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清水・橋桁落下事故(続報2)

2023-07-07 | 事故と事件
清水・橋桁落下事故(続報2)
 清水でのバイパス工事橋桁落下事故の続報として、朝日の記事から引用して記したい。
 事故は落下した橋桁は橋脚(高さ9m)の上にあって、それを正規の位置に横スライドさせる作業の中で生じたという内容だ。ここで、長さ60m世の40トンの橋桁は、クレーン2台での共吊りで既に橋脚上に移動されていて、事故写真には該当する様なクレーンは見えないので撤収済みなのだろう。

 橋桁の横移動は、橋桁両端部をジャッキで押し出し作業したのだろうと想像するが、当然両端のジャッキは作業指揮者の指示の基、橋桁が斜めにならない様に、前後位置も偏向しないように、両端ジャッキ操作は協調もしくは連携動作が必用だろう。

 あくまで想像だが、指揮者の指示が不適当で橋桁の正規位置からの偏向が過大になった、もしくは両端のシャッキ操作の不適当がありやはり橋桁位置の偏向が拡大した。

 この際、移動するブツは60m余と長く、両端の状態は、指揮者一人で判断できないだろうから、両端には位置を確認して指揮者に報告する係もいたと思える。それが、おそらく橋桁上に乗り、両端部で下をのぞき込む様に見て、位置確認をしていたのではないだろうか。これらの要素の中で、協調もしくは連携動作の不適当が生じたのではないだろうか。

 橋桁落下事故は、前記事で記した広島の後も、神戸とか幾つか各地で起きている。また、橋桁に関わらず、大型工事で、他人数が関わる工事作業においては、思わぬ作業ミスが、大きな人損や財物損を生じて、聞くもののを呆れ返らせることがある。

 建築業など、昔から複数企業が共同で事業を受けることは多く、また同一企業体と云っても、多層の下請け企業の参加で構成されていたことには変わりはないのだが、どうも昔より意志の統率性というものが低下して来ている様にも思える。このことを感じ出したのは、だいぶ以前に記した、下記の三菱重工長崎でのクルーズ船新造時の火災事故のことを知って以来のことだ。

【過去記事】
豪華客船建造中の火災事故から思うこと
2008-05-03 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/f0005f64e6ceeaf30c234a7ae91aa000

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記事
「ありえないミス」業界に広がる驚き 固定直前に橋桁落下か 静岡
朝日新聞デジタル 三井新 矢島大輔 井上昇2023年7月6日 21時50分
 未明の工事現場に地響きのような音がとどろいた。静岡市清水区の国道1号静清バイパス工事で6日に作業員2人が死亡した橋桁の落下事故。当時は、橋脚の上で橋桁(63メートル)をスライドさせて固定させる作業中で、国土交通省などが事故が起きた状況を詳しく調べている。
 工事を施工する共同企業体(JV)の一員、名村造船所(本社・大阪市)や国交省静岡国道事務所によると、今回の工事は、①現場近くで橋桁を組み立てる②橋桁を橋脚の上に移動させる③橋脚に固定する、という手順だった。
 事故が起きたのは③の固定直前で、橋脚の「支承」と呼ばれる部分に橋桁を移動させる作業中だ。同社は詳細な原因は「調査中」としながら、橋桁の移動中に事故が起きたことを認め、「橋桁を動かす準備をしたり、正常に動いているか確認したりするため、橋桁の上に人が乗る可能性もある」とした。
 橋工事を手がける東海地方の業者によれば、今回の手法は一般的に工期が長く、費用もかかるが、手狭な現場でも対応できるという。ただ、「橋桁に人を乗せて移動させるのは危険で、基本的には乗せない」とした。
 大手ゼネコンの幹部も「ありえないミスだ」と驚く。事故が起きた工法について「珍しいものではなく、難易度は決して高くない。現場で何があったのかわからないが、信じられない」と話す。


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