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鍛造による強化の原理

2022-01-11 | 技術系情報
鍛造による強化の原理
 鍛造とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高め、目的の形状に成形する技術だ。この叩く作業を「鍛える」(きたえる)ということから、「鍛えて造る」ことからこの製造法を「鍛造」と呼ぶようになった。
 鍛造は金属をハンマーやプレスで叩くことで内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整える(鍛流線:ファイバーフロー)ことで強度が高まるのが特徴なのだ。
 鉄は叩くことで介在物を除去し強くなることが、日本刀などを代表として古来から知られている。その性質上、強度が必要な製品によく用いられ、自動車にも、特に強度が必用な部位に用いられている。

ファイバーフロー(鍛流線)とは
 金属は結晶組織によって構成されていますが、加工した際にはこの結晶がつぶれて引き伸ばされたり、寸断されたりします。この金属組織のもつ流れをファイバーフロー、もしくは鍛流線といいます。金属の強度を見定める上では大切な概念の一つだ。

 木材には木目があり、方向によって強度が異なることは広く知られている。金属にもこれに相当するものがあり、それがファイバーフローという訳なのだ。

 ただ、金属の強さを表す指標にはいくつも種類があり、このファイバーフローの違いによって具体的に数値が動くのは、伸び、絞り、衝撃値など、主に「靱性」と呼ばれる、金属の粘り強さ、衝撃への耐性などを見るためのパラメータだ。引張強さや降伏点といった機械的性質は、ファイバーフローがどちらに向かっていてもあまり変わらない。

 より衝撃に強くしたい、つまり靱性を高めて耐撃性の高い鋼材が必要なのであれば、ファイバーフローに沿うように負荷が掛かる作りにすると良い。ファイバーフローに対して直角に力が加わるときよりも、その流れに沿うように力が加わった時、より粘りのある性質を見せる。

 鍛造で行う鍛錬にも複数の方向から金属を鍛えていくこともできるため、成形を行う際にも、不用意に切削や研削で削ってしまわず、鍛錬で寸法成形を行うことで、ファイバーフローを切らずに活かしたまま部材にすることも可能となる。状況によってはこのほうが強度のある材料として使うことができる。

 なお、鍛造は、例えば日本刀とか超大型の製品などで、1品モノを作る場合にも使用されるが、自動車の様にマスプロダクションする場合は、型鍛造という云われる素型に熱した高温の素材を挟み込んで、繰り返し打ち付け、クランクシャフト、コンロッド、トラックのIビームアクスルなどの成型を行う。なお、これら鍛造処理御、焼鈍という内部残留応力を抜く処理を経て、機械加工を経て製品は完成する。







【鋼製品の製法(英名)】
鋳造 casting キャスティング
鍛造 Forging フォージング
型鋳造 Mold casting 量産品
ダイ鋳造 Die casting
金型鋳造 metal mold casting
砂型鋳造 sand mold casting
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Youtube動画 鍛造
https://www.youtube.com/watch?v=0-fVE48AG6E&t=49s

NPO法人科学映像館 2021/12/23
製作:岩波映画製作所 企画:文部省 白黒 25分42秒
 鍛造の意義と実際の工程を示して、鍛造について、理解を深めることを目的としています。同じ材料にさまざまな方法で力を加え、力の加え方で材料の質がどうかわるかをみる試験や、温度変化による結晶面の変化の、高温真空顕微鏡による連続観察などで鍛造の意味を明かし、自動車工場のフロントアクスルとクランクシャフトの製造工程をみることで、その実際を紹介します(英文連データベースより)監修 東大教授 渡辺 茂


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