中央道・調布で単独自損事故、3名車外放出で2名死亡
車外放出事故というのは、昔から時々ある。特に車速が高く衝突時の、高い減速度が働く高速道路において多いと云える。
この車外放出を防止するには、シートベルトが極めて有効なのだが、場合によってはベルトをしていてもすり抜けてしまう事例もあると聞く。
一方、衝突事故として、前面と後面を比較すると、前面衝突の方が強い減速度が生じる大きな事故を生じ易いと云えるが、幾らシートベルトをしていなくても、フロントガラスを突き破って飛び出すという事例は、現在ではほとんど生じない。
この理由として2つがあり、①法令で前面ガラスは合わせガラスの装着が義務付けられていること。②ガラスのボデーへの取り付け方法には、填め込み式(ウェザーストリップ式)と接着式(ボンディング方式)がある。
まず、合わせガラスだが2枚のガラスの間にPVCという軟質樹脂を挟み込んで接着してあり、ガラスが割れても、全面にヒビが一気に入らず視界が保たれるという点が知られているが、もう一つの特徴として、HPRという耐貫通性能が高いという特徴がある。この耐貫通性は、外から内へだけでなく、内から外へも同様に働くから、車外放出し難いのだ。もう一つの、ガラスの装着方法だが、ウェザーストリップ方式では、強い面圧がガラスに働いたり、基台となるボデーの変形により、容易に外れてしまう場合がある。ところが、接着式では強力な接着剤により、例えガラスが大幅に割れても、ボデーが変形しても、接着部は容易に剥がれない程の強い強度を持っている。このことは、接着方式でガラスを固定することで、ボデーの捻り剛性を高める効果も合わせて持つといえる。
先に記した様に、車外放出は前面と比べ後方ガラスからという場合が多いが、これは先の①と②の二つの理由の逆の効果によるだろう。つまり、合わせでなく、強化ガラスであることで、耐貫通性能が低いことと、現在では後面ガラスも接着式が増えたが、前面に比べると未だウェザーストリップ式のクルマも存在する。
なお、転載した事故車の写真から、該当車は旧型エルグランドで、1列目が2名、2列目が3名、3列目が3名の最大定員一杯の7名が乗車しており、最後列の3名が車外放出した様で、内2名が頭部受傷などで死亡と報じている。
このエルグランドとかハイエースなどの1BOX社での3列シートの配列は、まだ余裕があるが、最近はSUV見たいな比較的小型車で3列シート車もあり、最後尾3列目は2名が乗れる訳だが、ヘッドレスト部位とリヤウインドガラスの間隔が30cm程度しかない様なクルマもあり、よくもまあこの様な設計基準のクルマを型式認定しているよなと驚いている。現状の保安基準では、この辺りのことは、決めがない訳だが、製造者の良識を疑いたくなる。
なお、当事故を伝える別の記事では、雨中でスリップおよびスピンしたのを。「ハイドロプレーン現象か?」などの記述があるが、以下私見として記してみたい。
事故当時の豪雨の状況だとか生成された水膜の深さ、現車のタイヤの残り溝の状態も検討しなければ明確ではないが、おそらくハイドロプレーンではないだろう。
こういう比較的重いクルマ(旧エルグランド)では、ハイドロプレーンは起こり難い。
しかし、なんらかの外乱を切っ掛けに、その修正舵の過剰が、現車のスピンモードを誘発し、車両は、内と外のガードレール感をバウンズしつつ、衝突を繰り返した状況と推察する。
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雨の中央道 乗用車がガードレールに衝突 2人死亡5人重軽傷
2021年8月15日 12時26分
14日夜、東京 調布市の中央自動車道で、7人が乗った乗用車がガードレールに衝突し、2人が死亡、5人が重軽傷を負いました。当時、現場付近は雨が降っていて、乗用車の運転手は「ハンドルをとられた」などと話しているということで、警視庁が詳しい状況を調べています。
14日午後10時ごろ、東京 調布市の中央自動車道下りの三鷹料金所近くで、男女7人が乗った乗用車がガードレールに衝突しました。
警視庁によりますと、この事故で乗用車の後部座席に乗っていた3人が外に投げ出され、神奈川県海老名市の契約社員、萩尾弘美さん(53)と、東京 渋谷区の会社員、大島快晴さん(42)が、頭などを強く打って病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。
また、20代の女性が頭の骨を折る大けがをするなど、5人が重軽傷を負いました。
警視庁によりますと、7人は知人どうしで、山梨県の河口湖に向かっていたということです。
当時、現場付近は雨が降っていて、乗用車を運転していた男性は「水たまりにハンドルをとられた」などと話しているということです。
警視庁は、車外に投げ出された3人がシートベルトをしていなかった可能性もあるとみて、事故の詳しい状況を調べています。
車外放出事故というのは、昔から時々ある。特に車速が高く衝突時の、高い減速度が働く高速道路において多いと云える。
この車外放出を防止するには、シートベルトが極めて有効なのだが、場合によってはベルトをしていてもすり抜けてしまう事例もあると聞く。
一方、衝突事故として、前面と後面を比較すると、前面衝突の方が強い減速度が生じる大きな事故を生じ易いと云えるが、幾らシートベルトをしていなくても、フロントガラスを突き破って飛び出すという事例は、現在ではほとんど生じない。
この理由として2つがあり、①法令で前面ガラスは合わせガラスの装着が義務付けられていること。②ガラスのボデーへの取り付け方法には、填め込み式(ウェザーストリップ式)と接着式(ボンディング方式)がある。
まず、合わせガラスだが2枚のガラスの間にPVCという軟質樹脂を挟み込んで接着してあり、ガラスが割れても、全面にヒビが一気に入らず視界が保たれるという点が知られているが、もう一つの特徴として、HPRという耐貫通性能が高いという特徴がある。この耐貫通性は、外から内へだけでなく、内から外へも同様に働くから、車外放出し難いのだ。もう一つの、ガラスの装着方法だが、ウェザーストリップ方式では、強い面圧がガラスに働いたり、基台となるボデーの変形により、容易に外れてしまう場合がある。ところが、接着式では強力な接着剤により、例えガラスが大幅に割れても、ボデーが変形しても、接着部は容易に剥がれない程の強い強度を持っている。このことは、接着方式でガラスを固定することで、ボデーの捻り剛性を高める効果も合わせて持つといえる。
先に記した様に、車外放出は前面と比べ後方ガラスからという場合が多いが、これは先の①と②の二つの理由の逆の効果によるだろう。つまり、合わせでなく、強化ガラスであることで、耐貫通性能が低いことと、現在では後面ガラスも接着式が増えたが、前面に比べると未だウェザーストリップ式のクルマも存在する。
なお、転載した事故車の写真から、該当車は旧型エルグランドで、1列目が2名、2列目が3名、3列目が3名の最大定員一杯の7名が乗車しており、最後列の3名が車外放出した様で、内2名が頭部受傷などで死亡と報じている。
このエルグランドとかハイエースなどの1BOX社での3列シートの配列は、まだ余裕があるが、最近はSUV見たいな比較的小型車で3列シート車もあり、最後尾3列目は2名が乗れる訳だが、ヘッドレスト部位とリヤウインドガラスの間隔が30cm程度しかない様なクルマもあり、よくもまあこの様な設計基準のクルマを型式認定しているよなと驚いている。現状の保安基準では、この辺りのことは、決めがない訳だが、製造者の良識を疑いたくなる。
なお、当事故を伝える別の記事では、雨中でスリップおよびスピンしたのを。「ハイドロプレーン現象か?」などの記述があるが、以下私見として記してみたい。
事故当時の豪雨の状況だとか生成された水膜の深さ、現車のタイヤの残り溝の状態も検討しなければ明確ではないが、おそらくハイドロプレーンではないだろう。
こういう比較的重いクルマ(旧エルグランド)では、ハイドロプレーンは起こり難い。
しかし、なんらかの外乱を切っ掛けに、その修正舵の過剰が、現車のスピンモードを誘発し、車両は、内と外のガードレール感をバウンズしつつ、衝突を繰り返した状況と推察する。
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雨の中央道 乗用車がガードレールに衝突 2人死亡5人重軽傷
2021年8月15日 12時26分
14日夜、東京 調布市の中央自動車道で、7人が乗った乗用車がガードレールに衝突し、2人が死亡、5人が重軽傷を負いました。当時、現場付近は雨が降っていて、乗用車の運転手は「ハンドルをとられた」などと話しているということで、警視庁が詳しい状況を調べています。
14日午後10時ごろ、東京 調布市の中央自動車道下りの三鷹料金所近くで、男女7人が乗った乗用車がガードレールに衝突しました。
警視庁によりますと、この事故で乗用車の後部座席に乗っていた3人が外に投げ出され、神奈川県海老名市の契約社員、萩尾弘美さん(53)と、東京 渋谷区の会社員、大島快晴さん(42)が、頭などを強く打って病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。
また、20代の女性が頭の骨を折る大けがをするなど、5人が重軽傷を負いました。
警視庁によりますと、7人は知人どうしで、山梨県の河口湖に向かっていたということです。
当時、現場付近は雨が降っていて、乗用車を運転していた男性は「水たまりにハンドルをとられた」などと話しているということです。
警視庁は、車外に投げ出された3人がシートベルトをしていなかった可能性もあるとみて、事故の詳しい状況を調べています。