これはYoutubeから発見したトラブル事例として書き留めるものだ。
そもそもCVTのウンチクをおさらいしてみよう。
CVTとは Continuously Variable Transmission の略で、日本語に直訳すると連続可変とか無段変速機の略称だ。ではどうやって、伝達比(レシオ)を可変にしているかというと、現在主流となる金属ベルト式と呼ばれるものは、2つのプーリー(エンジン(トルクコンバーター)側のドライブプーリーと、その伝達相手側となるドリブンプーリーの間を金属ベルトで動力伝達している。なお、これら双方のプーリーは油圧でプーリー溝を可変とすることで、ドライブおよびドリブンのプーリー比を可変にできる構造としている。この可変伝達機構をバリエーターと呼んでいる様だ。
ここで、押さえておきたいのは、プーリー比の可変は、ドライブおよびドリブンがリニアに反比例の動作を行う必用があることだろう。つまり、ドライブプーリーが大から小に変化しると同時に、ドリブンプーリーは小から大にと反比例して逆の動作を行う。これにより、一定長のスチールベルトは張りが一定に保たれる訳だ。
CVTには小型エンジン用などでゴムベルト式もある様だが、自動車用としてはスチールベルトに多数のコマが僅か隙間で嵌め込まれた構造となっている。これにより、ゴムベルト式が引っ張りで動力伝達していたものを、スチールベルト(多数コマ)式では押し力で動力を伝達することで高トルクの伝達を可能にしている。また、スチールベルトは、厚板だとプーリーの屈曲に追従できないので、薄板ベルトを積層することで柔軟性を確保している。さらに、CVTの要となるのが、バリエーター(プーリー&スチールベルト)ユニットの、プーリー面の面精度、表面硬化など、耐摩耗性を向上させることと、滑りなく可変プーリーを成立させるためには、高い油圧でベルトコマを押し付けることが要求されることだろう。
なお、いわゆる2ペダルATには、従来からある複数以上のプラネタリギヤユニットで変速段を有するステップオート、CVT、DCT、AMTなどの種別があるが、世界的にAT比率は高まっているが、CVTの占有率は日本が突出しているらしい。また、現在世界最大のATシェアはアイシンAWだが、それに続くのがJatcoで、同社はCVTメーカーとしては世界最大のシェアとのことだ。
と、前置きが長くなったが、Youtubeで見たのは、Jatco JF010E という3.5Lクラスまで対応(エルグランド、ムラーノなどに搭載)するというFFトランスアクスル用CVTの旧来モデルだ。(登場は2002年)
動画内でトランスアクスルを分解すると、スチールベルトが断裂し、コマがバラバラになっている。やはりCVTはスチールベルトの耐久性が劣るのかと見ていると、そうではないということが判る。つまり、バリエーターを構成するプーリー幅を可変化させるユニット軸(ドリブン側)の、スプライン軸にボールスプラインが使用されているが、同スプライン溝がカジリ損傷してしまい、ボールもばらけてしまっていることが判る。だいたい、このボールスプライン溝は120度間隔で3列しかなく、基本設計に問題がありそうだ。これでは、変速動作で、バリエーターの動作が不良となり、スチールベルトはたるみを繰り返し、とても耐えきれず断裂したと云うことだろう。
なお、Jatco社の現行型高トルク用トランスアクスルは、JF016E or JF017E が最新型となっており、この辺りも改善されているのだろうとは想像する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/80/366153146448e0787b63220066e91564.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/65/ff0c64211e6e98165debcb7cdc8ba083.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/98/5a26ccf7fffb629ccac3639adea7ba96.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/c2/ec8d60139ef907c68ef97d3feea7d60c.jpg)
今回の動画
Nissan CVT: Teardown and Failure Analysis -Part 2 (RERELEASE!) 2018/01/03
https://www.youtube.com/watch?v=_64zEsMdQ9A
そもそもCVTのウンチクをおさらいしてみよう。
CVTとは Continuously Variable Transmission の略で、日本語に直訳すると連続可変とか無段変速機の略称だ。ではどうやって、伝達比(レシオ)を可変にしているかというと、現在主流となる金属ベルト式と呼ばれるものは、2つのプーリー(エンジン(トルクコンバーター)側のドライブプーリーと、その伝達相手側となるドリブンプーリーの間を金属ベルトで動力伝達している。なお、これら双方のプーリーは油圧でプーリー溝を可変とすることで、ドライブおよびドリブンのプーリー比を可変にできる構造としている。この可変伝達機構をバリエーターと呼んでいる様だ。
ここで、押さえておきたいのは、プーリー比の可変は、ドライブおよびドリブンがリニアに反比例の動作を行う必用があることだろう。つまり、ドライブプーリーが大から小に変化しると同時に、ドリブンプーリーは小から大にと反比例して逆の動作を行う。これにより、一定長のスチールベルトは張りが一定に保たれる訳だ。
CVTには小型エンジン用などでゴムベルト式もある様だが、自動車用としてはスチールベルトに多数のコマが僅か隙間で嵌め込まれた構造となっている。これにより、ゴムベルト式が引っ張りで動力伝達していたものを、スチールベルト(多数コマ)式では押し力で動力を伝達することで高トルクの伝達を可能にしている。また、スチールベルトは、厚板だとプーリーの屈曲に追従できないので、薄板ベルトを積層することで柔軟性を確保している。さらに、CVTの要となるのが、バリエーター(プーリー&スチールベルト)ユニットの、プーリー面の面精度、表面硬化など、耐摩耗性を向上させることと、滑りなく可変プーリーを成立させるためには、高い油圧でベルトコマを押し付けることが要求されることだろう。
なお、いわゆる2ペダルATには、従来からある複数以上のプラネタリギヤユニットで変速段を有するステップオート、CVT、DCT、AMTなどの種別があるが、世界的にAT比率は高まっているが、CVTの占有率は日本が突出しているらしい。また、現在世界最大のATシェアはアイシンAWだが、それに続くのがJatcoで、同社はCVTメーカーとしては世界最大のシェアとのことだ。
と、前置きが長くなったが、Youtubeで見たのは、Jatco JF010E という3.5Lクラスまで対応(エルグランド、ムラーノなどに搭載)するというFFトランスアクスル用CVTの旧来モデルだ。(登場は2002年)
動画内でトランスアクスルを分解すると、スチールベルトが断裂し、コマがバラバラになっている。やはりCVTはスチールベルトの耐久性が劣るのかと見ていると、そうではないということが判る。つまり、バリエーターを構成するプーリー幅を可変化させるユニット軸(ドリブン側)の、スプライン軸にボールスプラインが使用されているが、同スプライン溝がカジリ損傷してしまい、ボールもばらけてしまっていることが判る。だいたい、このボールスプライン溝は120度間隔で3列しかなく、基本設計に問題がありそうだ。これでは、変速動作で、バリエーターの動作が不良となり、スチールベルトはたるみを繰り返し、とても耐えきれず断裂したと云うことだろう。
なお、Jatco社の現行型高トルク用トランスアクスルは、JF016E or JF017E が最新型となっており、この辺りも改善されているのだろうとは想像する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/80/366153146448e0787b63220066e91564.jpg)
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今回の動画
Nissan CVT: Teardown and Failure Analysis -Part 2 (RERELEASE!) 2018/01/03
https://www.youtube.com/watch?v=_64zEsMdQ9A