私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

この世は弱者に味方しない

2023-04-15 | コラム
この世は弱者に味方しない
 このことは、世のすべてのことに云えることであろう。例えば犯罪に巻き込まれても、多少の情状はありえても知らなかったでは済まされない。このことは、警察、検察などの犯罪捜査機関においても、多種多様な犯罪捜査が起こる中で、一々個々の事案を司法解剖したり専門家の聴聞を聞くなど、弱者優先での思考はなく、ただただ事案を処理するという方向に行き着き、一件落着させて事案処理するということになる。

 このような点では、我が日本国は人権という意識が希薄であることが極めて強いということを感じざるを得ない。私の専門とする自動車工学という分野で云えば、火災事故が生じましたと云えば、車両メーカーは新車登録後5年の保証期間を設けているものの、まず保険が付されていれば、保険金請求して良かったと済ます。損保側も、約款上火災は、適用の範囲だからと、その原因の追及をすることもなく、新車保証のことも判っちゃいるのだろうが、一切考慮もせずに支払いそのままだ。

 最近、このことを改めて感じた交通事故が、郡山で1/2に生じた交差路での交通事故のことだ。この事故は、4名が死亡した事故時の火災により4名が死亡した重大交通事故だが、事故から僅か3カ月の4月10日に一審地裁判決が下され、被告人は禁錮3年(執行猶予なし)が下されている。詳しい訴訟内容は知悉しないが、起訴後僅か2月、その間に開かれた公判は4、5回だろう。そこで、火災が生じて搭乗者4名が死亡した事実は明確だが、なんで火災が生じたのかとか、何で4名とも脱出できなかったのかの論議が幾らかでもなされたのだろうかと考えたとき、一切そういう論議はなされていない余りの公判機関の短さから想像できるのだが・・・。

 この郡山4名死亡事故については、以下の様な私見を感じている。
 この交差路での事故だが、今回のワゴンの様な背高車で、車両後部に入力を受けた場合、横転する事例は多いのだが・・・。 
 そして、火災になり、しかも搭乗者4名がすべて脱出できなかったと云う事例は聞いたことがない。報道によれば,燃料タンクが破壊されていたかの内容があるが、横転車の下面に大量のガソリンが流出し、発火して極短時間で車両は火炎に包み込まれたのだろう。
 しかし、この程度の側面衝突で、しかも車両の著しい変形がなく、横転したからとして、燃料タンクが破壊されるとは奇なることと思える。どうやら、事故現車(ワゴンR)は4WD仕様だが、左後輪に大入力を受け、リヤアクスルが右方向に移動している様だ。そして、燃料タンクは,リヤアクスル前側の左側に装着されているが、リヤアクスルの右移動に伴い左トレーリングアームが移動して燃料タンクに干渉した可能性も疑う。なお、燃料タンクの取付は,ボデー下面に4本程度のボルト付けの様だ。
報道写真(動画)なので微細に判らぬが,どうやら火災炎上して白色になった燃料タンクが車両中央部付近まで移動しているかと見える写真がある。

 これが事実だと仮定すれば、欠陥とまでは云えなくとも、配慮不足といえ、メーカーの責任を追及する余地があるものと思える。惜しむらくは、一審で禁錮3年と判決が下され、本人は上告の意志ないと報じられているが、この火災の原因については一切裁判上で触れられていないことだ。

 もし、捜査機関、取り扱い保険会社、裁判所などに、何故火災が生じたのか、何故搭乗者が避難できなかったのかという意識が幾らかでもあれば、このような早期判決となることもなく、幾らかでも被告とされた加害運転者の断罪された罪も軽減される余地はあったのかと思うと、やはりこの世は弱者に味方しないという思いを再認識するのだ。


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