡り主にイタリアのアバルト車(フィアットベースのチューニングメーカー)とか、アルファ車の多数のレストアを手掛けてきた方でもあります。これらクルマ達は、メカニカル系のパーツはともかく、ボデー関係のパーツは今や入手はできず、従って手作りにより修復してレストアして行くしかないものです。クルマも40年以上が経過しますと、その間に何度が所有者も変わるのでしょうし、色替えを含め全塗装が何度か繰り返されたり、所有者の意向でモデファイが為されたりしてオリジナルなものと異なっている場合が結構あります。しかし、エンスーな人々の中には、オリジナルとしての最初の状態に拘るものですし、修復する技術者にも当時の風合いを知っているという知見が必要なのだと、林さんに話を聞いているとそのことを強く感じさせてくれます。

 しかし、林さんの工場に伺って思うことで以前にも記したことですが、レストアを業として成立させるのが如何に困難かを改めて感じてしまいます。つまり、作業時間が想像を遙かに超えて要することが感じ取れるからでもあります。1年を超えて修復作業を行った総ての対価を求めることが、如何に難しいかということを思わずにはいられないのでもあります。

 林さんは長年のレストアで培ってきたアルミニウムの修理技術を伝承しようと、近隣の板金屋達の若手技術者を招いて、アルミニウム板によるオートバイの燃料タンク作り等の講座を開かれたりの活動も行われています。この様な中で、現在の修理技術者にモノを作り出し修復していける職人として育って行って貰えることは良いことだと感じています。

 

※添付写真は、だいぶ以前に仕事絡みで訪れた個人宅のガレージの風景です。ジュリア2台が趣味のクルマで、足クルマが964カレラRSですから、ライトウェイトで揃えましたと云う本当にエンスーな方だなあと感じ入った次第です。

 

追記

 林さんのところでは、イタリアンカフェとして「コルソマルケ38」と云う店も運営されていらっしゃいます。先日のこと、そこで美味しいコーヒーを戴きながら、林さんの友人として巡り会った方(以下O氏と記す)の話しを興味深く聞いてしまいました。

 O氏はエンスーなバイクのパーツ等の販売を中心に活動なされておられる様ですが、先日欧州に部品の買い付けに3週間行って来たとのことでした。ドイツを中止に近隣のフランスやイタリアを、レンタカーを使用して一人でパーツ探しに巡り廻って来たそうです。3週間での延べ走行距離数は7千キロを超え、その内ホテルに泊まったのは5日だけ、あとは車中泊だと云うのですからビックリです。その車中での様子も、ドイツの知り合いとなる拠点を一時ストックヤードとして借り、各国を巡る中で、レンタカーの車内は、助手席までパーツでぎっしりとなっていたと云っていました。

 そのO氏に言わせると、英語も満足に話せないけど、何とかなるもんだよと笑っていましたから、その度胸というか熱烈果敢さに驚いてしまいました。 


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