この車体変形で死ぬか?
筆者は交通事故に関わり40年となり数々の記憶に残る事故事例を経験して来た。また、このブログを記し初め8年余になるが、特に事故や事件は「事故と事件」というカテゴリーで区分して、自分なりに記録すべき案件を残してきた。そういう過去体験とか、ブログ記述においても、何故この事故で死亡まで至ったのか?と疑問を感じる事故というのも幾らかある。
交通事故もしくは事件において、死亡する原因としては、衝突による負の加速度とか衝撃の大きさ、それと乗員の生存空間が失われるような車体変形、さらに車外放出と呼ばれる室内から乗員が射出される如く飛び出し路面などに叩き付けられ死亡する事例が一般的だ。しかし、中には、これで死ぬかという事例も存在するのが実態なのである。
以上の様な内容を記した過去のブログ記事を以下に示すが、次の様な種別に大別出来るのではないだろうか。
➀正に運転中の突然死(病死)と云えるもの
②日本ではさほど実証例として示された実例は聞かないが、エアバッグ製造メーカーのタカタが倒産する理由となった、エアバッグ展開速度が設計値を超える以上膨張により、内部の金具類が乗員の頭部や顔面に射出され死亡する事例
③スモールオフセット衝突と云われる、車幅の20%以下でのオフセット衝突では、サイドフレームなど縦の潰れ剛性を確保する強度部材の機能が働かないこともあり、車体変形が比較的大きくなりがちということある。それと合わせて、エアバッグなどの装置が働いても、入力が偏心しているがため、乗員頭部を正常な真心で受け止められず、エアバッグを逸れた頭部が、周辺のピラーなどに激突して死に至る事例がある。なお、近年車両では、このスモールオフセット衝突試験に対応したボデー構造にバーションアップされて来ている。
④エアバッグの装備は、そもそもシートベルトをしていることが前提の補助的拘束具(SRSのSRとは補助的なの意)なので、シートベルトをしていない場合は、エアバッグの効果は半減以下となってしまう。最近は、助手席乗員のシートベルト未装着を警告する様に変更されているが、ちょっと以前では運転席しかベルト未装着は警告なされなかった。なお、現在でも後席のシートベルト未装着を警告までする車両は少数であろう。なお、シートベルトを一々するのが面倒で、予めベルトタング(バックルとの結合具)を嵌め込んでおき、その上に座るというムチャぶりをしたり、走行開始後にベルトをするケースも多く、走行開始直後にペダルの踏み間違いなどをやらかした場合、ベルト未装着のまま事故に至っているケースは多い。なお、既に装着が法令義務化されているEDR記録装置の記録項目には、シートベルトの記録(ON,OFF)がある。
さて、今回紹介する1/3三重県紀北町の国道で生じたという軽自動車が道路左脇のガードパイプ端部に衝突する事故だが、事故現車の車体変形はそこそこ大きいが、これで乗員が死ぬ程かと思える。エアバッグも動作した形跡が判るが、フロントガラスの割損状況とか左フロントサイドガラスまで割損していることと云い、助手席乗員はシートベルトが未装着(もしくは先の④で記したケースに該当)ではなかったのではないだろうか。この事故は、死亡者の死亡原因の判断とEDR記録とか現車の状態を観察して見る様がありそうに思える。
【過去記事】
この車両損壊状態で死ぬ事故とは思えないが・・・
2019-09-05 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/180a14bd461c8cdbf4deabc5145a1d92
運転中の突然死
2021-01-31 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/ad572e57dfe37cc2e1f9c3c1115470cd
このボデー変形状態で死ぬか?
2021-10-31 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/4d55274506be9611c72143ccbd3d8e88
これで助手席搭乗者が死亡する車両損傷か?
2022-02-06 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6631506faf6b49482f060d108cc53209
大分舞鶴町・国道197号ガードパイプに衝突死亡【この車体損傷で死ぬか!】
2022-05-17 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/067f93e6f8cc441b9d4be7b3f029d481
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軽乗用車がガードパイプに衝突し、助手席の男性死亡 東海3県で今年初の死亡事故
CBCテレビ 1/3(火) 17:41配信
三重県紀北町の国道で軽乗用車が道路わきのガードパイプに衝突し、助手席に乗っていた41歳の男性が死亡しました。東海3県で今年初めての交通死亡事故です。
3日午前3時ごろ、紀北町東長島の国道42号で、軽乗用車が進行方向左側のガードパイプに衝突しました。この事故で、助手席に乗っていた三重県内に住む派遣社員前田孝一郎さん(41)が病院に運ばれましたが、腹部などを強く打っていて、約2時間後に死亡が確認されました。また、この車を運転していた女性と、後部座席に座っていた男性が軽いけがをしました。
現場は片側一車線の緩やかなカーブになっている道路で、警察は事故当時の状況などについて詳しく調べることにしています。
今年に入って、愛知・岐阜・三重の東海3県で起きた交通死亡事故は、これが初めてです。CBCテレビ
筆者は交通事故に関わり40年となり数々の記憶に残る事故事例を経験して来た。また、このブログを記し初め8年余になるが、特に事故や事件は「事故と事件」というカテゴリーで区分して、自分なりに記録すべき案件を残してきた。そういう過去体験とか、ブログ記述においても、何故この事故で死亡まで至ったのか?と疑問を感じる事故というのも幾らかある。
交通事故もしくは事件において、死亡する原因としては、衝突による負の加速度とか衝撃の大きさ、それと乗員の生存空間が失われるような車体変形、さらに車外放出と呼ばれる室内から乗員が射出される如く飛び出し路面などに叩き付けられ死亡する事例が一般的だ。しかし、中には、これで死ぬかという事例も存在するのが実態なのである。
以上の様な内容を記した過去のブログ記事を以下に示すが、次の様な種別に大別出来るのではないだろうか。
➀正に運転中の突然死(病死)と云えるもの
②日本ではさほど実証例として示された実例は聞かないが、エアバッグ製造メーカーのタカタが倒産する理由となった、エアバッグ展開速度が設計値を超える以上膨張により、内部の金具類が乗員の頭部や顔面に射出され死亡する事例
③スモールオフセット衝突と云われる、車幅の20%以下でのオフセット衝突では、サイドフレームなど縦の潰れ剛性を確保する強度部材の機能が働かないこともあり、車体変形が比較的大きくなりがちということある。それと合わせて、エアバッグなどの装置が働いても、入力が偏心しているがため、乗員頭部を正常な真心で受け止められず、エアバッグを逸れた頭部が、周辺のピラーなどに激突して死に至る事例がある。なお、近年車両では、このスモールオフセット衝突試験に対応したボデー構造にバーションアップされて来ている。
④エアバッグの装備は、そもそもシートベルトをしていることが前提の補助的拘束具(SRSのSRとは補助的なの意)なので、シートベルトをしていない場合は、エアバッグの効果は半減以下となってしまう。最近は、助手席乗員のシートベルト未装着を警告する様に変更されているが、ちょっと以前では運転席しかベルト未装着は警告なされなかった。なお、現在でも後席のシートベルト未装着を警告までする車両は少数であろう。なお、シートベルトを一々するのが面倒で、予めベルトタング(バックルとの結合具)を嵌め込んでおき、その上に座るというムチャぶりをしたり、走行開始後にベルトをするケースも多く、走行開始直後にペダルの踏み間違いなどをやらかした場合、ベルト未装着のまま事故に至っているケースは多い。なお、既に装着が法令義務化されているEDR記録装置の記録項目には、シートベルトの記録(ON,OFF)がある。
さて、今回紹介する1/3三重県紀北町の国道で生じたという軽自動車が道路左脇のガードパイプ端部に衝突する事故だが、事故現車の車体変形はそこそこ大きいが、これで乗員が死ぬ程かと思える。エアバッグも動作した形跡が判るが、フロントガラスの割損状況とか左フロントサイドガラスまで割損していることと云い、助手席乗員はシートベルトが未装着(もしくは先の④で記したケースに該当)ではなかったのではないだろうか。この事故は、死亡者の死亡原因の判断とEDR記録とか現車の状態を観察して見る様がありそうに思える。
【過去記事】
この車両損壊状態で死ぬ事故とは思えないが・・・
2019-09-05 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/180a14bd461c8cdbf4deabc5145a1d92
運転中の突然死
2021-01-31 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/ad572e57dfe37cc2e1f9c3c1115470cd
このボデー変形状態で死ぬか?
2021-10-31 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/4d55274506be9611c72143ccbd3d8e88
これで助手席搭乗者が死亡する車両損傷か?
2022-02-06 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6631506faf6b49482f060d108cc53209
大分舞鶴町・国道197号ガードパイプに衝突死亡【この車体損傷で死ぬか!】
2022-05-17 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/067f93e6f8cc441b9d4be7b3f029d481
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軽乗用車がガードパイプに衝突し、助手席の男性死亡 東海3県で今年初の死亡事故
CBCテレビ 1/3(火) 17:41配信
三重県紀北町の国道で軽乗用車が道路わきのガードパイプに衝突し、助手席に乗っていた41歳の男性が死亡しました。東海3県で今年初めての交通死亡事故です。
3日午前3時ごろ、紀北町東長島の国道42号で、軽乗用車が進行方向左側のガードパイプに衝突しました。この事故で、助手席に乗っていた三重県内に住む派遣社員前田孝一郎さん(41)が病院に運ばれましたが、腹部などを強く打っていて、約2時間後に死亡が確認されました。また、この車を運転していた女性と、後部座席に座っていた男性が軽いけがをしました。
現場は片側一車線の緩やかなカーブになっている道路で、警察は事故当時の状況などについて詳しく調べることにしています。
今年に入って、愛知・岐阜・三重の東海3県で起きた交通死亡事故は、これが初めてです。CBCテレビ