私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

クルマにおけるインターロック装置のこと

2016-11-29 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 種々の機械装置に安全思想としてのインターロックが採用されている。例えば、エレベーターは、扉が閉まらない限り、上下動作しないなどの仕組みが採用される。クルマの世界でも、種々のインターロック装置が使用されている。例えばオートマチックミッション車では、シフトレンジがPかNでなければ、スターターモーターが作動しない仕組みが採用されて暴走事故を少しでも防ごうというものだ。最近のATでは、さらにブレーキを併せて踏んでいないと、始動できないクルマもある。それでも、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走事故は、後を絶たないのが現状なのだが・・・。

 また、マニュアルミッション車でも、近年はクラッチペダルを踏んでいないと、スターターモーターが作動しない仕組みとなっている。これもインターロックだが、昔は万一踏み切り上でエンストしてエンジンが始動困難なら、ローギヤでスターターモーターで前進して脱出しろと教わったものだが、それも昔のクルマならのことだ。それとか、クラッチレリーズシリンダの錆び付きなどで、クラッチが切れないクルマの移動で、ニュートラルでエンジン暖機後、ローギヤでのスターターを廻し前進させながらエンジン始動、アクセルのON、OFFでニュートラルで回転合わせと次段へのシフトアップと下段へのダウンをして走って帰って来たことも何度もあるが、これも昔のクルマならのことだ。できればMT車でも、ニュートラル検出でのスターター起動制御を十分とも感じるが、検出精度や信頼性から、クラッチということになった様にも思える。

 さて、昨今は採用数が減り乗ることも少なくなったマニュアルトランスミッション(以下MT)車だが、やはりスポーティカーはMTでなくてはと思うアナログ派な方も多いと想像する。このMT本体には、昔から二重噛み合い防止機構というインターロック機構が採用されていた。このことを、若干記してみる。

 MTは、本体内に通常2軸(DSGは3軸)のシャフトがあり、各ギヤはバックギヤを除いてすべてが常時噛み合ったまま作動してる。但し、ギヤは噛み合っているが、シャフトと各ギヤは固定されてなく空回りしている状態なのだ。そこで、所要のシフト操作を行うとシフトフォークと呼ばれるレバーがスリーブを介してシンクロメッシュ機構を通じ、ギヤとシャフトを固定することで、選択ギヤによる作動が行われる機構となっている。

 ところで、シフトフォークを動かすシフトフォークシャフトは、1×2、3×4、5×Rなどと、通常3本もしくは4本が使用される訳だが、ある一つのシフトフォークが作動中に他のフォークが動いてしまうと、2つのギヤがシャフトに固定される二重噛み合い状態となって、MTがロック状態となってしまう。これが停車中なら、にっちもさっちも動かない程度のことで済むが、高速走行中にこの様な状態を生じたしたら、パーキングブレーキを強く引いたのと同様の状態、すなわち車両は激しく駆動輪をロックさせ、大スピンから大事故を起こすこともあり得る。

 この様な二重噛み合いを防止するため、平行に並んだ各シフトフォークシャフト間には、純機械的なインターロック機構が設けられ、一つのシフトフォークが動作中は、他のシフトフォークシャフトの動作をロックする機構が採用されているのだ。



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1 コメント

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MTとAT (もののはじめのiina)
2018-07-14 10:21:39
マニュアル(MT)ではエンストには絶対ならず、オートマ(AT)に起こらぬ仕組みを考えたひとは偉いです。

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