私の思いと技術的覚え書き

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フェラーリF40・箱根ターンパイクで火災丸燃え 2021/5/8

2021-05-09 | 事故と事件
 昨日(5/8)の報によれば、箱根ターンパイクでフェラーリF40が出火し、ほぼ全焼の状態の事故が生じたとのことだ。
 フェラーリF40と云えば、今から30年近く前にフェラーリ社が少量生産したスーパースポーツモデルで、記憶によれば販売価格は約5千万円だった。しかし、折からのバブル景気もあり、プレミアが付いて1億を超える取り引きがなされていたと聞いた覚えがある。それが、近年の旧車絶版車のオークション価格の暴騰により、再び1億とか2億の値付けが出ているというクルマだ。

 さて、今回の同車の火災事故だが、Netに散在している写真を見る限り、ほぼ全焼という状態で、この車両の復元修理は困難だろう。火災の原因は何か気になるところでもあるが、この手の少量生産車は、そもそもマスプロダクション化なされず、設計思想だとか生産工程における、長期の保安性など、あまり重きを置いていないことがあるだろう。例えば、排気管系の遮熱対策として、マスプロダクション化なされた車両では、各種の遮熱板だとか、長期間の熱影響を受ける部位に引き回されたワイヤリングハーネスなども、コルゲートカバーリングで覆われ、長期間の熱影響を防止する対策が取られているが、元々少量生産でレーシングカーに近い思想で作られたこの種のクルマに、それらの思想が欠けているということは否めないことだろう。

 そもそも、この車両の年式でも、燃料系はボッシュで呼ぶところのLジェトロニックという燃料噴射だろうけど、燃料タンク付近から、エンジンのインジクター(噴射ノズル)までは、およそ300kPa程度の加圧がなされる訳だが、金属製燃料配管は問題ないが、車体とエンジンマウントで振動のインシュレーションがなされる必要上、必ず一部にはラバーホースが使用されるが、30年を超えてラバーのひび割れも生じないフューエルホースを作るなんてことは不可能だろう。だから、一定期間毎に、燃料ホースや各種断熱のためのインシュレーション部品を交換するなどして、維持管理しなければならないのだが、クルマの場合、航空機の様に、構成部品を全分解して、仮定として表現すれば、車体を丸裸に近くまで全分解して、各部の点検や劣化部品の交換などが行われるケースは極めて少ないだろう。

 ところで、今回の火災車両は車両保険が付保されているのだろうか。仮にあなたが当該車両のオーナーだったとして、保険会社(代理店含む)に、車両保険の付保を依頼したとすると、ほぼ断られるだろう。保険会社もバカではないから、幾ら高い保険料を取ったとしても、この種のクルマの高額リスクを考慮すると、審査案件として、引き受け拒否を受ける場合が多かろうと想像する。また、もし引き受け可能になったとしても、現在のオークション相場である15千万円までの金額で認容する保険会社は希だろう。





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フェラーリが炎上、箱根ターンパイクが一時全線通行止め
8日 15時56分
 8日昼前、神奈川県の小田原と湯河原をつなぐ道路「箱根ターンパイク」で高級乗用車のフェラーリが炎上しました。この影響で、「箱根ターンパイク」が一時全線通行止めとなりました。

 8日午前11時すぎ、神奈川県の小田原と湯河原をつなぐ道路「箱根ターンパイク」で「車両から煙が出ている」と通報がありました。ポンプ車など6台が駆けつけ、およそ1時間半後に火は消し止められましたが、フェラーリ1台が全焼しました。警察によりますと、フェラーリには60代の夫婦が乗っていましたが、無事に脱出しけがはないということです。

 この事故の影響で、「箱根ターンパイク」がおよそ3時間全線通行止めになりました。フェラーリは上り坂を走っていたところ車の左後方から煙が出たということで、警察は詳しい原因を調べています。

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